008 セバスティオヌの驚き
興味を持って頂きありがとうございます。
今回は少し短めなのでお昼にもう1話アップします。
私はセバスティオヌ・シュンガ。
バクトゥリア王国の戦闘執事でございます。
今回、バクトゥリア王国の第2王女であられますエレン様を無事にセレーコス帝国の帝都エクバタナまで送り届けるという大任を仰せつかっております。
バクトゥリア国内は順調だったのですが、帝国の街道ははっきり申しますと整備が不十分であり予定していたよりも少しばかり日程がずれ込んでいるようで食料も多めには持ってきていたのですが節約せざるを得ない状態でした。
兵たちもまだ旅程の半分も来ていないというのに疲れを見せていた中、そんな折、ゴブリンの集団に襲われたのでございます。
私も魔物狩りを何度も経験しておりましたので分かりますが、騎士が6人に対してゴブリンが100体では勝ち目がないのは火を見るよりも明らか。
私も戦えるとは言え、それでも私たちは蹂躙される事になると半ば死を覚悟していたのですがそこに1人の救世主が現れたのです。
リュウタ・カジ
と名乗る少年。
成人を迎えたというのですが見た目は間もなく15歳になるエレン殿下と同じくらいか少し若く見えます。
そんな彼が子犬の様な眷属と共にこの100体のゴブリンを次々と屠ってしまったのです。
珍しい刀という武器の使い手ですが、あの年齢で我が国のどの騎士たちより上ではないかと思えるほどの腕前でございました。
それ程の腕前なら多少は傲慢になるであろうに少年は非常に謙虚でこちらからのお礼の申し出を断ろうとさえします。
エレン殿下の名を告げてようやくお礼を受け取ってくれると言うほどバクトゥリアという権威がこの少年には通用しなかった。
ん?カジ……?リュウタ・カジ……
少年はカジ村とか言ってはいましたが、そこはセレーコス帝国内に於いて唯一の自治領であるカジ自治領、正確にはカジーノ公国ではないでしょうか!!
自治領といっても帝国に下ったのではなく争うのが面倒だからという理由で名目上自治領となっているだけで実質大陸最強の国と言われているのがカジーノ公国。
しかもリョウタ・カジという名が事実なら少年はカジーノ公国の公太子……。
正直なところバクトゥリア王国よりカジーノ公国の方が上位に位置する……。
であれば是非殿下の伴侶として繋ぎ留めておきたい!
その為にペルセリス、できればとエクバタナまでの護衛を依頼したのですがリョウタ様と一緒にいると驚かされる事ばかりでございます。
所持する刀は特1等。
神剣のなり損ないだというものは自分で鍛造したそうで……。
鍛治スキルも名人級以上?
グレイウルフとオークに襲撃された際の弓の腕前は狩猟者としても上級者以上でしょう。
虚空庫というスキルは超レアですが、建物を収納できるのですから恐らく帝国最高位の技量でしょうし、草を焼き払う際に使用した魔法は無詠唱での広範囲魔法ですから我が国の宮廷魔術師以上。
何より、短時間で作り上げられた料理から推測して料理人としても……
どんな素晴らしく才に溢れた人物でも得られる技能は多くて3つ。
大抵は1つだというのに今日だけで6つの技能を保持している事が分かりました。
流石はカジーノ公国の公太子と言った所でしょうか。
我が国の才媛エレン殿下は治癒魔法と剣術。
しかもまだ初心者に毛が生えた程度の実力ですからリュウタ様がどれだけ規格外か分かるというものです。
さぁ、今日はいろんな意味で疲れました。
彼が用意してくれたベッドで……!
なんですかこれは!
このシーツの肌触り、我が国特産の最高級バクトゥリアシルクと比べるのも烏滸がましいくらい柔らかく滑らか。
なんですか、この布団は!
一般的な藁を詰めた物ではなく……敷布団は木綿が詰められ、掛け布団は羽毛、しかもフェザーではなくダウン!!
なんて素晴らしい寝心地でしょう!
ベッドの中に潜り込んで布団に包まれると……はぁ〜もうベッドから出たくない!
よくよく見てみますと、この部屋の灯りは一般的な魔道具よりも明るさが一定で部屋の隅に行っても暗くない。
温度も湿度もちょうど良い。
こんな部屋、今まで見たことも聞いたこともございません。
今日は本当に疲れました。
明日もきっといろんな事に驚かされる事でしょう……はぁ……
お読み下さり誠にありがとうございます。
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これからも少しでも楽しんで貰えるよう頑張っていきたいと思います。




