痴話げんか
「ふふんへいへいほーん」
鼻歌を歌いながら歩くグリフ。
楽しそうだ。
「ふふーん、ほいほいへーい」
その後ろからルミが現れた。
「ちょっと!また遊びほうけてどこ行くつもり!?」
赤ちゃんを抱いてルミはグリフを怒鳴る。子供も双子でルミの両手の中で大泣きしている。
「ベイビーが泣いてるじゃないかハニー。なんだよ、俺になかされたいのか?性的な意味で」
「死ね」
すごい水圧に押しつぶされるグリフ。
「あんた、いつまでもそのノリで通せると思わないことね」
「イチャラブライフを送った記憶ないんだけど……」
「あ、グリフさん昨日楽しかったわ!また遊びましょうね」
「きっとよー?」
「あぁ、ばいばーい!エルルちゃんにユエルちゃん」
二人の若いエンジェルがとことこ歩いていく。
このクリス村も、村という範囲を超えて広くなった。天使も悪魔も住むまさしく平等な村なわけであるが……問題はそこじゃない。おおいにそんなことはどうでもいいのだ。
「どういう関係?」
「パブで知り合ってさー、ちょこっと大人の遊びを」
「へぇー?」
ルミの殺気を感じ大泣きする子供たち。
近くを歩いていたウィルマが頭を抑え倒れた。
「ウィルマさーあああん!!」
「何?まさかウィルマとも・・・」
「違う違う!!あぁ、お前の殺気思念強すぎてダイレクトにきちゃったみたいよ!?っていうか泡吹いてるから!落ち着け!!」
「誰のせいだと思ってるのよ!!」
「アイリーン!!!」
ウィルマに気が付いて介抱せんと近寄ってきたアイリーンも怒りの声に驚いて気絶した。
「最高神クラスがそんなんでいいのー!?」
もう涙目のグリフ。
さっきまで歩いていた村人の姿なぞすでにない。
「なにしてんのよ」
岩の女神ラッカが現れた。
「た、たすけて」
状況を見て、頷いた。
「ルミ」
おぉ、さすが岩の女神……落ち着いてる。
「赤ちゃん抱っこしていてあげるから、思う存分やっちゃいな」
「違う!フォローの仕方が違うぅぅぅぅ!!!」
両手の解放されたルミが腕を鳴らしながらこちらにやってきた。
「ちょ、話し合おう!な!」
「あ?」
水の剣出現。
わぁ★オワタ★★
「ぎゃああああ!!」
「逃げるな!下級騎士なんでしょうがあああ!!」
「オレレベル30アナタ3000!!無理ぽぉぉぉ―――ぉぉ!!!!」
「まってルミ!!」
グリフの前に立ったのはルミの双子の妹、ルカだった。
おとなしく、気の弱いルカが、ルミの前に立った。それだけでも珍しかったが
「もう、やめて」
「ルカ、のいて!これはケリをつけなきゃいけないのよ」
「ひぃ」
「御願いルミ、いらないなら、ちょうだい!!」
(゜_゜)!?
「え?」
「ん?」
「なんて?」
皆首をかしげる。
「修羅場だな」
リン以外。
「居たのか」
「お前が鼻歌歌ってたあたりから」
「最初っからじゃねーか!助けろよ」
「あ?」
「すみません。口に気を付けます」
「で?」
ルミが腰に手を当てた。
「どういうつもり?言い間違い?それとも」
「本気。私だって、グリフさん好きだったのに」
「はっはー。もてる男はつらいね」
「それクリスの前で言ってみろ」
グリフの上から十字の剣が三本出現しグリフを串刺しにした。
「死ぬぞっていうまえに刺されたな」
「クリス村にいるんだから、私が分からないわけないでしょ?それに」
神様修羅場大好物です。
「こんだけ大騒ぎしてたらね」
「心の声見えてるぞ」
「私にちょうだい」
「いやよ!人の男とる気!?」
「ちょうだい!くれないなら」
ルカの周りに風が出現し、ルミに襲い掛かる。
「死んで!!」
「ヤンデレか!」
ヴァニラが現れ、倒れているアイリーンとウィルマを見て、不思議そうに首をかしげた。
「何をしているんです。こんなところで泡吹いて。リンさんの料理食べましたか?」
「俺の料理普通だよ」
「あぁ、普通にまずいんでしたね……ぷ」
「え、ひど」
ルミとルカのバトルが始まる。
「どっちが勝つと思う?」
「相対しているものが、決着つくわけがない」
「まぁ、大丈夫よ」
クリスが笑う。
「村が壊れない程度なら、いくらでも暴れて頂戴。いざとなったらあれよ」
「あぁ、喧嘩両成敗?」
「いいえ、元凶抹殺」
グリフ復活した途端口から血を吐いた。
「長くなりそうだなぁ」