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興味を持って頂きありがとうございます。




タミレと婚約した事もありエレン騎士団(ナイツ)の正式メンバーとして彼女を登録する事になった。


「えっ?パーティー登録ですか……?」


プトレマイオスが少し驚いたような表情を向ける。

先程まで、タミレは騎士団とは別と言っていたのだから、今用意している書類に所属パーティー欄を新たに設けて、そこにエレン騎士団の記載を追加する必要が出てきたからだ。


「あぁ、そしてギルド経由でレマイオス王国王家宛に連絡をお願いしたいんだ」

「はぁ……それはどのようなことで……」

「タミレがエレン騎士団に加入した事と、カジ公爵家公太子であるリュウタ・カジとタミレ・レマイオスが婚約した旨の2点お願いしたい」

「婚約!?もしかして、この短時間で、ですか?」

「あぁ。そうだ。婚約した」


する事になった、ではなく「した」。

俺はこの部分を強調してプトレマイオスに伝えた。


「それはおめでとうございます!早速、先方に伝えたいと思います!」


プトレマイオスの声が大きく、周囲はカジ公爵家とレマイオス王家の婚約が一気に伝わった。

エレンも王女ではあるがやはり亜人国家。

それに対して多種族共栄を唱えてはいるがレマイオス王国は人族が治め、しかも現皇帝グレイオスの実弟であるダライアスが国王だ。

その王女と帝国の筆頭公爵家のリュウタが婚約したというニュースにギルド内が湧き上がった。


「スサの領主に伝えろ!」

「早馬だ!エクバタナでパレードの準備だ!」

「その前にスサでもパレードだ!」


どちらかと言うと殺伐した雰囲気の強い冒険者ギルドの建物内は職員を中心にではあるが色めき立つ。

ただ、元来お祭り騒ぎが好きなのも冒険者を生業とする人たちの(さが)という事もあって、俺たちの婚約を肴に飲みに行こうかという声があちこちから上がった。


「人族優位って根深い問題だなぁ」

「本当にそうね」


俺の呟きに応えたのはエレンではなくタミレ。

亜人と差別されている当事者以上にタミレはこの問題に敏感なのかも知れない。


「気にならないって言えばウソになりますが、結婚するのは彼らとではないですから」


エレンはそう言いながら俺の腕に自分に腕を絡める。

マヨルカも同様にもう一方の腕に抱きついて、


「そうですよ。私たちが幸せなら人の目は然程気になりませんから」

「そうじゃな。種族としては人族より……」


タミレがノルンの言葉の途中で自らの口の前に人差し指を立てて、


「そこから先は、外では、ね?」

「そうじゃったな。妾とした事が……」

「まぁ、ここまで騒ぎになったらやはりスサからエクバタナまでの移動は考えないとな」


俺はそういうとニヤリと口元を歪めた。

実はスサまでの移動中、創ってみたいものが次々と浮かんで来て、そのうちの一つをこの際創る事にしたのだ。


「なんだか悪い事でも考えているの?」

「悪い事ではないけど、どうせならもっと驚く方法でエクバタナに向かおうかと思ってね」

「それはどういう事じゃ?」

「まぁ、おいおい分かるさ」

「今度は私だけでなく皆さんにもおいおいなんですね」

「折角だからな」


そんな話しをしているうちにプトレマイオスが戻ってきた。


「えー、連絡は無事できたのですが、今回のオーガ殲滅で……実は精査してみますとただの集落ではなく大規模集落だったようでしかもオーガキングだけでなくカイザー種が含まれている事が分かり……タミレ様は単独殲滅という事もあってA級ではなくS級にさせて頂くことになりまして、はい」


集落は200体ほどの人型魔獣が住んでいる所で大規模集落は1000体以上となっている。

今回、セレスが殲滅してきた集落にいたオーガは1673体。

肩書きは集落であろうが大集落であろうが同じ集落殲滅者なのだが、1500体以上の集落に存在するカイザー種は地龍程ではないが、やはり軍隊で対応しなければ斃せない精霊種だ。

それにオーガが1500体以上なのだからS級は当然と言えば当然のランク付けだろう。

ただ、彼女自身はランクに見合った実力ではないので近々パワーレベリングしておく必要があるかな。

俺はそんな事を思いながら、


「タミレ、良かったな。プトレマイオスさん、それではその様にお願いします」

「えっ、私が、冒険者、Sランク……?」

「大丈夫だよ。それに見合った実力も身につく様にするから」


タミレは一度受け取った身分証をもう一度プトレマイオスに渡すと彼は再び奥へと向かった。

このやり取りを聞いていたエレンとマヨルカは口元を引き攣らせながら「かわいそうに」と呟く。

それを聞いたタミレは、


「かわいそう?えっ、何があるの?」

「おいおい分かるさ」

「……そうね、おいおい分かるわね」

「そうですね。おいおい……」


タミレは「また、おいおいですか……」と呟くが、この言葉に慣れっこになったのだろう。

フーっと小さくため息を吐き、


「これから今の状況に慣れる様にするわ」

「あまり考えない方が良いけどね」

「そうよ。考えていたら可笑しくなるわよ?」

「そうじゃな。妾でさえ開いた口が塞がらない事があるしの」

「私はとうに考える事を放棄したわ……」


マヨルカは俺の言葉に1人視線が遠くへと向けられた。

恐らくペルシウス高原でのパワーレベリングを思い出しているのだろうが、やはりレベルアップは今後のタミレの為でもあるし頑張ってもらう事にしようか。

新しく冒険者ランクをSに直した身分証を受け取り、俺たちはカジ家別邸に戻る。

そして、タミレには皆と同様に婚約指輪を渡し、各種衣装や武器、防具などの説明を行った。

一通り終わった事もあって俺は鍛治室へと向かう事にした。


「ちょっとある物を創りたいから、悪いけど1人にさせて貰えるか?」

「えー、見ていちゃダメなの?」

「そうじゃ。夫婦になるんじゃから秘密は良くないと思うんじゃが」

「私もそう思います」

「リュウタの鍛治をするのを見てみたいけど、まだ機密事項?」

「まぁ、構わないけど……面白くないぞ?」


俺が許可を出したところ婚約者たちは手を取り合って喜んでいた。

タミレ……打ち解けるの早くないか?そう思いながら俺たち5人は鍛治室に向かう。


「本当に実験ばかりだからな?」


俺はそう念を押すと、虚空庫内で創っていた魔導ジェットエンジンを取り出し、周囲に結界を多重展開して温度や推進力など測定できる様に準備をしていく。

燃料は地龍の魔獣石を10個使いタービンを回して火魔法により推進力を生むものだ。

簡単に構造を書いていくと、風魔法により空気を大量に吸い込み高圧圧縮を行い上級火魔法を発動させた際にこの圧縮空気を噴出する。

これによって高温高圧にさせた空気によりタービンを回転させ、それによって排出されるエネルギーを推進力にしたのが魔導ジェットエンジンだ。

魔法は不思議な事に、強力な風魔法を放っても術者が魔法を放った反動で吹き飛ばされてしまう様な事はない。

これは魔法を放つ際に術者には反魔法が同時展開されるからだ。

それ故に、この魔法を運動エネルギーに転換しなければ発動体は推進力が得られないと言う事になる。


「さてと、魔導ジェットエンジンに風魔法、火魔法を同時に展開……よし。出力20%……タービンの回転……うん、悪くないな」


多重展開された結界によって音は小さいが独特の高音が鳴り響く。


「出力30%……出力50%……タービン内の温度は1300度……出力80%……出力100%……タービン内の温度1500度、よし!計算値通りだ。このまま2時間継続していくか」


その間、高温酸化や高温腐食、熱応力による変形などがないかモニタリングしていく。

一定時間変化がない事を確認し、魔導ジェットエンジンを運転状態で虚空庫内に収納し10万時間加速させる。

次にエンジンなども取り付けた完成予定の超高速飛空船を縮小して取り出し、これを固定しての風洞実験だ。

実験は極大風魔法によりマッハ10で飛行する時に受ける衝撃をこの飛空船にぶつけるというもの。

飛空船は弾丸形でそれに飛行を安定させるための主翼、尾翼が付いているが、飛行機に比べると随分とずんぐりむっくりとして飛行船に似た形状だ。

マッハで飛行すると、飛空船の先端から円錐状にソニックブームが生じる。

速度が速くなれば速くなるほどソニックブームが生じる角度は狭まり、その角度から外れると機体は破壊されてしまう。

そこで飛空船の先端には抗風力魔法を展開させる事により、このソニックブームを生じさせない様にしておりその実験だ。

大きさは52メートル、高さ13メートル、幅15メートル。

居住性を最優先しているので空力学的には問題ありまくりの形状だが、そこは魔法でカバーしている。

それが問題なく作動するかが実験の目的だ。


「よし、それではマッハ0.5……マッハ1……」


風魔法を強めていっても機体は安定して揺れも生じていない。


「マッハ3……マッハ5……マッハ7……マッハ10。問題なさそうだな。このまま今度は風を蛇行させる……これも問題なし……風の方向をななめ45度から……これも大丈夫そうか」


同じくこれも虚空庫内に収納し10万時間、時間加速して実験を継続させる。

次に反重力魔法の実験だ。

重さ400トンもの鋼鉄塊を取り出し反重力魔法を掛ける。

400トンという重さはジェット旅客機ボーイング777-300ERが満席でジェット燃料もフルに積まれた時よりも重い。

この重さで物体を浮かせる事ができるかどうかの実験だ。

使っているのはこれも地龍の魔獣石を10個。


「おっ、これは結構楽そうだ」


反重力魔法を調節する事により高度を変化させられる。

これも虚空庫内で時間加速しどの程度の時間、魔法を維持できるかを確認する。

気が付いたら日を跨いでおり、もう少しで日の出の時間になるところだが、見学していたエレン、ノルン、マヨルカそしてタミレは仲良くソファーの上で眠りに付いていた。


「ふふっ。さて、ちょっと風呂にでも浸かってくるか」


浴室に向かい、ゆっくりと肩まで湯に浸かる。


「ふーっ。やっぱり風呂はいいなぁ」


そう呟くと脱衣所が少し騒がしい。

4人がなんだか言い合っている様だ。


「もう、観念して入るわよ!」

「そうじゃ。これが婚約者の務めなのじゃ!」

「そうです。それともリュウタ様にお見せできない裸なのですか?」

「いや、そうじゃなくて……男性とお風呂って……経験なくて……」


タミレは前世の坂上詩織の時も男性経験がなく独身だったようだ。

自慢ではないが俺も前世の梶井龍太の時も含めて5万年以上女性経験がないので似たようなものだけど。


「もう、諦めて!」

「ほれ、緊縛魔法じゃ!」

「恥ずかしいのは最初だけですよ」

「お願い……いや、えっ……!?」


タミレは後ろ手に縛られているのだろう、水着は着ているがビキニという事で肌の露出は多い姿で浴室に入ってきた。


「……ーおはよう」

「お、おはよう、ござぃますぅ……」


顔を真っ赤に染めて俯き加減のタミレを先頭にエレン、ノルン、マヨルカが入ってきた。

3人の中で1番胸が小さかったエレンは今は2番目。

それもあってなんとなく自信が付いた、そんな表情をしている。

何せタミレはまな板にほんの僅かに膨らみがある程度。

一般にエルフは貧乳が多い。

しかし同じエルフ族のマヨルカはDはあろう美乳だった事もあり、胸に関してコンプレックスを抱いていたのだ。

それなのに平均的にエルフより胸が大きいと言われる人族のタミレが自分より遥かに小さいのだ。

まぁ、それも数年後には逆転されてしまうんだけどね。

水着を着ているとはいえ女性と一緒に入るお風呂には慣れず、危うくのぼせてしまうところだったけど、これって慣れるのかなぁ。


お読み下さり誠にありがとうございます。

今回の話はいかがでしたでしょうか?

宜しければ感想・ブクマ・評価を頂けると嬉しく思います。


これからも少しでも楽しんで貰えるよう頑張っていきたいと思います。

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