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興味を持って頂きありがとうございます。




「今日は私とリュウタ、そしてエレンさんを含めノルンさん、マヨルカさんそしてタミレさんで登城し皇帝グレイオスに謁見する事になっている」


昨日、両親と話し合いを持った後、謁見手続きを済ませていたのだ。

事前準備としてリュウイチとマイコの結婚指輪を預かり、小さな神玉石をあしらいはめてもらっていた。

当然ながらその指輪にはワードロープ機能付きの虚空庫(中)を付与し、そこに衣裳や武器類、食料などを入れてある。


「これは凄いな」

「これだけの機能を持っていれば白金貨50枚でも売れるんじゃないかしら」

「いや、これは売るつもりないから」

「リュウタさんは商売っ気があまりないみたいで」

「商売っ気がなさすぎるのも問題になるが、皇帝グレイオスに会うのであればその方が良いかもな」

「そうね……現皇帝は俗っぽいですから」


エレンも含めた7人で話していたが、エレンは両親の前という事もあって俺の事を「さん」付けで読んでいた。

そして謁見が午前中という事もあってエレンたちは肌を隠して艶感を抑えた装いに着替える。

少しデザインは異なるが4人とも淡い緑色のドレスに同じ色の帽子を被っていた。

ドレスは胸元が見えないように閉じ丈は長くて裾が地面に届く程だ。

また、袖は手首まであり左手の薬指には俺から贈られた指輪が光っており右手には白いレースの手袋が握られていた。

当然、これらは神布で創ったもので女性たちの美しさを際立たせていた。


「皆、綺麗だな」

「ありがとう。なんだか私じゃないみたい」

「この間のドレスアーマーもそうじゃが、綺麗なドレスじゃ」

「私がこんなドレスを着る日が来るなんて……嬉しいです」

「リュウタさんは鍛治師だけでなく服飾でもS級です……」

「本当に皆綺麗だな。4人の魅力をリュウタが引き出したのでしょうな」


そう言われると4人は顔を真っ赤にして俯き加減で俺の顔を見つめる。


「父上も皆を揶揄(からか)わないでくださいよ」

「いやいや、揶揄ったつもりはないんだがな。エレンさん、ノルンさん、マヨルカさん、タミレさん済まなかった」

「いえ、気になさらないでください……」

「そうじゃ……気にせんでいいのじゃ」

「揶揄うなんて……嬉しい言葉でした」

「女性として幸せを噛み締めています……」


彼女らはそうは言っても各々に顔は恥じらいと嬉しさが入り混じり頬を赤く染めている。

そんな4人に囲まれ、俺も幸せを感じていた。


「リュウタさんや義理父様がお召しになっている服装も威厳を感じさせ素晴らしいと思います」


タミレが目敏く俺とリュウイチの服装を誉める。

俺とリュウイチもまた謁見に合わせて着替えていたのだ。

カジ家は軍家でもあるので将校用の制服に着替えリュウイチの左胸には多くの勲章が付けられているが、俺は勲章を貰った事がないので代わりに鍛治師ギルドと冒険者ギルドのSランクの章が付いている。


「……Sランクが2つか。下手な勲章より遥かに素晴らしい」

「父上もそうなのでは?」

「私は職業柄、冒険者ギルドには入ろうとは思っていなかったからな」


帝国に於いてリュウイチは元帥という役職にある。

それも元帥と言う地位は世襲制でカジ家を継いだ時点で帝国元帥となってしまうのだから、俺みたく成人と共に冒険者ギルドに入るのでなければそんな機会は訪れはしないだろう。


「それと皆さんもSランクの章をドレスに付けておいてくれないか」


これは皇帝グレイオスに対する牽制でもある。

エレンは緊張しているが、問題を起こさせないために出来うる策は一通り練ったのだから後は謁見だけだ。

6人は帝都別邸の正門から馬車に乗り15分ほどの距離にある帝城へと向かった。

馬車は2頭立ての黒塗り箱型貴族馬車で、扉には中央にテンモク神、そして槌と剣がクロスしているカジ家の紋章が描かれており、帝都に住んでいる者であればこれがカジ家の馬車だという事が一目で分かる事だろう。

念のため護衛を1体ずつ俺たちの影の中に潜ませており、武器類は指輪の中に収納済みでダミーとして各自1振の秀3等程度の鋼鉄製の短剣を太ももに装着していた。

これは謁見前にその武器を渡す事で丸腰だと思わせるためだ。

程なくして帝城に到着し、謁見の間に向かった。

謁見の間の前で騎士たちに用意していた剣をそれぞれ渡す。


「リュウタ、エレンさん、ノルンさん、マヨルカさん、タミレさん行こうか」

「はい、父上」

「「「「よろしくお願いします」」」」

「それでは扉を開けます。リュウイチ・カジ公爵並びにご家族のお越しです」


衛士が2人で両扉のドアを開けると部屋の奥にある帝座までシミひとつない真紅のカーペットが敷かれており、カーペットの両側には上位貴族、その背後には衛士たちが並んでいた。

そして、帝座は奥には2段ほど上がったところにありそこに皇帝グレイオスが脚を組んで座っていた。

6人はそのカーペットの中ほどまで進みそこで立礼をした。

特にエレンはその容貌もさることながら着ているドレスの素晴らしさにため息を吐く貴族たちも多かった。


「皇帝グレイオスの御前である」


文官の声に従い俺たち6人は膝を付いた。

そしてリュウイチが型通りのやり取りを始める。


「セレーコス帝国法に則り、筆頭公爵家公太子であるリュウタ・カジが婚約を致しました事を報告に参りました」


本来ならここで皇帝からの一言がある筈なのだが、ない。

明らかに不満を通り越して怒りを隠しきれない表情をしている。

(幼いな……)リュウイチはそう思いながら貴族たちから起きた騒めきを無視して続けた。


「リュウタは鍛治師ギルドS級並びに冒険者ギルドS級となります。そして婚約した女性たちと共に地龍を3頭討伐し龍討伐者ドラゴン・サブジゲイターの称号を得ております。そして婚約者に迎えましたエレン・バクトゥリアはバクトゥーリア王国第2王女であり、また帝国冒険者ギルドS級そして龍討伐者のうちの1人になります……」


リュウイチは、4人の紹介を淡々と行なっていく。

ただの美しい女性と言うだけでなく、絶対的な武をも持ち合わせている事を参列者たちは知る事になった。

それも、4人のうち3人が龍討伐者であり、1人が単独でオーガの大規模集落殲滅者と知ると、更に大きなどよめきが起こった。


「リュウタ・カジとエレン・バクトゥリアはエレン・バクトゥリアが成人を迎えたのを機に婚姻の契約を結び、先日、両家も正式にこの婚約を了承した次第であり、此度、皇帝陛下に報告しに参内奉った次第です……」


リュウイチが4人との馴れ初めについて簡潔に説明を始めた。

するとグレイオスのギリギリと奥歯を噛み締める音がリュウイチの所まで聞こえてきたがリュウイチはそんな事など気にも留めず、


「また、婚約の際に当家が用意した物は、各人に対して家宝である2カラットもの神玉石の指輪、そして聖剣1振り、並びに光金貨1000枚となります」


セレーコス帝国の年間予算が光金貨3万枚。

神玉石や聖剣にも驚いたが結納金にあたる準備金として光金貨1000枚と言う金額にグレイオスは歯軋りを忘れた。

グレイオスにとってエレンは美姫と耳にし側妃にしようと思いつきで呼び寄せたに過ぎない。

エレンを手にするためには、カジ家以上の準備金を用意しなければならなくなる。

そんな思いつきで側妃を手にするために帝国の屋台骨を揺るがすような出費が許される筈もなかったのだ。

この時点で、グレイオスはエレンを手に入れるのを諦めざるを得なくなったのだが……


「左様か……幸せになるのだぞ」

「ありがたきお言葉」

『感謝申し上げます』


グレイオスの言葉に含みを感じさせるが、俺たちは形式的に感謝の言葉を述べ、そして退室する。

もう少し執拗な嫌がらせや襲撃などがあると考えていたが、結局、何事もなくエクバタナのカジ家別邸に戻れたのだった。



〈グレイオス〉


エレンたん……あの美姫が……リュウタ、リュウタめっ!!

良くも朕のエレンたんを〜〜〜!!

こんな婚約、ひっくり返してやる〜……!?


何?神玉石だと!?確か帝国には保有する神玉石は……なかった筈……

いや、カーリス教の神殿にあるだけだった筈じゃ……

はぁ!?それに聖剣じゃと?

帝国にもそう何本もないのに婚約者にそれぞれ1本……

しかも光金貨1000枚!

無理じゃ。婚約をひっくり返すのは無理じゃ〜〜!


……そうじゃ。

彼奴らはこれから学院に入学する。

ぐふっ

良い事を思い付いたのじゃ!

彼奴めには素晴らしい学院生活をプレゼントしてやろうかのぉ……


お読み下さり誠にありがとうございます。

今回の話はいかがでしたでしょうか?

宜しければ感想・ブクマ・評価を頂けると嬉しく思います。


これからも少しでも楽しんで貰えるよう頑張っていきたいと思います。

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