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クリス村 休止中~  作者: 綴何
最高位の章
13/105

「クーリス」

「リン。どこの学校に移動しても聖域にくるわね」

「だってさ暇なんだよ魔域の学校、戦うだけだぜ?」

「っていっても勉強嫌いなくせに」

 リンはにかっと笑った。図星らしい。ていうかどんな状況にあってもリンはクリスから離れない。ここまでくると最早リンはクリスの犬と化していた。

 クリスは魔法で前回作っておいたお菓子をリンに恵んだ。

「おや、意地汚い子犬がまたやってきたのですか?」

「うげ、白蛇女」

「誰がですか!!」

「ヴァニラ・・」

 クリスがヴァニラという少女を止めた。

 彼女はクリスと同じクラスメイトで上級貴族生まれ、見た目も淑女として申し分ない、白銀の髪をポニーにまとめていてすっきりした面持ちが見える。

リンは正直ヴァニラが怖い。一度怒らせて氷付けにされたからだ。

「雪女」

「何か言いましたかリンさん」

「いいや?」

 怖い怖い

「リン、ヴァニラは前回上からの認定により『氷の巫女』になったから、ちなみに私は勿論『光の巫女』よ、やっとクスリが引退したのよ」

「へー」

「リンまってぇなぁ~~」

「あ、ラゴウ」

 クセッケの強い金色の髪の毛を揺らしながらラゴウという少女は現れた。どちらかと言うとリンと同じ闇属性だ。

「あら、ラゴウさん」

「げ、ヴァニラ」

「どうして闇属性はヴァニラに会うと『げっ』っていうのかしら」

「しつこいんだもん」

「何ですって」

 氷の粒子がヴァニラの周りに出現する。

「ま、まぁまぁ」

「そういえばリンも『闇の巫女』になったんでしょう?ラゴウは『雷の巫女』よね」

「そうやでー」

 ヴェニラはえ?って嫌そうな声を上げた。

「神聖な役を貴女に勤まるとも思えませんけど」

「ワイもそう思う」

「おいおい、まぁーラゴウもヴァニラもいいじゃないの、私たちチームなんだから」

「この天界は雲の上だから四季が無い。その四季を作るために巫女が選ばれる・・誰一人欠けてはならない、分かっていますよ」

 不満げにヴァニラは言った。クリスは「ならいいの」と微笑んだ。

「何人いるんだっけ?」 

「12人だったっけ?」

「覚えておきなさいなそれぐらい!」

「ごめんごめん」

 四人は仲良く歩いていると、突如クリスの影から獣が現れた。

「!?」

「クグリ?」

 クリスの使い魔が勝手に現れると言うことは

 ジャキン!

 四人は武器を構えた。敵が近くにいるということだろう。

「………………」

 とくに怪しい気配は無い。

「クグリ・・」

 クリスはポツリと名を呼んだ。

「襲え」

 クグリが飛んだ。

「うきゃぁあああぁ~」

 か弱い悲鳴が上がった。

「……!?」

「まさか、お前は・・!!」

 


・・誰?



「痛い、痛いです・・やめてクリスちゃん」

「だ、だれだ?クリスの知り合いか」

「知らない」

 藍色のショートヘアを瞳の涙でぬらしながらか弱げな、しかし悩ましげな肉体の女性は『お良しになって』ポーズをしていた。

「本当に、誰?」

「分からないのも、無理ないですわ」

 クグリがクリスの横に戻ると、彼女は立ち上がりぽんぽんと服についた砂を払った。

「私は、魔界と地獄を支配する魔王の妻サウジーナといいます」

「・・・・」

 クリスとリンはお互いの顔を見て、首をふり、ヴェニラとラゴウをみた。もちろんラゴウは肩をすくめたが、秀才のヴェニラは自信なさげにポツリといった。

「アク・サウジーナ・インプ・ラー?」

「えぇ、そうです」

「名前長いな」

「そうゆうものよ」

 っていうか、アク?・・アク?アクって

「アクってアク・マウジー?」

 あの厚化粧おばさん?

「アークちゃん見っけ~!」

 クスリが出てきた。

 びく!サウジーナの目が恐怖に染まった。

「く、クスリちゃん」

「私の名前呼ばないでって言ってるでしょ★サ・ウ・ジー・ナ!」

 クスリは片手からスゴイ大量の殺気のこもった魔力を放出させながら笑顔で彼女の名前を言った。アクの顔がひきつる。

「ご、ごめんねクスリちゃ・・」

「えい」

 攻撃魔法。どっかーん!アクが直撃した。

「はらひれほら~」

 目を回しているサウジーナの顔をクスリは平手ではたき、目を覚まさせる。

「は」

 目を覚ましたサウジーナにクスリは不思議な色をしたコンパクトを見せた。

「い、いや・・嫌なのに・・あぁ」

 サウジーナはコンパクトを手に取り、スゴイ勢いで化粧を始めた。

「・・・・・・・・。」

 リンたちは黙って成り行きを見守る。なぜなら何処から突っ込めばいいか分からなかったから・・。

「ふっかぁーつ!」

「もーアクちゃんったら、油断しすぎ~」

「いやぁー寝てると思ったんだけどねー」 

 クリスはハリセンをアクに投げつけた。

「痛い!?」

「さっきのなんだったの?」

「あぁ、サウジーナのことかい?」

 それ以外に何がある。

「アレはねーこのからだの本体さ」

「へー、へ?」

 リンは間抜けな声を上げた。

「本体?」

「あたしの本体はコレさ」

 あの不思議な色をしたコンパクトを取り出した。

「あたしはコレに取り付いていた淫魔の精霊なのよ、もともと雑魚だったんだけど、サウジーナに隙があって取り込んでやったら、こいつ強い魔力は持ってるのに意思が弱いからさ、簡単に乗っ取れちゃってずっと居座ってやってんの」

 笑顔でアクはそう語る。

 クリスはクスリを見た。

「幼馴染じゃないの?クスリの力なら追い出せるでしょう?」

「楽勝よ」

 勿論といわんばかりの返事。

「でも、サウジーナなんて嫌いだわ、いっつもウジウジウジウジ・・悪魔系ならアクちゃんぐらい行動的じゃないと、ねーアクちゃん?」

「ずっといたからアタシ自身ランク上がってるんだけど。さすがに化粧を流されると素にもどっちまうんだよ~」

 それでさっきすっぴん美人だったのか。

 なんだかサウジーナがかわいそうになってきた四人。同情はするけど助ける気はない。

「アクちゃんデート行こう~」

「いいけどさ、何処行く?餡蜜屋?」

「ううん、囚人狩」

「「性悪!!」」


 コレではドッチが悪でドッチが聖か分からないなって思った四人であった。


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