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007

興味を持って頂きありがとうございます。


明けましておめでとうございます。

今年も宜しくお願い申し上げます。


正月早々グロ表現あります……苦手な方は読み飛ばしてください。



街道とは言え辺境の街道だ。

道も馬車がすれ違える程度の幅しかなく、しかも整備が整っているとは言い難いのが実情。

しかも街道の両サイドは鬱蒼と茂った森林に挟まれた、いや、密林を突っ切る感じで街道が敷かれている。

魔獣から襲われるのは当然と言えるのだが、この短時間で2回目というのは多い。


〈マーナ、今度は混合だな〉

〈グレイウルフ40頭にオークが10体。なかなかてこずりそうですー〉


グレイウルフは体高1メートル、体長が2メートル近くあり、大型犬であるセントバーナードより2周りは大きい魔獣で集団での戦闘を得意とする種族だ。

オークは人型だが精霊種ではなく獣種の魔獣で身長が2メートル30センチほど。

知力は7歳児程度で残忍な性格。

そんな奴らが襲ってくるのだから先ほどのゴブリン100体より脅威度は数段上がる。

何より、狼属の頂点にあるマーナがいるにも関わらず襲ってくると言うのも何か原因がありそうだ。

俺は外にいる騎士のアンドゴラスたちにも警戒を呼びかけた。

探索魔法で再度調べてみると距離も200メートルまで近づいてきている。

別々ではなく一緒に行動しているようなので恐らくオークがグレイウルフを伴って襲撃してきているのだろう。

オークが他の魔獣を使役して襲撃するのは珍しくはないのだが、10体が共同しての襲撃は珍しく何より同じ日にゴブリンとオークの集団から襲撃されるのは魔獣によるスタンピードでも起きていない限り滅多に起こらない出来事であり、少なくともこの地域では魔獣が増えている事を示している。


「来ますっ!」


俺は腰の涙紋刀に手を掛け馬車の前方に駆け出した。

その動きを見てアンドゴラスたち騎士も馬から降りて抜剣する。

次の瞬間、森林の茂みからグレイウルフが飛び出してきた。

巨体のグレイウルフが飛び出せば優に2メートル以上の高さとなる。

そこから飛び掛かられれば多くの場合、なす術もなく飛びつかれてマウントを取られThe Endだ。

俺はグレイウルフが飛び上がった瞬間、その下に潜り込むようにしてガラ空きの腹を掻き切ると腹開きになった物体と化したグレイウルフは俺の後方で多量の血を撒き散らしながら痙攣をしている。


「次っ!」


俺に牙を向けたヤツの口を水平に斬ると頭が上半分がなくなりそのまま地べたに突っ込む。

そのまま身体を入れてもう一頭の首を落とす。

これで3頭。

ヤツらは俺が最大の敵と感じ取ったのだろう、5頭が俺を囲むようにし同時に襲い掛かってきた。

しかし、刹那程の時間差があればその間隙を突いて屠っていくのは容易い。

次の瞬間、5頭の首無し死体が増えた。


「Guoooooo!」


オークが俺に向かってきた。

その巨体に似合わぬ敏捷性を持ち合わせている様で一気に俺との間合いを詰めてくる。

手には棍棒が握られており、その太さから並の剣であれば1撃で折られてしまうだろう。


〈マーナ!馬車から離れ過ぎるな!〉

〈あっ、ごめんなさい〉


マーナが少し馬車から離れているのを見てグレイウルフが標的を俺から馬車に移したようだ。

オークとの戦いは長引かせられない。

棍棒を振り被ったオークの懐に潜り込み一閃、刀を水平に払うとオークは下半身と上半身がずれ落ちていく。


「くっ!このままでは馬車に向かったオークに間に合わない!」


俺は虚空庫からクナイを取り出し、オークの頭に向かって放った。

アイルランドの神であるルグの親父直伝の投擲は寸分の狂いなくオークの頭を貫く。

1投、また1投。

オークの後頭部にクナイが突き刺さりその巨体は地面に突っ伏して痙攣している。

そのまま馬車に戻りつつ次のオークへと向かい股間から胸元へと斬り上げると内臓をぶちまけながら膝を突くので首を切り落とす。


「オーク、残り6っ!」


騎士たちは防戦一方のようだがグレイウルフを1頭仕留めたようだ。

マーナはグレイウルフを2頭仕留め、今は1体のオークと対峙している。

それを確認した俺は少し馬車から距離をとった残りのオークとウルフたちに対して弓を使うことにした。

長弓。

この世界では滅多に見ることがないだろうタイプの弓を番えて俺は矢を放った。

弓はアルテミスの親父と武徳殿大神の親父に扱かれているだけあり、威力、そして正確さと速度には自信がある。


シュ


矢の風を切る音がしたと思った瞬間、茂みの奥でオークの絶命時の絶叫と共にその巨体が倒れる音がした。

そのまま矢継ぎ早に矢を放つと、また1体、1頭とオークやグレイウルフの絶叫が聞こえてくる。

オークを全て屠ると残り少なくなったグレイウルフは一目散に逃げ始め魔獣との戦いは終了した。

スタンピードの可能性は否定できないが、今は目の前の脅威が去ったのだから周囲の警戒だけしておけば良いだろう。


〈マーナお疲れ様〉

〈ごしゅじんさまほどじゃないですよー〉


今回、騎士たちはグレイウルフを2頭、マーナは4頭とオーク1体。

俺はグレイウルフ27頭とオークを8体、そしてオークジェネラルと言う上位種を仕留めていた。

それらを虚空庫に収納し馬車に乗り込もうと思ったのだが、騎士たちはこの場で2頭の素材取りを始めた。


「すみません、グレイウルフの牙や毛皮は結構需要があるのもので……」


アンドゴラスは頭を掻きながら時間が欲しい旨伝えてきた。

もちろん俺はそれを快諾し、マーナと自分に浄化を掛けて馬車に戻った。

そして周囲には結界を展開して魔物が近寄らないようにしておく。

魔物の血の臭いはかなり強烈なので血飛沫を浴びてはいなくても結構臭く、他の魔獣を引き寄せてしまうからだ。


「お疲れ様です……えー、リュウタ様は鍛治師だったのでは……?」


セバスティオヌは俺の戦果に信じられないものを見たかのように言葉を紡げなくなっていた。


「鍛治師ですよ。何かありましたか?」

「剣術に弓術が……」

「鍛治師は自分の造ったものを使いこなせないといけませんからそれなりに使えますよ」

「いや、普通は……いえ、その通りです」


セバスティオヌは疑問に思った言葉を飲み込み、俺の言葉を肯定した。

エレンはマヨルカと両手を取り合って座りながら身を震わせていたが、俺の顔を見て緊張が和らいだようで、


「リュウタって強いんですね」

「ん?普通じゃないですか?今日は新鮮なオークの肉が手に入ったので夜はこれを調理したいですね」


当然、虚空庫の中では素材の分類が終わっており、オークは証明部位の右耳、お金になる貴族向けのオーク肉やジェネラルから採れた上肉を合わせ150キロ、睾丸が20、心臓と肝臓がそれぞれ10に上顎の牙が20本と皮を10体分。

血液の多くは地面へと流れてしまったので回収できたのは25リットルくらいだろうか。

小腸はしっかりと洗浄して後からソーセージでも作るとしよう。

そしてたっぷり確保できた脂肪からラードを作り揚げ物用の油を確保しようか。


「オーク肉って高級食材ですよね!私たちも頂けるのですか?」

「ああ、帝国でもあまり知られていないトンカツという料理を作ろうかと思うんだ」

「トンカツ!?私も初めて聞きました!」

「私も存じ上げません」

「リュウタ様は料理もおできになるのですか?どれだけスキルをお持ちで……」


エレンだけでなくマヨルカやセバスティオヌも驚いているが、セバスティオヌの場合は自分の中の常識と随分異なるのだという驚きではある。

俺は虚空庫の中で肉を熟成させた後にトンカツの下拵えをし、1人250グラムと大きめにカットして人数よりかなり多めの60枚ほど作る。

ついでにご飯も40合ほど炊いておきキャベツの千切りと豆腐となめこの赤だしの味噌汁も用意しておく事にした。

結局騎士たちの素材剥ぎ取りは不慣れなのだろうか3時間ほど掛かってしまい、辺りが暗くなってきたので最寄りの空き地で野営する事になった。


「リュウタ様、お急ぎのところ時間をかけてしまい……」

「気にしなくて良いですよ。俺は気ままな1人旅ですから」

「そう言って頂くと嬉しく存じます」


相変わらずセバスティオヌは俺に対して敬語を使い続けるので肩が凝ってしまう。

それに対してエレンは幼馴染かのように気心知れた感じに話し掛けてくれるので気が楽だ。

20分もしないうちに適当な広さの草原があったのでそこで野営する事になった。


「それでは野営の準備をしますね〜」


俺はそういうと草を焼き払い地面を均して固めた。

そこに予め建てておいた大浴場と各寝室、それに俺専用の住居である「テンモクハウス」で円を描くように設置しそれらを取り囲むように結界を展開した。

そして建物の中心にできた空き地に24人掛けの大きなテーブルと椅子を土魔法で作り、横に簡易キッチンを設置した。


「リュ、リュウタ様……これは……!?」

「これですか?野営用の簡易住宅ですよ。あの大きめのは俺の移動用住宅ですね。それと大浴場もありますよ」

「それをどこに収納していたのでしょうか?」

「ん?虚空庫にだけど、それが何か?」

「いえ、問題ないです……」


セバスティオヌは少し視線が泳いでいるが長旅で疲れているのだろう。

俺は下拵えをしていたラードを天ぷら鍋に入れて加熱する。

新鮮なラードでカラッと揚げるトンカツほど旨いものはない!

人数が多いので180度と160度に熱したたっぷりのラードが入った鍋をそれぞれ4つ用意し、始めに160度で3分ほど揚げてから180度で30秒ほど揚げると中はほんのり薄くピンクが残る感じにしっかり加熱できしかも衣はカリッと揚がるのだ。

しっかりと油を切って、適当の幅に切って皿に盛る。

キャベツは別の容器に盛ってご飯と赤だしを用意すれば完成だ。

騎士たちはその間に風呂に浸かって汚れを流し、女性たちは少しラフな服装に着替えて集まってきた。


「それでは皆さん一緒に頂きましょう!いただきます!」

「アン!」

「あのぅ「いただきます」というのは……」

「あっ、それはカジ村での食事前の挨拶ですね。食後は「ごちそうさま」って言います」

「そうなのですね。リュウタ様が食事の準備をしてくれたのですから、皆も挨拶をしましょう!いただきます!」

『いただきます!』


エレンは皆の前ということもあり、俺の事を様付けにしていた。

それもあってか侍女たちもすんなりと食事の挨拶を口にする。

食事はトンカツソースやカラシ、しょうゆなども出してあるのでそれを使って好きに食べてもらう事にした。

俺も5万年ぶりのトンカツに涙が出そうになった。

マーナはガフガフと無言でトンカツを食べている。


「オークの襲撃があった後とは思えないほどの贅沢な食事だな……」

「あれだけの規模の襲撃があったのに無傷というのも信じられないし」


などと騎士たちは会話をしていた。

侍女は侍女でトンカツの美味しさの虜になっていて、


「エクバタナまで干し肉とか保存食しか食べられないと思っていたのに幸せ〜」

「ホント昨晩の食事とは天地の差よね!」

「バクトラでの食事よりも良いかも」


エクバタナは帝国の帝都であり彼女らの最終目的地の事でバクトラは彼女らがやってきたバクトゥリア王国の王都のことだ。

エルフは自然を愛する民族として知られているが、料理もまた素朴なものが多いので揚げ物など初めてなのかも知れない。

総じて食事に満足してもらったようで作った俺も嬉しくなる。

食後、エルフの皆には各部屋で寝てもらうのだが、彼女らはそこでも驚きの声を上げる事になる。


お読み下さり誠にありがとうございます。

今回の話はいかがでしたでしょうか?

宜しければ感想・ブクマ・評価を頂けると嬉しく思います。


これからも少しでも楽しんで貰えるよう頑張っていきたいと思います。

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