第8話 やっぱり君が好き
今宵の晩餐はカメリアの好物に加え、豪華な料理が揃った。
「まさか、薔薇の香りに酔っていたなんて…。私の所為だな。すまなかった」
事情を説明するとダイニングに飾られている薔薇は香りの弱い品種に変えられた。
「いえ、貴方に嫌われるのが怖くて言い出せませんでした。私が正直にお伝えすればよかったのです。今となっては貴方が私をもてなすつもりでダイニングを綺麗に飾っていたのだとわかりますから」
「カメリア…」
料理が並ぶと二人は食事を始めた。
「舌平目のポシェだな。君は肉より魚派なのか?」
「そうですね。大陸出身ですのでこんなに魚が美味しいとは知らなかったのです。リブロンのような島国の海産物は大変美味しくいただいてます」
カメリアは料理を口元に運ぶと、あまりの美味しさにその味を噛み締めた。
(ん~!!美味しい)
(ニコニコ)
「…」
(ニコニコ)
満面の笑みで自分を見つめる視線が痛い。
「…あの、陛下?」
「名前で呼んで?カメリア」
「あの、ジャレッド様?先程から手が止まっていますが、折角のお料理が冷めてしまいますわ?」
「今は1ヶ月ぶりの君を堪能するのに忙しい」
「///……ですがそれではお食事がお進みになりませんでしょう?お腹が空いてしまいますわ」
「1ヶ月君に会っていなかったから私は君に飢えているんだ。君で満たしたい」
「///……だからってそんなに穴が空く程見つめないでくださいませんか?恥ずかしくて食べれません」
「赤く照れている君も美しい…。何ならテーブルマナーの所作も芸術的だ。やはり君は神が与えてくださった最高傑作…」
「///っ陛下!」
「少し怒った顔もなんと美しいのだ…。そして名前で呼んで?カメリア」
「もう…」
何を言っても無駄なのかとカメリアは口を尖らせ困ってしまった。
「はぁ…なんてことだ…。君はどんな仕草も愛らしい」
「///(いったいなんの刑なの…?)」
この日カメリアは終始、愛の眼差しと愛の言葉攻めを受けた。
こうして、二人の気持ちはしっかりと通じ合ったのかどうかは定かではないが、国王は以前よりも王妃を愛でる日々は続き、国民に王妃のご懐妊の報せが届くのはそう遠くないのであった。
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