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興味を持って頂きありがとうございます。




事業拡大のために人材をスカウトしようかと思って貧民街に行ったのだがちょっと甘い考えだったようだ。

なぜ貧民街かというと、貴族子女は飲食店で働くという考えは当然ながら持ち合わせておらず、平民は平民で両親の仕事を手伝うのが当たり前となっていた。

それに対して貧民街は職にあぶれた人が多く特に若者の失業率が非常に高くその失業率改善も含めて貧民街を選んだのだ。

しかし、貧民街に流れ着く人は訳ありの人を除くと才能(スキル)に恵まれていない人が多い。

それでなくても元々スキルを持っている人自体が多くないのだが、その上この世界は音楽という文化が根付いていない。

それは音楽関係のスキル保持者を見つけるのがより困難であるということを意味していた。

スキル持ちが少ない、更に貧民だから余計に少ない、音楽関係は更に少ないという三重苦の中でスカウトしようという考えが甘かったのだ。


「いや、まさかここまでスキル持ちが少ないとは……」


俺が呟くとノルンが不思議そうな顔を俺に向けて、


「主人様は神族なんじゃろう?それなら加護を与えれば良いだけじゃろう」

「えっ、俺が加護?」

「そうじゃ。妾にも加護を与えているじゃろう。「リュウタの婚約者」という名称でステータスに表記されていると思うのじゃが」


そういえば、ノルンだけではなくエレンやマヨルカ、タミレにもそう書かれている。

だがこれはこれは社会的な立場とかじゃないのだろうか?そう考えていると、


「加護まで与えなくても祝福でも良いのじゃぞ?それなら本人が音楽に適性がなく練習しなくなれば消えてしまうじゃろうし」

「祝福って消えることもあるのか?」

「いくら神が祝福をしても当の本人が努力しなければ消えてしまうものじゃよ。筋力もトレーニングしなければ衰えるのと同じじゃ」


そういえば手力師匠の親父も寵愛にしてくれてからトレーニングをしなくても膂力が落ちなくなるって言ってたっけ。


「そうか。俺なら犯罪性向の低い人を鑑定で調べてから祝福すれば良いか」

「それが良さそうじゃな」


という事で貧民街から300人ほど採用し楽器奏者と共に楽器製作者の育成などを始めた。

当初は指導できる人材が少なすぎたのだが、そこはホムンクルスを創り指導者にあてがう。

ホムンクルスたちは演奏者が揃わないうちは指導者と演奏者兼務にしていく事で採用した者たちの将来の目標として見据えやすくなるだろう。



それと同時に空いている平民街区に私設の音楽学院と生徒たちが住む寮を造り、そこに生徒たちを住まわせる事にした。

これで通学にかかる時間を練習に充てがえるようになるだろう。

他にもコンサートホールや演奏しながら食事ができるレストランなども準備していく。


「これで数年後には彼らが演奏者となって自力で稼げるようになるかな」


俺の言葉に反応して


「そうね。ここまでレールを敷けば後は本人の努力次第でしょうけど」

「妾たちもうかうかできないのぉ。しっかり練習しないと」

「そうですね。私たちも彼らの見本になるんですから」


エレン、ノルン、マヨルカが応える。

それに対してタミレは


「今は良いですが、これからは手軽に楽器を手にできる環境も必要ですわ。手始めに学校に音楽の授業を取り入れるよう働きかけて見ますね」


と俺よりも先を見通しているようだ。

現在、帝国にはセレーコス学院の他、小規模の私設学院が幾つかある。

最低限の読み書き計算と教養としてのカーリス教教学が学べるようになっている。

これに音楽を加えるのは難しいのではと聞いてみたら、


「それは授業というより下校後の子供の交流不足解消の一環と名目で導入させていけば良いと思うわ」


とタミレ。

私設学院は元々カジ・リュウイチが識字率を上げるために導入したものだ。

その考えに呼応した商会や貴族たちが私財を投じて設立・維持しているものなのだが、2時頃には各家庭に戻り親の仕事を手伝っていた。

子供達同士の交流の少なさは大人になってからの横の繋がりに影響を与えるというのが今の時点での問題としてあり、そこで音楽を通じて交流を持たせようという考えのようだ。


「そうだね。取り敢えず導入できるかタミレの商会が持つ私設学院やカジ家の施設学院から導入してみようか」

「そうね。そこで実績を出して広めていきましょう」


という事で先ずは2つの私設学院から始める事になった。



「レストラン・バクトゥーリア」での演奏はリュウタたちにとって良いストレス解消になったのだが、流石に毎晩演奏をする程時間がある訳ではないので、月に2〜3回以外はホムンクルスたちに任せる事にした。


「やっぱり生演奏を聴くのは良いよな」


最近では自分が得たスキルや全知に近い知識から元の世界の様々な楽曲の譜面(スコア)を創って行ったので曲のレパートリーも増えてきた。

また、ここで演奏した曲を手軽に再生できる魔道具を総合商社のミグロホリクムは「ファンザ・カレー」などで比較的安価に販売したらそれが大ヒット!

1曲銀貨5枚でありながら貴族や生活に余裕のある商家たちから広まり、今では一般的な家庭でも1曲や2曲購入していた。

ただ、音の広がりや音量などは生演奏に勝てる筈もなく、リュウタたちも時折、演奏を聴きにきているのだ。

来ているお客さんも開店当初は食事を目的に来ていたのが、今では演奏がメインになってきているのが側から見ても分かるようになってきた。


「ねぇリュウタ」

「なんだい?」


演奏を楽しんでいたらエレンが話しかけてきた。


「リュウタがたまに口ずさんでいる歌とかも取り入れたらどうかなって……」


歌は讃歌の女神と言われるポリヒュムニアのお袋から習っていたのでそれなりに歌えると自負しているのだが、それをエレンは気に入っているようだった。


「歌!?私も聴いてみたいわ」


エレンの言葉に真っ先に反応したのがタミレ。

タミレもまた音楽の広がりに歌が不可欠と考えていたようだ。

俺の婚約者たちの中で一番高音が出せて声量があるのはエレン。


「それならエレンに歌を教えるから歌って見たらどうだい?」

「え!?私が歌を……?」

「もちろんノルンやマヨルカ、タミレも歌うから」

「3人も歌うなら……」

「妾でも歌えるなら歌ってみたいのじゃ」

「そうですね。私もチャレンジしてみたいです」

「ピアノの弾き語りなんかもしてみたいわ」


と、ノルン、マヨルカ、タミレ。


「それなら楽器の練習に合わせて歌の練習も入れようか」


この歌も結局は大衆に受け入れられて4人はこの世界初のアイドルになるのは別な話し。


お読み下さり誠にありがとうございます。

今回の話はいかがでしたでしょうか?

宜しければ感想・ブクマ・評価を頂けると嬉しく思います。


これからも少しでも楽しんで貰えるよう頑張っていきたいと思います。

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