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メイド☆イン☆勇者〜お嬢さまと世界は、このメイドが守りますっ!〜  作者: 紅茶ごくごく星人
第2章 メイドの勇者と旅に出る☆☆

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第七話 私と勇者の魔王討伐......そして魔の牛すき鍋☆☆

魔王の城に脚を踏み入れた私は、道中の魔物を薙ぎ倒しながら走り抜け、玉座の間に辿り着き、そして———魔王に突き飛ばされた。


私は瓦礫の下にいた。


魔王が戦いの最中作り出した闇の防壁。

私はそれを崩してばらばらの瓦礫にしたが、その瓦礫に自分自身が埋もれてしまった。


目がうまく開かない。耳鳴りで他の音がうまく聞こえない。


でも、目蓋越しに光が見える。

でも、それはお日さまのような光ではない。


暗くて歪んだ、光のような闇。魔王の魔法攻撃だ。


「.........もう終わりなんだ。なんだか呆気ないな。」


私は......


「ありがとうございました......お嬢さま。私ではお嬢さまを幸せにできませんでした。」


首痛い......涙がぶわっとこみ上げてくる。


「だけど............私は幸せでした」


しかしその時、別の光が見えた。

眩しくないのに強い、暖かくて優しい光が、その場を包んだ。


私にはわかった。

それがお嬢さまだということが。


「お嬢さ——!?


...............ついに覚醒したんですね、勇者に......

それこそ今のお嬢さまが水晶に触れたら......測定不能で粉々になっちゃうだろうな......!


もう私は必要ありませんね。

貴女ならできます。魔王を、倒してください......!」


私はお嬢さまが返事をしてくれているのかもわからず、伝えた。


だけど突然、はっきりと聞こえた。


「いえ、必要よ」


お嬢さまの声。

こんな時に、幻聴。


「お嬢さま......」


死にかけで混乱した、私の都合の良い願望だろうか。


でも幻聴だろうがなんだろうが、私はそれを否定すべきだと思った。

そうしなければ気が済まずあの世にいけない。


「いえ、必要ありません。

旅の始まりにご主人様も言っていたではありませんか。


勇者血率が高いお嬢さまの方が、勇者に覚醒した時のポテンシャルが高い、と」


「.........」


しん、とその場が静まり返る。


幻聴が止んだということは、とうとうお迎えが来


「うるさああああああああああいっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

突然の大声


「わああああああああああああっ!!?!?!?!?!?!?」

びっくりして跳ね起きる。


まだ視界は真っ暗。だけど、()()()()()()()()()()

色や光のない完全なる闇、完全なる漆黒、完璧なる純黒ではない。


私を埋めている目の前の瓦礫が、()()()()()()()()


すると、声が聞こえてきた。

「......貴女と一緒なら、私は二百年や三百年の道のりでも、四の五の言わずに突き進める。


ぱあっと心のもやが晴れて、つい笑顔が溢れて、私が返す言葉は、ただひとつだった。


「七転び八起きのその後は、九死に一生が大量です!」


私は力を振り絞り、勢いのままに飛び起きた。

視界が晴れる。目の前にいたのは、お嬢さまだった。


「お嬢さま......どうして、ここに」


「いいから、これ持ってよ」


お嬢さまは私にモップを差し出した。


「でもっ」


「いいから!私のメイドなんでしょう!命令を聞きなさい!」


「は、はいっ!」


彼女は私に手を差し出した。


「私、勇者に覚醒してないわ」

そう言うと、お嬢さまが足元を向いた。


魔王城の床は鑑定水晶になっていて、ずっとステータス情報が丸見えになっていた。


「えっ、ああっ!?き、気付きませんでした......!」


「だから一緒に戦ってよ。私の勇者様。」


「......はい!」

私はお嬢さまの手を取り、元気よく立ち上がった。


ちょっと転びそうになって、お嬢さまに支えてもらって今度こそ立ち上がった。


「ところで、さすが魔王というだけあって紳士的なんですね。

この隙に私たちを攻撃しないのは。」


私は魔王の方を向いた。


「いいえ、あれは魔王じゃないわ」


「えっ!?」

つい気の抜けた声がでた。


悪夢の(ナイトメア)テーブルクロス。

魔王軍四天王の一人で、魔王の闇の力で命を吹き込まれたテーブルクロスらしいわ。

それで、直接姿を見なければ攻撃してこないんだって。」


「だから何を話しかけても無口さんだったんですね......」


私とお嬢さまは後ろを向いたまま、悪夢のテーブルクロスをあっさりと倒した。


「ねえ、あの......今まであなたに酷い態度をとって、ごめんなさい」


「いえいえいえいえ!!?!?いいんです、これからもお嬢さまと旅ができるなら、それで———」

私は嬉しさのあまりちょっと慌てて言うと......その時、お腹が鳴った。


「......あはは」

私は恥ずかしくなって、赤くなった顔を手で覆い隠した。


「早くご飯にしましょうか。」

お嬢さまはそう言うと、私の手をとった。


私は黙って、こくりと頷くほかなかった。


.........


私たちは真っ黒な草が生えた闇の草原で、ピクニックをしていた。

夜だったので、ピクニックというよりキャンプという方が近いかもしれない。


超大きかった悪夢のテーブルクロスは、肌寒いので無事ちょうどよく悪夢の毛布となり、2人でくるまった。

急いで狩った魔物牛を捌いて、その辺に生えていた謎の野草やスパイスと一緒に煮込み、魔の牛すき鍋を2人仲良くいただいた。


「残りの四天王は2人......それに、本物の魔王はどんな方なのでしょうか?」


「今食べているこの牛さんが、実は魔王だったりして。」


2人揃って手元のお椀に目線を下ろした。

そして目を合わせて、笑った。


「ふふっ」

「あはははっ、美味しすぎますね、魔王」


笑い声が夜空に響き合う、楽しいひとときを2人で過ごした。

There story to be continues, but whether or not we can ever know it is another matter.

(この先の物語の構想はあるけど、それを記す意義について懐疑的になってしまったので、一旦休載とさせてください。筆者の気が向くか強いご要望があれば再開します。)

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