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026 暗殺部隊

興味を持って頂きありがとうございます。


少し短めですがお付き合いください。


〈暗殺部隊レフカチェリア 部隊長クラテロス〉


〜 皇帝グレイオスからの勅命が下された時に戻る 〜


皇帝自ら私の部隊に勅命が下された。

カジ公爵家の公太子であるリュウタ様の暗殺だ。

カジ公爵家は言わずもがな帝国4大公爵家筆頭であり、武門とされる貴族家の中でも最大武力を誇る。

その力は全帝国軍にも勝るとも言われ、カジ公爵家は皇族を立ててはいるが皇帝からカジ公爵家に対して命令を下す事ができないのはこの国の貴族なら誰しも知っている事実だ。

カジ公爵家が帝国の一貴族として甘んじているのは彼らはサカスターナ領が健全であればそれ以外はどうでも良いからだろう。

そんなカジ公爵家に対して喧嘩を売るとは……。


「隊長、隊員の準備が整いました!」

「そうか……」

「どうされましたか?何か問題でも?」

「これからスサに向かうのだが、その先である人物の暗殺が指示された」

「はい。それは前に伺いましたが」

「その暗殺対象者が……リュウタ・カジ……カジ公爵家公太子だ」

「えっ?」

「カジ公爵家公太子だ」

「……」


我々は「白の手」とも言われる非合法な暗殺を生業にしている部隊だ。

幼少の頃から素質のある子どもたちを集めて暗殺技術を仕込まれて来た暗殺に特化した部隊。

暗殺という国家による虐殺を合法化した部隊と言う事で騎士たちだけでなく帝都民からも毛嫌いされているという事もあり、帝都の石壁の外にある森の中に寄宿舎や訓練場が置かれている。

その寄宿舎にある部隊長室に副部隊長であるアンティゴノスを呼び、作戦について説明しているところだ。

本当はもっと早くに説明すべきなのだが、内容が内容なだけに出立直前になってしまった。


「それは……絶対なのですか?成功したとしても私たちは死罪ですよ?」

「皇帝自ら下されたものだ」

「そうですか……リュウタ様は今年成人したばかりなのであまり情報はありませんが、公爵家当主のリュウイチ様はバケモノですよ」

「アンティゴノス、お前でも無理か?」


アンティゴノスは隻眼(モノフタルモス)という二つ名持ちだ。

魔族の国であるパルティア王国との武力衝突の際、敵軍将軍を暗殺した際の負傷で隻眼となった。

隻眼となってからも多くの武将の暗殺により武勲を重ね副隊長になった人物だ。


「リュウイチ様の暗殺は無理ですね。罠を幾重にも張り巡らせて身動きの取れない状態にしても暗殺どころか傷すらつけられないでしょうし、反撃されてお終いですよ」

「無理か……」

「申し訳ありませんが……今回は手を引くべきでしょう」

「公太子の方も、無理か?」


アンティゴノスは目を瞑り考え込んでいた。


「鍛治師としては既にSランクだと言います。鍛治師のSランクはリュウイチ様を含めて数人しかおらず、皆、鍛治だけでなく剣術も相当な腕前です。それなのでリュウタ様の暗殺も相当困難なものになると思われます」

「そこは流石エルダードワーフという感じか……」


2人は互いに目を瞑り考え込む。


「仕方がない。それでは私たち2人ともう子育てが終わった者たちだけを選抜してこの任に当たるとしよう」

「それしかないでしょう。成功しても失敗しても死しか待っていないのですから」


私たちは指示を出し既に準備を終えた者たちの中から選抜を行い、最終的に私とアンティゴノス、他に7人の部員が向かう事になった。

このエクバタナからスサまでは350キロ。

私たちは普通の軍隊より装備が軽い事もあって早く移動できる。

総勢9人で最小限の食料などを積んでの移動だと1日に30キロは進めるだろうから12日もあればスサだ。

彼らはまだペルセリスに到着していないだろうから、スサで待ち伏せし領都内での暗殺。

これが一番成功率が高いだろう。


「よし、出発だ」


アンティゴノスを含めて部員たちは今回の任務がどう言った結末を迎えるか十分理解している。

それなので黙って首肯のみで私の声に応じた。

出立直前に部員が1人、走り寄って来た。


「隊長!目標がペルセリスを出てスサに向かっているそうです!」

「何?スサに……?異常な速さだ……早馬に乗って通しで走っているのか?」

「ペルセリスからの連絡では普通の貴族馬車だそうです」


幌馬車に比べ貴族が乗る箱型は重く、下手に石を踏むと転倒する事があるので条件によっては歩くより遅い。


「馬鹿な……だが、作戦を事前に変える事ができた。ありがとう伝えてくれて」

「いえ!隊長こそ御武運を!」


俺たちは寄宿舎を出てスサへと急ぐ事にした。

だが、どう言った手段を講じたのか分からないが恐らく、こちらがスサに着く頃には向こうはスサを出立してすれ違いになる可能性が高い。

移動用の幌馬車に揺られながら、最適解を求めるため私は長考に入っていた。


「やはり道中を待ち伏せするしかないか……」

「スサ内でではなく待ち伏せですか?」

「ああ。やはり領都内だとカジ家別邸にいる可能性が高いからな」

「そうですね。確かに待ち伏せの方がやり易いでしょうね」


待ち伏せするなら、多くの旅人が休憩するポイントがある。

人流をある程度コントロールすれば、その休憩ポイントは自分達だけにする事ができるだろう。

それなら攻め手としては非常に優位に立てるーーー

私は知らぬうちに口角が上がっていた様だ。


「隊長?」

「いや、リュウタ様を誅する良い方法が思い浮かんだんでな」

「そうですか!隊長がそこまで言うならいけそうですね!」

「ああ、無駄死にだけは避けたいからな」


私はこの言葉を最後にし、ただ部下たちと共にスサへと急ぐのだった。


お読み下さり誠にありがとうございます。

今回の話はいかがでしたでしょうか?

宜しければ感想・ブクマ・評価を頂けると嬉しく思います。


これからも少しでも楽しんで貰えるよう頑張っていきたいと思います。

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