の末に
「ねぇ、何してるの?うっさいんだけど」
ミントが銃を持った状態で現れた。
「おい、危ないぞ」
と、同じく野次馬していたソラが止める間もなくミントはルミとルカに挟まれた。
「ミント!武器の神なんでしょ!銃器系今すぐ出せ」
「ミント!防具の神なんでしょ?防衛系今すぐ出せ」
同じ顔に同じく恐ろしい剣幕で捲し立てられ、涙目になるミント。
「「はやく!!」」
「はいぃ!?ごめんなひゃいぃぃ、うわぁぁあん」
恐怖のあまりミント性格変わってます。
「死んじゃえぇえええ!!!ルミィー!」
「言うじゃないのぉぉ!!!ルカァ!!」
なんというか、阿鼻叫喚。
巻き込まれていく村人を見送る。
「はぁはぁ」
「ルミ、ばっか、ずるい」
「はぁ?」
涙を浮かべ、盾を構えたルカが叫んだ。
「私だって、ルミと同じもの好きだし、同じもの欲しい!でも、ルミは天使で私は悪魔だから……こんな性格別れちゃって……私だって、こんなうっと暗くなりたくてなってるわけじゃないのに!」
「だったら明るくなればいいじゃない!ラッカだってリーファだって双子だけど明るいわ」
「仲悪いけどね」
ラッカは腕を組みながら言い切る。
「悪魔だとかそんなんで区切ってるのは、ルカだけでしょ!!」
弾切れになった銃を投げ捨て、ルミはとんだ。
「ルカには分からないのよ!悪魔の気持ちなんて!!」
ルカも盾を投げ捨てとんだ。
拳を握り、二人殴りあう。
「「この、分からず屋ぁあああああああああああああ」」
グリフは血まみれになりながら遠い目をした。
「もはや、オレ関係なくね?」
「いや、きっかけはあんただから」
ハイヒールでグリフの頭を踏みつけながらクリスは見下す。
「悪魔だから、天使だから、……ねぇ」
リンはルカの言葉を考えていた。
さすがに平等に分け隔てなく、というわけにもいかない状況ではある。
それぞれに理由があり、相容れない事もてでくるのだ。必ず。
「階級そのものは差別であり、必要なものでもある。天使は救いであり、悪魔は必要悪である」
「あ?」
リンの思考を呼んだのだろう、クリスは続けた。
「その先入観は人が作ったもの、人が作った偶像を我々が具現化し、守っている。神は神だけど、神に非ず」
「されど人に非ず、か」
「ルカが言いたいことは分かるわ、区切られた枠の中にはまってしまえばそこから抜き出でることは難しい」
何も言わなくなったリンに、クリスは自嘲をこめて鼻で笑った。
「……私たちですらね」
「名は縛りである。肉体は魂を縛り、脳は記憶を縛る。縛られぬ個体は、無。無を縛るのは、名なり」
「理解できるか?アメリアス」
二人の背後に立っていたアメリアスと名雪は肩をすくめた。
「言葉の意味ならね。でも、その言葉の意味するモノは分からない」
「……結局」
名雪はお面を押さえつけながらつぶやいた。
「知ったかぶりは恥をかく、か」
「神なんて、そんなもんよ」
全知全能だなんて。誰が作ったのか
すべてを知ることなんて、すべてがどこまであるか分からないのに、すべてなわけがない。
「で」
アメリアスは腕を組みながら村長二人を見た。
「あの姉妹喧嘩どうするの?いいかげん止めたら?」
「そうね。逝けグリフ!!」
グリフを蹴っ飛ばし、双子の間に飛ばす。
「ルミ、ルカ、いいかげんにしなさい」
「「クリスは黙ってて」」
「あぁ?」
クリスに睨まれ、動きを鈍らせた。
「この村の法律を忘れたの?というか、私を怒らせたいわけ?」
「っこれは、私たちの問題よ」
「そうね、ルカ。これはあんたたちの問題だわ。だから」
腕を組んで顔を斜め上へあげ見下しのポーズをとるクリス。
「喧嘩するなら余所へいけ」
「・・・・・はい」
クリス村住民は改めて思った。
クリスは怖いと。
「あ、そうだ。なんならグリフ分離させて二人にしたらいいじゃん」
「リン」
「あ?」
「ハウス」
クリスに言われリンは歩いて行った
ルミとルカはお互い見合って、グリフを見た。グリフは口から洩れた赤い汁をぬぐいながら立ち上がった。
「悪いなルカ」
ルミの肩を自分へよせる。
「オレは、ルミが一番大事で愛している。たとえ顔が同じでも、俺は気の強くて泣き虫でツン多めなツンデレのルカがいいんだ」
「グリフ……ちょっと突っ込みどころあるけど、今は黙っとく」
「そんな、グリフさん……」
ルカがしゅんとうなだれる。
「分かってくれ」
「いや」
「え?」
ルカはバッとルミを突き飛ばすと服を脱ぎはじめた。
「私のほうが、いいかーーー」
神の天罰。
落雷がルカを攻撃した。
「いいかげんにしなさい」
クリス村は沈黙した。