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興味を持って頂きありがとうございます。




〈暗殺部隊レフカチェリア 部隊長クラテロス〉


「遅い。遅すぎる……本当にリュウタ様はスサを出立していないのか!」


私は思わず声を荒げてしまった。

部下を2人、スサへと向かわせてから3週間になろうとしているのだがスサ領都の門をリュウタ様の乗る貴族馬車が通過したと言う報告が未だ届いていないからだ。


「もしかして暗殺を恐れて邸宅から出られていないのではないでしょうか?」

「それなら兵を集めているなどの動きが報告されるべきだ」


アンティゴノスが私の苛立ちを察しての言葉だが、エクバタナへ急がなければならない人が自邸に籠っているには何もしなさすぎだ。

あのカジ家が暗殺計画を感知しない筈がなく、何も手を打たないというのは考え難い。

そうなると、秘密裏に出立していると考えるべきなのだが、スサからエクバタナへ向かうにはこの街道が唯一の道になる。

私たちはその唯一の街道で彼らを待ち伏せしているのだ。

暗殺を生業としているだけあり、例え変装していたとしても見つけ出すのは容易だ。

しかも、カジ家の人間は背が高い事で知られている。


「おかしい……何が起きたのだ……」


そこにエクバタナから仲間がやってきた。

早馬を駆け途中の休憩も最小限にやって来たのだろう、私を見つけると落馬しそうになる程に疲労困憊である事が一目で見て取れる。

私たちは急いで彼の所に駆け寄り馬から下ろして手持ちの水を彼に飲ませた。


「何か帝都であったのか?」

「いえ……この指令書を至急隊長に渡す様にと……」


彼の胸元にあった封書を受け取る。

その封書の宛名には確かに私の名前が書かれており、そして、封印は私たちに指令が下される時のものだ。

早速、中を確認してみるとそこには、


「リュウタ・カジ一行、エクバタナに空から入都 暗殺指令を取り消す」


の一行が書かれていた。

空から入都……

確か従魔に飛竜が登録されてはいたがどうやって20人を超える人数を……

様々な疑問が渦巻くが、それと同時に「暗殺指令を取り消す」に安堵する。

これで部下たちは死なずに済むからだ。


「隊長……どうされましたか?」

「狼煙を上げてスサに向かった2人を呼び戻せ。合流次第、エクバタナへ戻る」

「戻る?暗殺は……?」


私はアンティゴノスに封書を見せる。

アンティゴノスはそれを読んだ後、空を見上げて、


「取り敢えず命は繋げた、と理解して良さそうですね」

「ああ、その後がどうなるか分からんがな」


私は隊員たちに通常警戒命令を出した。

待ち伏せのために薮の中に身を潜ませる必要がなくなったからだ。

スサに向かっていた2人が戻り、私たちがエクバタナに戻るのは封書を受け取ってから10日後、リュウタ様がエクバタナに到着してから1か月近く経過してからとなった。



〈リュウイチ・カジ〉


ーリュウタがエクバタナに到着した時に戻るー


種族間通信で飛空船なるものでリュウタ様がやって来ると聞いていた。

間もなく到着という事で中庭で待っていたのだが、その中庭に何やら影がかかった。

空は雲一つない。

そんな空を見上げると上空に何やら黒い物体が見え、その影だった。

その黒い物体はどんどん大きくなっていく。


「あれが飛空船……大きいな」


その物体はますます大きくなり、そして中庭に着地した。

大きさは全長50メートルを超える。

邸宅からは「魔獣が襲ってきた!」と言う声も聞こえてくるくらい、その物体の存在感は大きいものだった。

私は妻であるマイコの右手を握る。

緊張しているのだろう、手は汗で濡れていた。

思わずゴクリと生唾を飲む。

リュウタ様。

我が一族が信奉するテンモク神からの神託を受け、テンモク神の御子を私とマイコの子として預けてくれるとし、15年前にこの世に生誕された。

そして、15歳の誕生日を迎えるとテンモク神の御子たる能力に目覚めるという神託があったのだが……


「規格外すぎるな……」

「ええ。本当に私たちの子なのかしら」

「ああ。確かに私たちの子だが……テンモク神の御子でもある」


巨大な物体の見上げる様な壁が崩れたかの様に見えると、それが階段となり地面へと伸びた。

そこからはエルフの侍女や騎士たちが降りてきて、私に頭を下げて礼を取った。

その後、以前お見受けした事があるレマイオス王国の王女タミレ、その後は魔力が異常に高そうなエルフの女性。

次に……見るだけで足元がすくんでしまう女性、そして私の知るハイエルフを超越したハイエルフがリュウタ様と共に降りてきた。

どの女性も達人レベル以上の武芸に秀でているに違いない雰囲気を纏っていた。 


「ただいま」

「お帰り。リュウタ……」


妻は自分の息子ではあるが、至高の存在として顕れたリュウタに近づき彼を抱きしめ頬にキスを受けた。

私は神として覚醒した息子を前に言葉が出てず、ただ立ち尽くすのみだった。

そんな私の状況を察してか、リュウタ様から声をかけてくれた。


「父上、到着致しました」

「1年ぶりか……立派になったものだ」


私は息子でもあるリュウタ様の存在を確かめるためにギュっと抱きしめ、そして子供ではなく成人した身体を確かめるために背中を2度ほど叩く。

記憶にある子どもの頃のリュウタ様の面影は残すが1年ぶりに再会した息子は大人に、何よりテンモク神の御子である事を認識させられた。

さて、親としての役目を果たさなければ。

リュウタ様が連れてきた女性たちをカジ家として受け入れるのだ。


「この女性たちがリュウタの婚約者たちか」

「はい。俺の横に立っているのがエレン・バクトゥリア、次に帝王種の飛龍であるノルン・カジ、マヨルカ、最後にタミレ・レマイオスです」

私はリュウタの父親のリュウイチ・カジ、そして我が妻のマイコ・カジだ」

「初めまして。エレン・バクトゥリアです」

「妾はノルンじゃ」

「初めまして。マヨルカと申します」

「お初にお目に掛かります。タミレと申します」

「リュウタも良い女性たちと縁を結べたな。そして……こちらがあの駄帝に目を付けられた女性か……安心しなさい。必ずカジ家が護って見せるよ」

「父上、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」


私は、御子であるリュウタ様の父親として役割を果たすべく、リュウタ様とその婚約者たちを応接室へと案内するのだった。



〈リュウタ〉


応接室には、俺、エレン、ノルン、マヨルカ、そしてタミレが通された。

マーナは俺の膝の上で普段と変わらずも丸まり、1つ大きくあくびをした。

そこで改めて自己紹介を各自してもらい、両親からカジ家として4人の女性を正式の婚約者として受け入れる事を表明してもらった。

婚約者たちも俺と一緒に帝立セレーコス学院に通わせたい事を話し、セレーコス帝国民として受験できる様に動いて貰える様お願いもした。

そして、従魔や使い魔の紹介などを交えながら歓談を終えて4人にはそれぞれ客室に向かって貰い、両親と3人で話す時間となった。


「父上、母上、1年振りでございます」

「リュウタ様……既にテンモク神の御子として覚醒されている様で大変嬉しく思います」

「何より、眷属である私たちを貴方様の両親として振る舞ってくださり大変恐縮にございます」


リュウイチとマイコが深々と俺に頭を下げた。


「いや、この世界では2人は俺の両親である事は変わらないから……テンモク神は確かに俺の父親だけど2人も俺の親だと考えているんだ」


2人はその言葉に涙を浮かべ、リュウイチはマイコの肩に手を置き引き寄せながら嗚咽を漏らす。


「……我らエルダードワーフの主神の御子から……斯様な言葉を承れるとは……我ら一族はリュウタ様に絶対的な忠誠を尽くす事をお約束致します!」

「そこまで堅苦しく考えなくて良いと思うけど……俺の両親としてこれからもよろしくお願いします」


こんな会話を行ってから、エレンについて相談をした。

相談内容はセレーコス帝国皇帝グレイオスがエレンを側妃として迎え入れようとしていたからだ。

そのエレンを俺が横から奪っていったというのが今の構図。

だが、今やエレンは俺の婚約者となり、しかもセレーコス帝国の冒険者ギルドSランク冒険者。

Sランクと言うのは帝国内では侯爵位を持つ歴とした帝国貴族でもある。

俺も公太子というだけでなく鍛治師ギルドと冒険者ギルドのダブルSランクで個人としても侯爵位を持つ貴族だ。

高位貴族の婚約者を入内させる事は帝国法でご法度であり、また、女性貴族を入内させる事もまたご法度。

しかも、神玉石の婚約指輪を贈っている事もあり、もし、グレイオスが横車を押そうとした場合はこの神玉石を上回る物を用意しなくてはならない。

こういった理由からグレイオスは入内要請を諦めなければならないのだが……


「あの男は……素直に諦める事はないだろうな」


俺の親ということで会話はせめてフランクなものにして欲しいとお願いして、ようやくこういった話し方になってくれた。

そうでないと堅苦しくて息が詰まりそうになるからだ。


「実は、リュウタには暗殺部隊も送られていたんだ。今回は飛空船で来たから襲われていないが……本来ならカジ家は帝国から離脱して戦争勃発直前だった」

「未遂……ですか」

「そう、未遂。計画しただけでは何とでも言い訳できるからな」

「暗殺は怖いなぁ……念の為、ホムンクルスを護衛に付けときますか」


俺はそういうと虚空庫からホムンクルスを11体ほど出した。

ホムンクルス……タミレに渡したオナガ型使い魔であるセレスと同じ人工生命体であり形状は人型のもののことだ。

エレンたちの使い魔を創っている中で興に乗って創ったもので10カラットの神玉石を2個と予備4個使用している特製だ。

護衛として身体能力はもちろんの事、剣術や体術、諜報、毒察知や隠密、索敵などレベル50という破格の能力を有しており護衛としては過剰なほどの性能を持っている。

忍者風の衣装を身に付けており、影に潜んでの護衛方法を得意とする。

そして……ホムンクルスは普通の人族と見た目は全く同じなのだ。


「ホムンクルス……?これは伝説上のものではなかったのか……」

「えっと、知識にあったのですが、この世界には存在しない?」

「伝説や物語の中には良く出てくるが……この世には存在しないな」

「まぁ、母上、父上に1体ずつ、そして自分用と婚約者たち、それと姉妹たちにも護衛として付けておきます」

「それだと2体残ってしまう様だが……」

「それは父上の力で学園に潜入させて欲しいのです。できれば教師1人と学生1人として。陰ながら護衛するのも限度があるだろうし」

「それなら学生の方は寄子である侯爵家の養子にして受験させれば良いわ」

「ああ、それが良いな。教師の件もも何とかしよう」


という事で1体はそのまま寄子の養子にすべく手続きをしてくれる事になった。

さて、明日は帝城へと向かう事になる。

やはり4大公爵家筆頭であるカジ家公太子の婚約だ。

皇帝に報告すべきという事で、エレンを伴い挨拶(・・)する事にしたのだった。


お読み下さり誠にありがとうございます。

今回の話はいかがでしたでしょうか?

宜しければ感想・ブクマ・評価を頂けると嬉しく思います。


これからも少しでも楽しんで貰えるよう頑張っていきたいと思います。

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