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興味を持って頂きありがとうございます。




ヒデキたちはダンジョン実習失格により地上に戻ったと同時に教授に対する武威行為で拘束される事になった。

これは学院の規則ではなく帝国法によるもので、“貴族に対する武威行為”と言う事での拘束となった。

その上、拘束時にヒデキが所持していた剣は魔道具店から強奪された魔剣という事が判明した事もあり、強盗事件に関与している疑いも加わり5人とも衛士詰所にある牢獄へと移送される事になった。

魔封じの首輪を嵌められ手枷と足枷をつけられ完全に犯罪者として扱われてはいるが、数日後にはリョウジたちだけでなく、何故だか実行犯のヒデキも“無罪”で釈放される事になり学院に戻ってくる事になる。

しかも、簡易裁判によりヒデキの行った貴族に対する武威行為は不問にされ、強盗によって得たであろう魔剣も魔道具屋などに返却される事なくヒデキの手元に戻ってきており、それは即ち、彼らは容疑者ですらないと言う事を意味した。

学院内に於ける対応もまた退学させようと言う意見が大勢を占めてはいたが、裁判で無罪となった彼らに処罰を行う事は出来ず数日後には普通に学院生として生活を再開する事になるーーー。


ヒデキたちが拘束された頃に戻る。

ダンジョン実習は結局、一番進んだ学生でさえ7階層までしか到達出来ず、早い段階で6階層に戻っていたのでガビル特任教授とノルンとアンティオコスは8階層から6階層へと戻りキュジケノスたちを補助する事になった。

俺とパパデウス、そしてエレンの3人はヒデキたちを拘束して学院内の独房に移送した後、再び10階層の拠点に戻りダンジョン実習を監視していた。

危なっかしいと感じる事は多々あったのだが、ダンジョン内に放たれていたホムンクルスたちの情報と生徒たちに気付かれないようにサポートをしていた事もあって大きな怪我をする生徒もなく無事に実習を終える事ができた。

実習終了の翌日から3日間は休みとなっており、休み明けにダンジョン実習の評価と成績優秀者には表彰があると言う事で生徒たちは各教室から大講堂に集まっていた。

その大講堂の壇上にパパデウスを中心にその両隣にはガビルとゲラン、そして後ろにはエレンを中心にエレン騎士団が並んでいた。


「えー、ダンジョン実習お疲れ様でした。早速、表彰を行いたいと思う」


騎士学部の生徒が牢獄に繋がれる事になった、と言う話は学生の間に広まるのは思いの外早く、生徒の中からはあちこちから私語が聴こえてきていた。

そんな中、パパデウスの声が大講堂に響き渡る事で生徒たちはその声に驚いたのか私語をする者がいなくなる。


「先ずは37チーム中リタイアしたのが6チーム。1チームは不正が発覚した事により失格となった」


失格と言う言葉に再び私語が増えた。

特に騎士学部は今、この場にいないのがヒデキたちだとすぐに分かった事もあり、


「アイツらなら犯罪に手を染めかねないな」

「普段からクラスの輪を乱す奴らだったから居なくなって清々したよ」


などヒデキたちが居なくなった事に対して喜ぶ声で溢れた。

そして、その声は他学部にも伝播し、


「アイツらは確か俺たちと同じシリタミア領だったよな。恥晒しな……」

「勇者候補だからってデカい顔してたからな。いい気味だよ」


と同じシリタミア領の学生からも嫌われていた事が判明する。

もちろん、他領の学生もヒデキたちに絡まれた事がある人は少なくなく、それもあって彼らを庇う声は皆無であった。


「それでは成績上位者を発表する。それでは第5位……リーダーエミル殿下のチーム!早期にリタイアしてはいるが低層でのゴブリン討伐数が多く獲得ポイント増となった。そして第4位……」


パパデウスの発表により学生たちは一気に静まり返り、そしてエミルが成績上位者に食い込んだのを聞き貴族学部だけでなく他の学部からも歓声が上がる。


「確かエミル殿下のチームって魔法学部のお荷物がいたよな?」

「騎士学部のお荷物もいたぞ!」

「すげーな!そんな中で上位に食い込んだって……「「「エミル殿下って首席なだけあるってことか!」」」

「「「エミル!エミル!エミル!……」」」


一部からエミルコールが湧き上がり、それが次第と大講堂全体を揺るがすようになる。

それを受けてエミルは右手を高く上げて生徒たちの声援に顔を上気させながら応えており、この時には完全にヒデキの事は忘れさられ、強い偶像(リーダー)の登場に学生たちは沸いたのだった。


「それでは今回手にした魔獣石は学院が一括して買い上げ、各自の身分証に振り込んでおく。今日から授業が再開だからしっかり取り組むんだぞ!」


パパデウスの言葉に祭りの様な熱気の名残を覚えながら学生たちは各々の教室へと戻っていく。

そして、残ったパパデウス、ガビルそしてゲランと俺たちエレン騎士団は昨日話し合った内容を再確認し教室へ戻っていった。

それは、ヒデキを除く4人は強盗には手を染めていなかったと言う裁判での判断が下された事が判明しており、しかも何かしらの圧力があった様で盗品を所持していたヒデキも簡易裁判により釈放が決まった。

その結果、ヒデキたち5人は数日以内に学院に復帰することになり、今回集まったのはヒデキたちに対してどう対処するかについてだ。


「学院側はヒデキたちの応対について私たちに丸投げする事になった……」

「まさか誰一人として退学にならないとは驚いたが、卒業するまでは周囲の目は厳しい日が続くだろうな」

「だろうな。簡易裁判では無罪だったが信用と言う面では煩い冒険者ギルドは活動休止期間を設けたようだ」

「それにしても強盗容疑とは大事を起こしてくれたよな……」


パパデウス、ガビル、ゲランが学年主任室へと向かう間、小声で話していた。

それを彼らの後ろで聞きながら歩いていると数分で目的の学年主任室に到着し、全員が入室したのを確認して俺は各種結界を展開してこれから話す内容が第三者に漏れない様にした。


「教授。結界を展開終えました」

「ありがとう、リュウタ」


パパデウスの言葉に俺は軽く首肯で応える。

テーブルが大きくない事もあって、パパデウス、ガビル、ゲランそしてエレンが着座し、俺を含む他のメンバーはエレンの後ろで立っていた。


「えー、ヒデキを始め、リョウジ、シンヤ、アイリ、サナエの5人が戻ってからについてだが、一応、学院の方針としてはそのまま騎士学部に在籍させる事に決まった」

「まぁ、裁判結果から予想できた事だな」


パパデウスの報告に対してガビルは腕を組んで頷きながら応えた。


「ただし、この5人は部屋を離すのだが……同室になっても良いという生徒がいない事もあって監視付きの個室対応となる」


個室といっても今までよりもグレードが下がった感じの部屋だ。

表面上は彼らの咎はないとしてはいるのだが、臨時で開かれた教授会に於いてヒデキたちは再犯する可能性が高いと踏まえプライバシーのない生活が強制される事になったのだ。


「監視と言っても魔道具によるものだろ?なんぼでも穴がありそうだけどな」

「そこはリュウタに協力してもらい寝食全て監視する事になる」


ゲランの疑問にパパデウスは応えるのだが、それを聞いたガビルは「それなら問題ないな」と頷いていた。

それというのも、実習後、皆で10階層に設置した拠点に行き、構築した監視網を実際に目にしていたからだ。

当然、これは学院側には秘密の話しであって、実際の監視は昆虫型ホムンクルスが自律的に行った内容がパパデウスにたまたま流れてくると言う形にした。

学院が行う監視理由は「再犯する可能性が高い」と言う理由だけであり、それだけの理由で裁判で無罪となった者を24時間監視するのは問題を孕んではいるからだ。

だが、彼らがダンジョン実習中に食べていたカレーライスは強盗により奪われた物である事を知っている俺の意見が反映されて24時間監視となったのだ。

そして、この監視によりヒデキが抱える闇が浮き彫りとなっていくのである。


お読み下さり誠にありがとうございます。

今回の話はいかがでしたでしょうか?

宜しければ感想・ブクマ・評価を頂けると嬉しく思います。


これからも少しでも楽しんで貰えるよう頑張っていきたいと思います。

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