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第2話 ジャレッドは美しいものがお好き

ここはリブロン王国。現在の国王ジャレッドは極度のナルシストだった。

物心ついた時から他人に全く興味がなく、鏡を見つめては微笑んでいた。肌は透き通るように白く絹のように滑らかで、エメラルドの如く輝く瞳を持ち、癖のない金髪は風が吹けばふわりと揺れる。剣術馬術も怠らず励み、適度に引き締まった肉体も美しい。自らも努力し美しさを維持している。とにかく美しいものを好み、自らの名の通り花は薔薇を1番愛す。庭師に依頼し、王宮の庭園内にジャレッド専用のバラ園を造らせるほどだった。

そんなジャレッドに困惑したのは先代の国王夫妻だった。二人はジャレッド王子しか授かることが出来ず、跡取りはこのジャレッドのみ。しかし、国の存続の為に立太子したものの婚約者を見つけることが出来ずにいた。娘を将来の王太子妃にしたい貴族は溢れるほどいるのに、国内の貴族令嬢を身分問わず片っ端から面会させたもののジャレッドが興味を示す令嬢は現れなかった。ジャレッドが美しいものを好むと周知されてから令嬢らは目に止まるようにとさらに着飾るようになったが、作られた美しさは逆効果であった。こうなれば政略結婚をすれば良いのだが、嫁いだところで愛のない生活を余儀なくされ、跡継ぎを授かるための夫婦の営みさえあるのかわからないだけに、立候補する令嬢はいなかった。そして今では王太子は国内令嬢の観賞用として存在しているのである。


時は遡ること今から2年前。リブロン王国の王太子ジャレッドは20歳を迎えていた。この歳になるまで王太子ともあろうものが未だに婚約者の存在がない状態であった。国王夫妻は王太子の20歳を記念した誕生祝賀会として盛大なパーティーを開いた。妃教育を考えても、これがジャレッドを尊重した婚約者探しの最後のチャンスと国内の女性を平民だろうが身分問わず参加可能とした。そして状況が一転した。ある女性がジャレッドの心を掴んだのだ。逃してはならんとすぐにその女性の身元を調べると、リブロン王国とは交流のなかった遠く離れた国フルリール王国の王家次女であるカメリア王女だったのだ。カメリアの肌もまた透き通るように白く絹のように滑らかで、アメジストの如く輝く瞳を持ち、プラチナブロンドの髪は絹糸のように流れている。流行の身体のラインを拾うドレスも難なく着こなしその姿は芸術的であった。所作も洗練されていて大変美しく、高貴な身分であることは調べずとも窺えた。そして何とも幸運なことに王女であるにも関わらず結婚も婚約もしていないという。ジャレッドの気が変わる前にとすぐにジャレッドとの婚約を提案するとフルリール王家も快諾した。こうして2人は婚約し、その半年後には結婚した。


そしてさらにその半年後、国王夫妻が公務の移動中の事故によりお二人とも亡くなってしまったのだ。王太子であったジャレッドは国王となり、その妻カメリアが王妃となった。


その国王夫妻としての生活も1年となる今、カメリアが倒れたのだった。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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