上
最上天界は雲の上に住んでいた。大地が雲、雲が大地・・リンは雲の下がどうなっているのかと気になり穴を掘り始めた。
「ココがアタシ『アク・マウジー』と『クスリ』が統治している国、『エデン』さ」
「へー、でも私ならもっといい感じに統治できるけど?」
クリスが自信満々に言うとアクはわらった。
「あんたらは継ぐことになるさ、なぜなら」
「うわぁああああああああぉ」
リンの悲鳴があがった。
「リン!?……馬鹿?」
雲を彫りすぎて落ちそうになっていた。っていうか、水じゃない犬神家?アクが魔法で持ち上げた。
「はぁー聞いてた以上に阿呆だな」
「俺噂になるぐらいアホなの!?」
リンはショックを受けたらしく「クリスー」とクリスに縋りよった。
「事実でしょう。」
「ガーン」
「で?アク、聞いていい?拒否権は無いけど」
「ほう?」
クリスはアクを真っ直ぐと見据えた。
「もういい加減移動は嫌なの。答えて私達の居場所はここなの?」
「さぁ?居場所ってのは自分で作るもんさ」
「そういう格言的なこと聞いてないんだけど?」
コォォォ、光の刃が光る。
アクは冷や汗を拭う。
「あらあら、アクちゃんお迎えも満足にできないの?」
「クスリ」
金色の長い髪が大地につくかつかないかのところまで伸びている。まるで女神、・・いや女神だけど。
「愛と美と豊穣と感情を司る、光の巫女です」
「ちなみにあたしは闇の巫女だよ」
「うん、つっこみたいことは色々あるけど、今は一つにするわ。巫女ってなに?」
「まぁまぁ、話は神殿について、椅子に座ってからにしましょう」
リンのお腹もなる
「小腹も空いたしね?」
指をパチンっとならすと一瞬で神殿に移動した。
「あなた達は私達の子ということになるわ」
「なる?」
「ええ、知っていて?人界にもあるように私達にも孤児院と言うものがあるの、長い人生を生き抜く中で親の無い神はやさぐれて、とんでもない邪神になりやすいから」
「ふーん」
羽の生えた女官に運ばれてきた料理にリンは手を出した。
「孤児院にいる子ども達はみーんなどんな形しているか知っていて?」
「いいえ」
「卵よ」
ゆで卵を丸呑みにしたリンが目を丸くした。
「親が子を生んでも育てられない場合、保存カプセルとして卵に子どもを閉じ込めるの、保存カプセルに入れられた子どもはまず自分の力では孵られないわ」
「へー、それで天使って羽があるんだ」
「リンちゃん、羽は空を飛ぶためのオプションよ・・で?」
クリスはクスリを見据えた。
「じゃあ私達は孤児院の卵から貴女らに回収されて産まれて、途中放棄されたってこと?」
「そうよ、少し違うけれど大体そう」
あっさりクスリは言った。
「でも放棄したわけじゃないわ、必要だからそうしたのよ」
「……」
優雅に紅茶を飲みながらクスリは微笑んだ。
「貴女達はまだ若い、だから・・今はまだ学びなさい」
有無を言わせぬ微笑にクリスは下克上するものの笑みを浮かべた。
「そうするわ」
リンとアクだけ、食事に夢中だった。
あれー?クリスは天使なのにーすっかり小悪魔(!