ステップ2
「現世は発展してるねー、パソコン・ケータイ・車・マンション・・まぁざっくり言うなら機械が」
「俺らには必要の全く無いものだな」
現代の服を着た二人は通行人の目を留めるのに十分だった。
「あのぅ、すみません」
「はい?」
クリスは呼び止められ振り向く、スーツを着た男性がクリスの営業スマイルをみて頬を赤く染めた。
「も、もしよろしければ、モデルとかに興味ありませんか?」
男は名刺を取り出しクリスに渡した。
「モデル・・」
横からリンはクリスの手にある名刺を見て、投げ捨てた。
「ちょっと、君!人の名刺を!?」
「あの、ごめんなさい、そういうのに興味ないんで」
「そういわず・・」
「おーい、彼女困ってんじゃーん?あっちいってくれる?」
「ひ」
見るからに柄の悪そうなチャラチャラの茶髪パッキン男が何人か現れ、スカウトマンを追い払った。周りの人も若干離れた。
「ね、彼女大丈夫?」
「まぁ」
「よかったらさ、俺らといいトコいかねー?ま、お礼のかわりっつーの?」
「私、やることあるんで」
「そういわず」
男の一人がクリスの手を掴もうとしたが、その前に別の手が男を掴んだ。
クリスはその腕の持ち主を見た。
「なに?君?」
「ゴメンねー?君に興味ないんだ~離してくれる?」
「てか紫の髪っておばはんかよ!ぎゃはは」
「うけるー座布団一枚~!」
リンの髪で笑う人に合わせてリンも笑う。
「悪かったなー、おばはん色で~」
「あぁ?」
ギリッッ!!
「いでぇええええええええええ!!!??」
メキメキと骨の軋む音がする。あまりの酷い音に他の男もニ・三歩引いた。あまりの絶叫に気絶する男もいた。弱い・・
「いってぇでぇぇ!?は、離せてめぇ!!」
「はっはっは」
あいた手でリンを殴ろうとしたがあっさり掴まれ、その手も捻られる。
「ちょ、か、彼女~この子止めてくれよー?!助けたやったろ?!」
「リン」
そこでクリスがはじめて口を開いた。
「殺しちゃ駄目よ」
「分かった」
男が安心した顔がひきつった。
ぼき
「うぎゃあああああああ」
「てめぇ!!」
「おい、さっさと逃げろよ」
襲い掛かってきた男の顔を殴り飛ばす。
「じゃないと、半殺しにするぞ」
笑顔で爽やかにリンはそういったが、実際それができる力があることは目に見えている、男どもは尻尾を巻いて逃げていった。そしてソレと入れ違いに警察がやってきた。
「君か、ここで騒いでいるって奴は」
「俺??だって――」
「違うんです、おまわりさん」
何かいいそうになったリンの足を踏んでクリスは前に出た。
「この人は私のために戦ってくれたんです。許してください」
うるうる、クリスの潤目に負けて警察は頬を染めたまま「次は気をつけるように」とだけ言って歩いていった。
「目立つのも問題ね」
「そうだな」
涙目の二人は頷いた。そしてクリスは指を鳴らした。
「何したんだ?」
「自分を目立たなくしただけよ」
何事も無く歩き出した人間と一緒に二人も歩き出した。
「さ、住民を探しましょう。きっと私達なら分かるはずよ」
「なにが?」
「選ばれし者ってことね」
美しい金髪をなびかせながらクリスは妖艶に微笑んだ。
必然は強制実行。
運命?なにそれ美味しいの?