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興味を持って頂きありがとうございます。
『わぁ……』
エレンたちは家の中に入り、玄関ホールを見渡すと先程のため息とは違ったため息を吐いた。
高い天井には『シェ・ジェノワーズ』で見たシャンデリアを参考により輝きを増して程よく豪華になったシャンデリアがぶら下がり、壁にもまたクリスタルガラスをふんだんに使用した補助照明が灯りを提供している。
玄関ホールの奥中央には幅の広いサーキュラー階段に真紅のカーペットが敷き詰められて両脇の手摺りにも細かな彫刻が施されている。
そして壁一面に設けられたステンドグラスが陽の光により幻想的な空間を醸し出している。
「先ほどとは全く別な邸宅じゃないですか!」
エレンがどうにか声を絞り上げて俺に詰問してきた。
延床面積2700平米もの大邸宅がたかが30分あまりでリフォームというより新築されたのだ。
リュウタと過ごしてきた中で最大の驚きがエレンを襲ったが故の詰問だ。
「基本、邸宅の土台や外見は変えていないと思うんだけどね」
「何を言っているのです!全く別物になってますっ!」
「そうじゃ!建物が目の前でどんどん変わっていくのを見せられて驚かない筈がないじゃろ!」
「そうですよ!地面もウネウネ動いて地中でも何かあったんですよね!?」
「リフォームじゃなければ置き換えでもしたのでしょうか?」
「おっ、タミレは鋭いな。虚空庫内で組み立てたものを既存の物と置き換えたんだよ」
俺の言葉に4人は再び驚き、
「相変わらず規格外(じゃ)(だわ)(よ)」
と呆れ顔で先ほどと同じ言葉を紡いで俺の顔を見つめる。
まぁ、全ての物を置き換えた訳でなく、以前の邸宅から再び使用しているものもある。
リビングにある暖炉がそれだ。
その暖炉の主が皆の前にやってきた。
「ご主人様。この方たちは?」
「マイ、紹介するよ。俺の婚約者たちで、エレン、ノルン、マヨルカ、そしてタミレだ。それと後日衛士やメイドたちも来るから別途紹介するよ」
「ご紹介ありがとうございます。私はご主人様と契約を致しました家妖精のマイと申します。今後ともよろしくお願い申し上げます」
「なっ!家妖精!?……初めまして。エレンと気軽に呼んで下さいね」
「帝都では多くの家妖精が消滅したと聞いていたが……流石主人様じゃ。マイ、妾も気軽にノルンと呼んでくれると嬉しいのじゃ」
帝都では下水道を完備させるにあたり区画整理が行われた結果、多くの古い家屋が壊されていた。
結果として家妖精の多くは消滅していったのだが、この邸宅は敷地が大きかった事もあり家屋を壊されずに今に至ったのだ。
「リュウタ様、バクトゥーリア王国では家妖精は幸せを運んでくると言われています。私もマヨルカと呼んで下さいね」
「それはレマイオスでも一緒だわ。タミレと呼んでね、マイさん」
「そう言った伝承はカジ村でも一緒だね。マイ、これからよろしくな」
「はい!皆さま、どうかよろしくお願いします!」
マイは皆に受け入れられた事もあり、非常に明るい表情で挨拶をした。
その後、皆で邸宅を周りどういった部屋があるのかを皆に説明していった。
1階は来客用の空間が集められており、玄関開けてすぐの玄関ホールはサルーンと呼ばれる場所で舞踏会などはここで開く事を想定しており、家族用の団欒室や応接間、サーキュラー大階段、家族用食堂、客用食堂、客間を数室、ギャラリー、家族用大浴場、客用浴場、来賓用と家族用それぞれの洗面所などがある。
地下は使用人用たちの仕事場となる部屋が集められており、キッチンや洗濯場、鍛治室や貯蔵庫、使用人たちの個室、そして使用人用の洗面所と大浴場などが置かれている。
2階は家族用の部屋で、家族の主寝室に各個室、執務室に図書館、家族用の洗面所などがあり、3階は将来的な子供部屋などだ。
「広いですね……掃除が大変そう」
「天井も高いし確かに大変そうじゃ」
「メイドたちは全部で4人にマイさんを含めて5人……大丈夫でしょうか?」
「この大きさだと20人は欲しいですし……他にも料理人やセバスティオヌさんを補助する執事なども欲しいわ」
「そうだね。掃除などは洗浄魔法を建物全体に付与しているからそれ程大変ではないと思うけど、人が足りないのはその通りだと思うからカーリス教徒でない人たちから人材を募らないとね」
そうなるとドワーフ族、エルフ族そして獣人族となるか。
そんな事を考えながら、棚などに食器やタオル、リネン類などを入れていき一旦、カジ家別邸へと戻ることにした。
そこでリュウイチやマイコに新しい拠点に移る挨拶をし、また、人員の紹介などをお願いする事にした。
「リュウタ、成人したとは言えやはり独り立ちは寂しいものだ」
「そうです。もう少しここで生活をされても」
こんな感じに2人は寂しそうにしてはいたが、新しい拠点は同じ南区画にあり馬車で30分掛からずに行ける事もあり定期的にカジ別邸には行く事になるだろう。
セバスティオヌを始め、アンドゴラスや騎士たち、そして侍女たちと共に新しい拠点へと移った。
数日間は庭園の整備や邸内の調整などに時間を費やし、依頼を受けつつバクトゥーリア王国に向かう事にした。
ちょうどバクトゥーリア王国までの護衛依頼があったのと、婚約の挨拶、そしてセバスティオヌやアンドゴラスたち騎士は既婚者と言う事もあり家族をエクバタナに連れて来るという目的もあった。
冒険者ギルドエクバタナ本部。
行政区の中でも住居区寄りの場所にあり馬車で1時間ほどの場所にある。
石造りの建物は支部の建物とは比較にならない程豪奢でそして大きかった。
建物の大きさは俺たちの拠点よりも大きいのではないかと思われる程で、その入り口もまた入館を躊躇うほど立派なものだった。
「凄いな……確か帝都はメディロニア領800万の人口のうち300万人が住むんだったか……それを考えても、豪華だな」
入館してすぐに各種受付があるのだが、受付前のスペースは拠点のサルーン程豪華ではないが1.5倍近く広く、冒険者と言うよりも対貴族向けの場所のようだった。
実際に、Dランクより下位の冒険者は建物の裏側での応対となっており、ギルドの目は上位冒険者と貴族に向けられていることは明白だった。
冒険者のSランクは大陸には俺たち以外だと3人しかおらず、爵位授与対応のAランクは15人程度。
BとCランクはそれぞれおよそ100人と500人。
Dランクになると一気に1万人まで増え、Fランクを含めると大陸にいる冒険者数は282万人ほどになる。
ただ、冒険者の多くは兼業と言う事もあってFランクだからと言って必ずしも底辺の生活を送っている訳ではなかった。
エクバタナを拠点とする冒険者の事を考えるとこれだけの建物は不要で、実際に受付は暇を持て余していた。
俺たちは暇そうな受付の中から1人書類の整理などを行なっている受付嬢を選び彼女の前に向かった。
「その掲示板にあったバクトゥーリア王国の王都バクトラまでの護衛依頼を受けたいのだが」
「畏まりました。それでは身分証をご提示ください」
エルフの商隊だったが、遠距離でしかも亜人とされるエルフの護衛という事もあって報酬は高めに設定されているにもかかわらず長くそのままになっていた様だ。
俺たちは彼女に身分証を提示した。
身分証にはギルドランクなどが記載されているので、それを基に護衛依頼を受けられる実力があるか確認するのだ。
「えっ……エレン騎士団……は、初めまして!受付をしておりますエカテリニと申します。特に問題はございませんので受理させていただきます」
「ありがとう。それでは「お、亜人の依頼はけたか!同じ亜人が護衛するのか」」
「ギ、ギルド長!失礼ですよ!依頼者を差別するなんておかしいです!」
「ん?あぁ、建前ってやつか。悪りぃが俺はそんな建前どうでもいいんだわ」
恵まれた体躯と言うより重度の肥満といった方が正しいだろうか。
鼻息が荒く、顔には脂汗が滴っている。
「すみません……侯爵位の方にこんな無礼な物言いで……」
「侯爵位?こいつ……こちらの方はS級でらっしゃるのでしょうか?」
気持ち悪いくらいの謙りを見せる男に俺は少し苛立ちを覚えたが面倒臭いので流す事にし、
「それでは依頼主に2日後の南門開門時に門の外で待ち合わせとお伝えください」
「わ、分かりました。それでは先方にはその様にお伝えしますね」
「えー、カジ様、それでは道中お気を付けて……「エカテリニさん、後はよろしくお願いします」」
ギルド長の言葉に被せる様に彼の言葉を遮り、依頼主への伝言をエカテリニに任せて俺たちはギルドを後にした。
お読み下さり誠にありがとうございます。
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これからも少しでも楽しんで貰えるよう頑張っていきたいと思います。




