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興味を持って頂きありがとうございます。




俺はファンザの執務室にある応接セットに座り話しをしていた。

この世界ではファンザの方が年上なのだが、神界での修行は俺の後からのようなのでこの辺りの調整はさすがブリギッドなんだろう。


「……と言う事で、前世を持っている人はこの世界では珍しいですが何人かいるようです」

「そうなんだな。実は俺の婚約者のタミレもその1人なんだよ」

「私と連絡を取り合っているのが他に2人、そして会ったことがないのですがシリタミア領の勇者となっているのが5人ほどいるようです」


さすがタミレの商会程ではないが帝国有数の商会なだけあり情報網は素晴らしいものがあるみたいだ。

そうなると今のところ把握できている転生者が10人いると言う事になる。

タミレやファンザを見ていると転生者はそれなりに強力なスキルを持っていそうだからこの10人が協力しあえれば大抵の問題は解決できそうじゃないか?と考え、


「ちなみに他の2人はどう言った人なんだい?」

「2人とも高位貴族の子女です。1人がメアトル領のパルミュール伯爵家の次女でラオディアさんと言います。もう1人はメディロニア領の軍門として知られるシデトリオ家の長男でキュジケノスさんですね」

「2人はどんなスキルを持っているんだ?」

「聞いた話だと、ラオディアさんは創薬関係でキュジケノスさんは剣術ですね」


まぁ、詳細は実際に会った時に鑑定すれば良いか。

ただ創薬スキルはこの世界では重宝されそうだ。


「神様にそれとなく聞いた話ですが、私を含めて5人は神界で修行をしたそうです」

「と言う事は……シリタミアの5人は修行をしていないってことか?」

「そうなりますね……それなので5人のスキルは恐らく大したものではないと」


確かにブリギッドと話していたら修行をしないと言う人も出てくるだろうと思いながら話しを聞いていた。


「で、ラオディアさんとキュジケノスさんは今どこにいるんだ?」

「あっ、この2人なら学院の試験を受けるから間もなく会えますよ」

「そうなんだ?もしかしてファンザさん以外は皆同じ学年になるのか……」

「そうなりそうですね。シリタミアの5人も試験を受けるという話もありますし」


ファンザは学院の教員と言うこともあってそう言った情報も手に入りやすいようだ。

俺たちは情報交換をし、そして4人の待つ部屋へと戻る事にした。

やはりアルコールが入っている事もあって少し心配だからだ。

いや、その心配は現実のものとなっていた。

どれだけお酒を飲んでいたのだろうか、彼女らがいる部屋のドアを開けた途端にお酒の匂いが充満していたのだ。


「リュウタひゃん〜どこいってらのれすかぁ〜」

「zzz……」

「リュウタさんが1人、2人……いっぱいいるぅ〜!」

「前世を含めると70歳にはなるのに〜リュウタに手玉に取られちゃってる〜」

「わぅ〜……」


ノルンは1人爆睡しており、残り3人は普段だと考えられないような痴態を見せている。


「はぁ……お酒を飲んでも良いとは言ったけど……」

「リュウタひゃんも飲むぅ〜」


俺が呆れ顔で4人を見ているとエレンが俺のところにやってきて俺の腕に自分の腕を絡めながらテーブルに連れて行こうとする。

俺にも酒を飲め、と言う感じなのだろう。

そこで4人と1匹に状態異常解除と解毒の魔法を掛けると彼女らの酔いは一気に醒めた。


「あっ、リュウタ……!?私っ……」


エレンは俺の腕から離れ、行動を恥じて自分の席で突っ伏す。

マヨルカもまた同様に俯き加減に、タミレは急に酔いが醒めた事に驚いていた。

ノルンは……まだ寝ている。


「さあ、お菓子の土産も買ってもう少し市中を散策しようか!」


3人は酔っ払ってしまっただけでなく、そんな痴態を見られた事を恥いて顔を俯かせたままだ。

そこにノルンが目を覚まして、


「ん……おはようなのじゃ!主人様、散策なら少し肉系が食べたいのじゃ。ここは美味しいのじゃが上品過ぎてな」

「それ、確かにな!」


ノルンの屈託のない明るい声掛けに俺は乗る事にした。

折角のデートなのにこんな雰囲気では楽しめるものも楽しめないだろう。


「ここは食事の前にスイーツを食べるって事で来ていたものね」

「私も……リクエストできるなら屋台の肉串を……」

「みんな凄い食欲ね!確かに私も小腹空いたけど」

「そうか、俺も食べたくなったから早速行こうか!」

「わんっ〈おにくっ!おにくっ!〉」ー


そう言うと個室を出て、土産としてケーキや焼き菓子などをたくさん買ってお店を出る事にした。

店を出る際にファンザが出てきて送ってくれ、


「リュウタ様……さん、それではまた学院で」

「ええ、学院ではお手柔らかに」

「ははは、リュウタ様にお教えできるような事は何もないと思いますが、お力になれるよう頑張ります」

「それでは今日はありがとう。とても美味しかったよ」


そう言うと、俺たちは再び屋台が多く並ぶ商店街へと向かった。

屋台は食事だけでなく、アクセサリーや衣服、日用雑貨など多岐にわたって売られている。

お店を持てないから屋台で商売をしている人もいるのだが、多くは既に店を構えていて販路を伸ばすために人が集まるここに屋台を出していた。

それなので屋台といえども安かろう悪かろうではなく、お店の看板を背負ったメニューを買い求める事ができるのだ。


「人混みが凄いな……はぐれないように気をつけないと」


俺がそう言うと右腕にエレン、左腕にノルン、その後ろにマヨルカとタミレがピタリとくっつくようにして歩く事になった。

マーナは俺の頭の上だ。

両腕、そして背中に彼女たちの膨らみを感じ、少し照れも入りながら歩いていると何処からともなく、憎しみが込められた視線を向けられているのに気が付いた。


「主人様、何だか嫌な視線を向けられておるのじゃ」

「そうね。嫌な視線」


ノルンの言葉にエレンが同意する。

マヨルカもその視線に気が付いたようだ。


(どこかの貴族か?4人も美女を侍らせやがって!)


リュウタの耳にそんな声が届く。

5人、特に1人の男が敵意剥き出しの視線を向けてきた。


(なぁ、ちょっと嫌がらせをしてみないか?)

(やめなよ。ヒデキとは住んでいる世界が違うのよ)

(住んでいる世界ってなんだよ!Dランク冒険者様が世の中の常識を教えてやろうってだけだろうが!)


ヒデキを嗜めようとしたのは同じシミタリア領勇者候補であるアイリなのだが、俺はこの時はまだ鑑定をしていないので後になってから知る事になる。

冒険者ギルドのランクによって爵位が与えられるのだが、Dランクのような下位ランクでは当然のように授爵されるような事はない。

一般にSランクは侯爵位、Aランクだと伯爵位が与えられ、僅かではあるが国からの年給が与えられる。

それに対してBランクは子爵相当ということはなく、Bランク以下の扱いには全く優遇措置はない。

Dランクだと冒険者ギルドエクバタナ本部には裏口から入らなければならず、冒険者としては未だ実力者として評価されるレベルには至っていない。

ヒデキたちは騎士爵なのでシリタミア領から僅かばかりの年給はあるが、セレーコス学院では貴族科に入学する事はできず、男爵以上の爵位を持った者に喧嘩を売った場合下手すると死罪もあり得た。

それもあってアイリが彼を嗜めたのだ。


「ちょっと面倒だな……」


そんな彼らのやり取りを聞いて俺は特定の対象者に限定して察知できなくなる『特定認識阻害』を行った。

下手に人混みの中で気配をなくすと、街ゆく人たちぶつかられてしまう事から、彼らからのみ認識されなくなる魔法を使ったのだ。


(あっ?アイリがグダグダ言っているから見失ったじゃねぇか!)

(そんな事を私のせいにしないでよ……)


徐々に彼らの声が遠くなっていく。

折角楽しい気分でデートしていたと言うのに台無しだな、と思ったが気分を入れ替えて4人で買い物を楽しむ事にしたのだった。


お読み下さり誠にありがとうございます。

今回の話はいかがでしたでしょうか?

宜しければ感想・ブクマ・評価を頂けると嬉しく思います。


これからも少しでも楽しんで貰えるよう頑張っていきたいと思います。

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