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興味を持って頂きありがとうございます。
翌日、俺は欠伸をしながら食堂に入ってきた。
昨晩はタミレのセリスを見たエレン、ノルン、マヨルカ、それにマーナが使い魔を欲しがった事もあり要望を聞いてそれらを創っていたのだ。
セバスティオヌは騎士団メンバーではないので諦めてもらう事にしたのだが、とても残念そうで今朝もジト目で俺のことを見つめている。
「今日は冒険者ギルドよ!」
朝の挨拶もそこそこにタミレが宣言する。
エクバタナまでは護衛しなければいけないので、俺たちエレン騎士団は朝食後に彼女と共にギルドへ向かう事になった。
「おはようございます!」
ギルドの受付からとても元気の良い朝の挨拶が向けられた。
ショートカットで俺よりも少し年上と思しき女性職員だ。
「おはようございます。すみませんが登録をお願いしたいのですが」
「………」
「どうされました?」
「あ、いえ……」
俺たちエレン騎士団はオフの日以外は女性陣はギルドに向かう際に神鱗布で創り上げたドレスアーマーを、俺は同様に黒の高襟ロングジャケットだ。
無縫製なので見た目以上に動きやすく、採取から対魔獣まで楽にこなせるようになっている。
だが、冒険者の衣装としては異質で、フォーマルな場でも通用する服装でギルドに来る事はあり得ないのだ。
しかも、ドレスのデザインだけでなく生地自体も十分に目を見張るものという事もあって、女性職員は言葉を失った。
「すみませんが、こちらの女性の冒険者登録と使い魔の登録をお願いできますか?」
「はい、それは……エレン騎士団のメンバーとしてでしょうか?それともーー」
女性職員は俺たちが着ている衣服の右肩に描かれている団旗を見て判断したようだ。
きちんと末端職員まで連絡が行き届いているのは流石と言えよう。
「騎士団とは別ですね。ただ、彼女が今まで倒した魔獣も考慮してランクを決めてください」
「はい、それは問題ないですよ。今回は従魔ではなく使い魔登録で良いですね。それではこちらの用紙に記入をお願いします。それと身分証明書を……」
タミレは自分の身分証明書をギルド職員に渡した。
今、彼女の証明書には本来書かれるべきである【総合商社ミグロホリクム会頭】は何故か書かれていないので今は次の様に書かれている。
何せ、これから学院受験もあるのだから冒険者ギルドのランクが高い方が圧倒的に有利。
そう言った事もあって、昨晩、彼女が寝ている間に使い魔が魔獣討伐をしてきたのだ。
ここで従魔と使い魔の違いであるが、従魔の場合は魔獣には自分の感情が残存するもので、使い魔は魔獣に限らず通常の生物や人工生物も含み、自律的に判断して行動はできるが感情面は若干乏しい傾向にある。
氏名 タミレ・レマイオス
種族 人族
年齢 14歳
職業 商人
所属国 レマイオス王国
称号 レマイオス王国の希望、【総合商社ミグロホリクム会頭】、オーガ集落殲滅者
使い魔 セリス
「オーガ集落殲滅者」
こんな物騒な称号が彼女についているのは使い魔セリスがタミレが寝ている間に行った成果だからだ。
当然、オーガの死体は全てセリスに付与してある虚空庫(中型)の中に収納してある。
それは良いとして、この称号を見た事で再び職員から言葉が止まったのだ。
「オーガ……これはお1人で?」
「そうですね」
「証明書にもそうなっているようですから間違いはないようですが……それでは少々お待ちください」
そう言うと彼女はカウンターの奥へと向かった。
恐らく上司、いや、ギルドマスターにでも報告するためだろう。
1国の王女、エレンとは違い亜人ではなく人族の王女だ。
しかも龍討伐者程ではないが、集落殲滅者と言う称号は冒険者としてはそうそう得られるものではない。
使い魔もオナガ鳥に見える事もあり殲滅は使い魔ではなくタミレ行ったと考えてくれるだろうし、今回はゴブリンではなくオーガの殲滅なのだからA級、最低でもB級は取れるだろう。
「朝起きたらびっくりしたんですよ。セリスが窓を開けて入ってきたんですから」
「見た目はオナガ鳥ですが知能は高いですからね」
「リュウタ、私も早く欲しいんだけど〜」
「エレンたちのはもう少し待ってな」
折角なのでタミレに渡したものより性能的に大幅に上げたものを用意しようかと思っているのだ。
そんな話しをしながら職員が戻ってくるのを待っていたら、やはりと言うか、ギルドマスターを伴ってやってきた。
「あー、初めましてですかねー、このスサ支部のギルドマスターをしておりますプトレマイオスといいます。お見知りおきをー」
どうも間が抜けた様な話し方をする男性ではあるが、簡易鑑定してみると剣術スキルが7と非常に高いスキルレベルだ。
そんな男がタミレの実力をじっくりと観察するかの様に見ている。
「ふむ……タミレさんはそれ程強い様には見えませんからその使い魔がそれ相応の強さなんでしょうな」
「……それではダメなんですか?」
「いえ、使い魔の実力もその冒険者の能力の一つですから。それなのでタミレさんの冒険者ランクをAランクにしたいと思います」
Aランク以上は帝国の爵位を得られる。
当然領地はないのだが、それでも社会的地位が得られる事はこの世界では大きなメリットだ。
しかもレマイオス王国の王女という立場は、両国間の関係が冷え込んでいる事もあり帝国内ではあまり良いとは言えないのだからタミレにとっては非常に嬉しい副産物だ。
「ありがとうございます。それではAランクとしてそのランクに見合った行動をしていきたく思います」
プトレマイオスはそう言うと彼女の身分証を返した。
タミレは帰ってきた自分の身分証を見ると嬉しそうな笑顔を浮かべ、リョウタに顔を向け、
「リュウタ、ありがとう!あなたのおかげよ!」
タミレは俺に対していつの間にか呼び捨てになり、言葉もよりフランクなものになっていた。
「ちょっと、タミレ!男性を呼び捨てにするなんて自分の従者かより親しい婚約者に対してよ!」
「ふふふ。私、正式にリュウタさんに婚約を申し込む事にするから」
「婚約!?何言ってるの!女性から婚約を申し込めるのは身分が同じくらいか、女性の方が上の場合よ!」
「エレンさん、私、商業ギルドのメンバーでもあるの」
「えっ?商業ギルド?」
この世界には職業別にギルドがある。
だが、社会的に認められたギルドは3種類のみで帝国の建築物や武器を手掛けるドワーフたちが主体の鍛治師ギルド、魔獣などの討伐を主体に行う冒険者ギルド、そして経済の中心となる商業ギルドだ。
この3つのギルドはギルドランクと社会的地位が結び付き、Aランクは伯爵位、Sランクは侯爵位が所属国から与えられるのだ。
「私、この国の商業ギルドのSランクなのよね」
「だって、身分証には……」
「記載していないだけよ。祖国でそんなの見られたら面倒な事になるじゃない」
これはタミレがリュウタと同じ侯爵位を与えられている事を意味する。
しかも今回の件で伯爵位も付与される事になったのでリュウタにより近い身分へとなった。
そう、タミレがリュウタに婚約を申し出る条件はクリアしていたのだ。
女性から婚約を申し出られた場合、男性側はその申し出を断る事もできるのだがこの場合は正式な手続きを経なければならず一定の期間は婚約している事になる。
他国の王女からの婚約申し出を断るのなら、カジ家から皇家、そこからレマイオス王家に対して婚約破棄を通達しなければならない。
だが、エレンの件もありリョウタは皇家に対して借りを作る事ができない状況だ。
個人間の私的婚約、貴族家間の正式婚約、それを経ての結婚という過程なのだが、私的であろうが婚約期間が長くなれば長くなるほど婚約を破棄することは困難になるのは言うまでもない。
つまりーーーー詰んでいるのだ。
「う、ぎ、ぎ、ぎ……」
普段のエレンからは到底想像できないような憤怒の表情を浮かべ歯軋りをしている。
そんなエレンを見ながらタミレは勝ち誇ったように、
「側室であろうが、こんな素晴らしい男性に娶って貰えるなら最高だわ!」
「ふー、順位として、エレン、ノルン、マヨルカ、その次、と言うことになるよ……」
「第4位だろうが私は構わないわ。平等に愛してくれんですもの!」
この世界は序列はあっても平等に愛する必要がある。
俺はなんか敗北したような、いや、エレンたちもタミレ1人に敗北したような感じに頭を項垂れているのだった。
お読み下さり誠にありがとうございます。
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これからも少しでも楽しんで貰えるよう頑張っていきたいと思います。




