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興味を持って頂きありがとうございます。




ペルセリスに戻った一行は、冒険者ギルドペルセリス支部へ向かいノルンの身分証を作った。

俺の婚約者という事と、ノルンはペルシウス高原を自らの縄張りとした際に他の龍種を斃していたのだろう。

龍討伐者の称号を持っていた事もあり問題なく身分証を手にする事ができた。

当然、ノルンも冒険者ギルドS級だ。

そしてペルセリス高原で得た魔獣の討伐部位や多めに採取できた多肉植物のペルセリスなどを支部に買い取って貰ったのだが、流石に金額も相当な額になってしまうので前回の龍種などと同様に分割払いでそれぞれの口座に振り込んで貰う事にした。

これだけで4人が卒業するまでの学費はもちろん、エクバタナに邸宅を幾つも購入しても使い切れない程の収支となった。

俺たちはペルセリス支部での用件を終えてカジ邸に戻る。

何せ、ノルンが人化した際に大量の鱗や大きな角、牙、髭などといった素材をゲットできたのだ。

これは俺の虚空庫の中にもなかった素材で、折角だからこの鱗を使った鎧と角を使った剣を造る事にした。

そこで4人同じ意匠の装備と剣をノルンの角をベースにSランク神武具を造る事にしたのだ。

エレンのレイピアは特一等と通常の武器としては最高ランクなのだが、アダマンタイトとミスリル製よりも最強種の神獣の角を使った方がより上の物ができる。

俺の持つ涙紋刀は思い入れも深いのだが……これをサブウエポンとして4人、同じ意匠の武具にした方が連帯感も深まるのではないかとも考えたのだ。

夕食後、俺はリビングへ向かわないで鍛治室へと向かおうとした所、3人の婚約者たちから声を掛けられた。


「一緒に寛がないの?」

「俺はこれから皆んなの装備を造ろうと思ってな」

「鍛治をするの?見てみたいんだけど」

「そうじゃな。妾も見てみたいのぉ」

「私も見てみたいです」

「んー、あまり面白いものじゃないぞ?」

「「「(リュウタ)(主人様)(リュウタ様)の鍛治を見てみたい(な)(のじゃ)(です)」」」


キラキラした期待に満ちた目で3人から見られ、俺は再度「面白いものじゃないんだけどな」と呟きながら鍛治室へと向かった。


最初は剣から作る事にした。

俺はロングソード。

エレンはやはりレイピアで、ノルンには身長的に不釣り合いだがバスターソード。

マヨルカは魔法主体という事もあり今使っている魔杖に追加して短剣(ショートソード)を造る事にした。

最初はノルンの武器からだ。

ノルンは150センチにも満たない身長ではあるが、最強種神獣という事もあり有り余る膂力を持て余さないよう普段はハンマーの形で取っ手の部分にバスターソードを仕込んだ物にする。

ハンマーはドワーフたちが好んで使う20キロぐらいの大型槌(スレッジハンマー)よりも更に大きく、巨人族トールが持つ叩打面が直径60センチ長さ1メートルにもなる巨大槌(ミョルニル)にした。

柄の部分は直径20センチ、長さも2メートルにも及ぶ。

鉄鋼で造ると重さだけで3トン近くになってしまうが主要部分は神鋼で造るのと槌の部分は中腔部分もあるので200キロ程度の重さで作れるだろう。

先ずはバスターソードからだ。

剣芯をノルンの角にしそれを神鋼で包むように剣を鍛えていく。

それを見てノルンが嬉しそうに話しかけてきた。


「それは妾の角じゃな?」

「ああ、ノルンの角はアダマンタイトより靭くミスリルよりも魔力を通しやすいからこれを剣の芯材にする事にしたんだ」

「妾が芯材……」

「そうだ。俺たちの武の中心がノルン、お前だと思っているんだ」

「妾が中心……」


ノルンは両手で顔を覆い、それでもニマッと破顔しているのが分かる。

そして続けて、


「エレンは精神的に皆んなを支え、そしてマヨルカは4人の調整役として期待しているよ」

「私が精神的な支え……」

「調整役!?嬉しい……」


エレンとマヨルカはなんだかクネクネしながら悶えている。

取り敢えず3人はそのまま放置する事にしてノルンの巨大槌の作成を再開した。

叩打面60センチに対して柄は直径が20センチ。

一体形成をしないと下手したら根本から抜けてしまう可能性がある。

その上、ノルンの身長が低い事もあり巨大槌の重心を形のままの位置から少し変えないと取り回しがしにくくなってしまう。

そんな事を考えながら、バスターソードを作っていく。

彼女の角を超高温で熱しそれを剣芯に合わせた長さと太さに伸ばしていく。

それができたら神鋼を加熱して剣芯に纏わせていき剣体を形成する。

一般的な剣の造り方とは違い日本刀に近いのはその方がより強度を上げる事ができるからだ。


「ふう……。どうにか、形になったかな?」


俺は独言ながら研磨していく。

最後に硬化や切れ味増加、不破壊、軽量化、自動修復、火魔法、雷魔法などを付与しバスターソードが完成した。

次に槌や柄の部分だ。

結構な大きさがあるから鋳造でいこうかと考えたが、やはり鍛造で造ることにした。

鋳造で造ると鍛造より比較的容易に造る事ができるのだが、鍛造に比べて重くなるのと何より反復曲げ応力に弱く根元の部分の強度に不安が残る。

大変なのだが、金型を作りそれにより神鋼を圧縮して成形をする。

そして……叩く。

叩いて鍛造していく事で鍛流線(メタルフロー)が得られ引っ張り強度や硬さが向上していくのだ。

特に柄の部分はバスターソードを収納できるようにしなければいけないのでより鍛造が複雑になる。

それを意識しながらようやく槌の部分が出来上がった。


「これは、結構な重さだな。俺でも重さを感じる……」


鑑定で200キロ近くなので想定通りの重さではあるが、力自慢が多いドワーフたちでもこれは持て余す重さだ。

この槌に飛龍帝王種の意匠を施し研磨を加え打撃力増加、硬化、不破壊、軽量化、爆裂魔法、自動修復などを付与して完成となった。

神具としてS1という最上級の武具だ。

ただし、バスターソードに限ってはノルンの角を芯材に使用した事でS3と少しランクは落ちてしまったが、それでも神界で見渡しても武具として最高峰のものと言えるだろう。


「ノルン、お待たせ。軽量化を付与しているから実際の重さよりは軽くなっているが、それでも50キロ近くになるかな。ちょっと振り回してみてくれないか?」

「これは……この世界の金属じゃないじゃろ?見事なものじゃ。どれ……」


ノルンは俺から巨大槌を受け取ると軽々と振り回している。


「昔から使っているかのように手に馴染むのじゃ……。剣は……これも見事な造りじゃ」

「気にいってくれて嬉しいよ。使用者指定されているから他人に持たせると1000キロを超える重さになるからな」


ノルンは嬉しそうに巨大槌を眺めていた。

俺はそのままエレンのレイピアを創っていく。

これも日本刀と同じ様に鍛造だ。

ノルンの角を芯材にして神鋼を纏わせて鍛えていくと剣の質は特一等を遥かに超え、神剣への高みへと昇っていく。

そしてノルンのバスターソードと同じS3という神剣としても高レベルのものが出来上がった。

それからマヨルカの短剣。

これも同様に創っていき、最後にエレンとマヨルカの剣を研磨して付与を行った。

硬化や切れ味増加、不破壊、自動修復などはノルンと同じだが、エレンには風魔法と水魔法、マヨルカには雷魔法が付与された。

これに神木で鞘を造り完成だ。


「エレン、マヨルカ、2人の剣だ大事にしてな」

「これって聖剣よりも……」

「ん?これは神剣だね」

「神剣……」

「この短剣もですか?」

「そうだね」

「「……」」


2人はそれぞれの剣を抱きしめながら座り込んでしまった。

3人は俺のしている鍛治よりも今手にしている武具に目を奪われており、先程まで感じていた視線が和らぐのを感じた。


お読み下さり誠にありがとうございます。

今回の話はいかがでしたでしょうか?

宜しければ感想・ブクマ・評価を頂けると嬉しく思います。


これからも少しでも楽しんで貰えるよう頑張っていきたいと思います。

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