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興味を持って頂きありがとうございます。




冒険者ギルドで依頼を受けた日から2日後、南門にはエレン騎士団の面々だけでなくアンドゴラスたち騎士も集まっていた。

実際は馬車の中にはセバスティオヌや侍女たちも控えており、エクバタナに到着した際のメンバーが全員揃っていた。

ペルセリスへ向かう途中に創った移動用の馬車は騎士団と言うよりも貴族用の箱型馬車という事もあり少し目立っている。

そこに2頭立ての幌馬車が4台、相当の荷物を積んでいるのであろうゆっくりとやってきた。



〈クレアンドロ視点〉


「お待たせしました。今回、依頼させて頂きましたバクトゥーリア王国のオルトロス(夜明け)商会の会頭、クレアンドロ・グレクと言います」

「初めまして。エレン騎士団の団長、エレン・バクトゥリアです」


エレンの自己紹介を受けた私は目を大きく見開き、2歩ほど下がって右膝を立てて左膝を地面に突き右腕を胸の前にして臣下の礼を取った。


「エレン殿下の騎士団が護衛とは大変畏れ多く……」

「問題ありません。私どもも国に戻る次いでですから」

「ですが……!今から国に戻ると学院の入学式に間に合わないかと」

「それも問題ないですよ。それでは早速向かいたいと思います」

「は、はいっ!」


私は「まさかエレン妃殿下に護衛を……」と思わず呟いてしまう程気が動転してしまったが、王室に近づけるチャンスでもあるのでこの幸運を喜ぶ事にした。

今回はエレン騎士団の馬車3台、騎馬6騎、そしてオルトロス商会の馬車4台とそれなりの旅団となったのだが、何せオルトロス商会の馬車は輸送量重視にしたので積載量ギリギリで、その関係もあって人が歩くよりゆっくりしか進まない。

そんな速度だとバクトラまでどれだけの時間が掛かるか分かったものではないのだが、エレン騎士団からは誰からも遅い速度に対して苦情を申し出る騎士はいなかった。

ところが2キロほど進んだ所で彼らは馬車を停めて、中にいた人たちも馬車から降り始めたではないか。


「どうされました?こんな所で停車して……」


まるで長時間の休憩を取るかの様な行動に対して、私も馬車から降りてエレンに問い掛けたのだ。


「これから飛空船に乗り換えようと思いますので、馬から馬車を外し、馬車から全員降りて下さい」

「飛空船?それはどこに……?」


私が疑問に思っているとエレン騎士団の馬車が1台、また1台と消えていくのだ。

そしてオルトロス商会の馬車も馬が外されたものから順次消えていく。


「……馬車はどこに行ったのでしょう?」

「馬車は虚空庫の中に収納させて頂きました。リュウタ、飛空船をお願い」


妃殿下の声と共に目の前の空き地に巨大な物体が出現し私たちは腰を抜かしてしまった。

仲間からは「ま、魔獣だー!」と叫んでいる者もいた。

そんな飛空船の横と真後ろからタラップが降りて、妃殿下たちはその中へ吸い込まれているかの様に入っていく。


「クレアンドロさん、これは飛空船という乗り物ですよ。馬は後ろから乗せて、皆さんはこの横の部分から搭乗してくださいね」

「……乗り物?こんな巨大なものがどうやって」

「飛空船なので空を飛ぶんですよ」

「空を飛ぶ?翼もないのに?」

「そこは飛空船に乗ってからまた聞きますね」


妃殿下も十分な説明ができないみたいなので深く窺う事はせず、指示通りに馬を後部に乗せ商会の人たちも飛空船に乗せてタラップが収納された。

私たちは騎士たちと同じ室内に乗っており、中は華美ではないが流石王族の乗り物と思わせる調度品が置かれソファーに座るのも躊躇うほどだ。

部屋の前方には大きなスクリーンがあり船外を映し出されている。

そこに男性の声……リュウタ様と呼ばれている人の声が聞こえてきた。


〈計器オールグリーン。これから浮上します。飛空船の状況は前方スクリーンでご確認ください。バクトラまでは5時間ほどで到着予定です〉


私はアナウンスの説明に思わず声を上げてしまった。


「はっ?5か月でなく、5時間?」

「まぁ、普通はそう感じますよね。実際にスサからここまで来た時は1時間でしたから私たちも驚いたものです」


一緒の部屋で寛いでいる騎士たちは飛空船が2回目らしく然程驚いた様子はないものの、言葉の端端に事の不条理さを未だに拭いきれていないのが滲み出ていた。

彼らでさえそうなのだから、私もその不条理さを受け止めるのは時間がかかりそうだ。


「凄い……帝城があんなに小さく……」

「もしかして、あそこに見えているのってスサじゃないか?」


驚いてはいるが、スクリーンに映し出される映像を見ても自分達がそこまで高速で移動していると言う実感はない。

高度1万メートルでの航行らしいがそんな実感もなく、道中、食事をする事になったがこちらの方が驚いた。

部屋の中にはテーブルが置かれており、皆でそのテーブルを囲む様に座る。

そのテーブルに侍女たちが食事を並べていくのだが……


「白パンにステーキ、サラダにスープ?それにこれは果実水か!?」


果実水と言っても果汁を薄めたものではなく果汁だけで作られたもの。

果物自体が貴重なものだと言うのに、こんな食事を出されたらどれだけの費用が掛かると言うのだろうか。

それに白パンは貴族でさえ滅多に食べられるものではない。

特に長距離の移動では硬くてマズい黒パンと言うのが常識なのだが、目の前には今まで食べた事がない白パンが置かれている。


「黒パン、じゃないんですか?」

「そうですね。ここでは黒パンを食べることはなくなりましたね」


騎士が私の疑問に答えてくれる。

白パンだけではない。

旅行中であっても出来たての食事を皆で食べるのは彼らにとっては至って普通の事のようだ。


「さすがはバクトゥーリア王女……」

「あっ、これは王女というよりリュウタ様のおかげですね」

「リュウタ様?飛空船を操縦している?」

「そうです。エレン王女の婚約者でもあるんですが……まぁ、常識外の人ですよ」


騎士はそう言って笑い、


「疑問に思うと理解が追いつかなくなるのであるがまま受け入れたら良いですよ」


と言って彼は「いただきます」と言う呪文?らしき言葉を発してからステーキに齧り付いた。

私も彼にあわせてその呪文を唱えてから食事を始める。

並べられている白パンは柔らかくそして甘みを感じ、パンだけでも食が進みそうだ。

ステーキは厳選された部位が熱々で提供され、サラダとスープは今まで食べてきたものと同じ名前の食べ物とは到底思えないほど美味しく、帝都の一流レストランにも勝るほどの料理が並べられていたのだ。

そんな料理に感動し食後の紅茶で一服していると、いつの間にか見慣れたバクトゥーリア王国王都バクトラが見えてきた。

王都の中心には世界樹があり、その世界樹から少し離れた南側に王城がある。

世界樹の北側は基本住居は建てられておらず、C型に街が広がっていた。

そして、この王都は世界樹の加護だけでなく飛龍の守護下にある事で王都は石壁に囲まれていない。

バクトラはエルフの国らしく緑豊かな王都で、緑が少なく石造りの建物ばかりのエクバタナとは違い見ているだけで心が安らんでくる。

だが、こんなに早くバクトラに着くのだろうか?


「あれは、本当にバクトラなんでしょうか?」

「そうですよ。間違いなく私たちの祖国、バクトゥーリア王国の首都、バクトラです」


気がつくと王城の真上に到着しているようで、次第に降下しているのがスクリーンを見て気が付いた。


「騎士様、王城にこの飛空艇を着陸させるのですか?」


王城にこう言った物で乗り込むなんて不敬に当たらないか心配になって聞いてみたのだ。

いくら妃殿下がいらっしゃるとは言っても貴族でもなんでもない私が王城の敷地に入り込むのは投獄ものだ。


「みたいですね。恐らくエレン様がお伝えしていると思いますから心配いらないですよ」

「そうであればいいんですけどね……」

「ははは、心配性ですね」


そんな話しをしているうちに飛空船は王城の中庭に着地をするのだが、その後、私にとって非常に素晴らしい出会いがあるのだった。


お読み下さり誠にありがとうございます。

今回の話はいかがでしたでしょうか?

宜しければ感想・ブクマ・評価を頂けると嬉しく思います。


これからも少しでも楽しんで貰えるよう頑張っていきたいと思います。

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