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013

興味を持って頂きありがとうございます。




馬車は順調に進んでいた。

いや、途中崖崩れがあったり橋が流されていたりしていたが、これも両親ズに鍛えられているので土木スキルや土魔法などを駆使して問題なくクリアしていった。

聖剣も無事に完成したのでアンドゴラスや護衛の騎士たちに渡したら涙を流しながら喜んでくれた。

次いでにエレンも剣術スキルを持っているのでアダマンタイトとミスリルで特1等のレイピアを創り渡しておいた。

当然、これも聖剣で彼女と相性の良い風と水魔法、そして光魔法を纏ったものだ。

そして俺として1番嬉しいのは洋剣造りスキルも無事カンストできたのでこれからは最高レベルの洋剣も自在に作れるようになった。


「後は剣術レベルを上げようね」


俺はそう言ってエレンにレイピアを渡した。


「これって、聖剣、ですよね?」

「そうだよ。俺の婚約者がただの鉄の剣だとちょっと格好付かないしね」

「……」

「まぁ、取り敢えずアンドゴラスさんに勝てるくらいになろうか?」

「えっ?アンドゴラスさんは私の国の中でも強い方なんですよ?」

「大丈夫。エレンならもっと強くなれるから」


そんなやり取りがあり、エレンの魔法の練習も兼ねて魔獣狩をする事にした。

エレンだけでなく侍女のマヨルカにも魔法を教えてレベル5の雷魔法を使えるようにしたので3人での魔獣狩だ。

何せ街道といっても村落は疎らにしかないので大部分は人の手が入っていない。

言い換えれば魔物が豊富にいるという事でもある。

そして、スタンピードが発生するであろう程に魔獣が集まっていたポイントが近かった事もありそれを利用してレベルアップを図る事にしたのだ。

方法は簡単。

誘引という魔法で魔獣を引き寄せるだけで魔獣が大量に襲ってくれるだろう。

ただ闇雲に誘引するのではなく、素材として有用なものやランクとして上位の魔物を中心に狩っていけば雑魚は勝手に分散して脅威ではなくなるだろう。


「それじゃあ、この辺りで魔獣狩をしようか」


馬車の護衛をマーナに頼み、俺たちは街道から1キロほど入った場所に空き地を作りそこで魔獣を誘引する事にした。

スタンピード発生の直前と言う事もあり、入れ食い状態で魔獣に困る事なく誘引できた。


「最初はオークだ!オーク肉を大量に収穫できるぞっ!」

「肉!?肉〜〜!!」

「お嬢様……はしたないですよ……」


王女な筈のエレンは食に目覚めたのかオーク肉に強く反応しており、それに対してマヨルカの方が恥ずかしさを覚えているようだった。

恐らくマヨルカは教育係も兼任していたのだろう。

そうこうしているうちにオークの集団がやってきた。

空き地を取り囲むかの様に数百にも及ぶオークの集団で彼らが存在するだけで空気が生臭くなった。


「俺が魔法でオークの動きを止めるから剣で止めを刺してな」


俺はそう言うと集団麻酔(エリア・アネステシア)魔法を掛けるとオークたちはその場で崩れ落ちる。

睡眠と違い、剣で斬られても身体はピクリとも動かないので止めを刺すには都合の良い魔法だ。

オークにしっかりと麻酔が掛かっているのを確認して、エレンにレイピアでオークの頭を1つ突きする様に促す。


「リュウタぁ……途中で起きないよね?」

「ああ。数時間は起きない様に強力に魔法をかけているから心配いらないよ」

「はいぃぃぃ……」


少し情けない声を上げながらエレンはオークの頭にレイピアを突き入れる。

本来なら剣で突き刺してもオークの分厚い頭蓋骨を貫通する事はないのだが、エレンの持つレイピアは神剣の一歩手前まで鍛え上げた聖剣。

豆腐にでも突き刺したかの様にエレンのレイピアはオークの頭を貫いていく。

突き刺しても麻酔の掛かったオークは身動き一つせずに絶命するので、エレンは安心したのか次々とレイピアを突き刺していく。

俺は彼女の後ろをついて行き絶命したオークを虚空庫に収納して素材の分類をしていく。

それが終わったら次はオーガ、ウルフ系、ボア系と進め、途中、マヨルカの雷魔法で止めを刺させたりしながら、順当に2人のレベルアップをしていく。

そして今回、スタンピードを起こす元凶が残った。

探索を行うと、魔獣の中でも最強種の1つと言われている地龍が棲息している事が分かったのだ。

何らかの意図で地龍が集められており、このスタンピードは恐らく人為的なものなのだろう。

こんなど田舎でスタンピードを起こす理由を窺い知る手段はないのだが、ここで元凶を潰しておいた方が良さそうだ。


「この辺りは地龍も棲息しているぞ」

「地龍!?」


地龍は蛇の様にひょろ長い形状をしているが、頭に2本ずつの長短の角と2対の長い鬚、そして全身を光り輝く鱗が覆っている全長40メートル近い魔獣だ。

似たような魔獣に既に斃しているグランドワームというのが存在しているが、地龍は龍種でありグランドワームは言うなれば巨大ミミズだ。

地龍は高レベルの土魔法により土中を自由自在に動き回る事で、個体の強さも相まって討伐の難易度は非常に高い魔獣となっており魔獣のランクとしてはSSランク。

ゴブリンが単体でEランク、オークがDランクであり、地龍は原則複数の師団単位での軍隊で討伐できるかどうかという対象なのだ。

そんな地龍が3体もおり、その地龍が纏う魔力に引き寄せられ魔獣が集まってきていたようなのだ。


「誘引したから間もなくやってくるよ〜。3体もやってくるなんてラッキー!」

「「3体?」」


エレンとマヨルカが驚きの声を上げたと思ったら目の前の草原が隆起を始めた。

もう迷っている暇はなく、否応にも討伐へと進むしかなかった。


「マヨルカさん、地龍が地上に頭を出したら使える雷魔法を最大の威力でね!」

「最大の威力!?えーっと……サンダートルネード!?」


レベル5になれば詠唱は不要となるのだが、マヨルカは少し無詠唱に慣れていないようで魔法が発動するか半信半疑のようだ。

そして、地龍が頭を見せた瞬間、マヨルカの放ったサンダートルネードが直撃する。


「マヨルカさん、ナイスタイミング!」

「は、はひっ!」

「マヨルカさんは慌てなくていいですよ!次はエレン、苦しんで鎌首をもたげたら第3節の隙間に風魔法をレイピアに纏わせて……そこで斬り上げる!」


エレンは俺の指示した通り……はできなかったがエレンのレイピアは地龍の首を傷付けた。

俺は傷を負った地龍が暴れる前に涙紋刀で首を斬り落としそのまま虚空庫に収納する。

残り2体。


「エレン、マヨルカさん、来るぞっ!」

「く、来るってどこからですかぁぁぁ」

「お嬢様ぁ取り敢えず剣を構えましょうぉぉぉ」


そこに仲間を失った地龍が怒り狂い目を真っ赤にして口を大きく開けた。

ドラゴンブレスをする予備動作だ。


「エレン、ウォーターアロー!マヨルカはサンダーアローを口の中に撃てっ!」

「はいぃぃっ」

「シャンダーアロ〜ぉぉ」

絶対零度(アブソリュート・ゼロ)!」


完全に2人はテンパっているのもあってちょっと火力不足みたいなので俺も魔法を放ってみたのだが……

地龍は口を大きく開けたまま氷像になってしまった。

それを見た2人もまた口を開けたまま別な意味で固まっていたが、最後の地龍が襲ってきた事もあり俺はそんな2人を横目で見ながら長弓と優1等の矢にエンチャントを加えてそのまま眉間に放った。


Gyaouuuuuuu……


最後の1体は断末魔の叫びを上げ、何となく討伐完了したという感じが得られた。

2体の死骸も虚空庫に収納し、折角なので氷漬けにしたものは剥製にし他の2体は素材に分類。

地龍は捨てる所がないらしく、特に肉は超高級食材としてお祝い事の際には王侯貴族の膳に上る事があるのだそうだ。

それに鱗は防具、心臓はエリクサーの材料だし血液もまた各種最高級ポーションの材料になる。


「持っていなかった材料も手に入ったからちょっと嬉しいな」


そんな事を呟きながら2人に目を向けると未だに固まっていたので声を掛けた。


「お疲れ様。これでエレンの剣術はレベル8になったよ。マヨルカの雷魔法もレベル7だ」


何せSSランクの魔獣をたった3人で3頭も屠ればそれだけ莫大な経験値が手に入る。

彼女らのスキルがレベルアップするのは当たり前だろう。

エレンの風魔法と水魔法に関しては両方ともレベル9に。

大陸最強の魔法使いと言って良いんじゃないかな?

そして俺も含めて3人には称号として


龍討伐者ドラゴン・サブジゲイター


が加わっていた。

俺やエレンは良いのだが侍女のマヨルカに付くと侍女ではなく騎士とかに職替えされるかも知れない。


「あー、マヨルカさん。ちょっと称号に龍討伐者が付いちゃったみたい」

「えっ?称号?」

「そう。称号。龍討伐者になっているよ」


マヨルカは急いで自分の証明書を確認するとそこには確かに「龍討伐者」と記載されていた。


「うそ……。本当だわ……お嬢様の侍女が龍討伐者って良い響きだわ……」


なんだかマヨルカは恍惚とした表情を浮かべている。

まぁ、本人が後からどうにかするだろうとそのまま放置する事にした。


「エレンも龍討伐者になったよ」

「これでグレイオスの後宮に入らなくて良い理由が増えたわ!」

「そうだね。龍討伐者を後宮になんて冒険者ギルドが許さないだろうしね」


何せ、龍の討伐は冒険者ギルドに登録すれば即A級という実績。

それも本来なら師団単位での討伐をたったの3人で成し遂げたのだから確実にS級を手にする事になるだろう。

S級となればその国の侯爵位が与えられ、しかも爵位持ちの女性は後宮に入れられないという暗黙の了解もある。


「でも……これだと学院で浮いてしまったりしない?」

「大丈夫じゃない?1人じゃないしね」

「うん!そうよね!リュウタも一緒だったわ!!」

「ついでにマヨルカも学院に通うかい?彼女の魔法も十分合格するレベルだし」

「できますか?それならその方が楽しそう」


マヨルカはエレンより5歳ほど年上ではあるが、学院の入学条件は単に15歳以上で上限の設定はないから問題はないだろう。

何より彼女は龍討伐者の1人でもあるし。

この後、誘引効果が続いてタイガー種、コカトリス種にラビット系など素材や食材として嬉しい魔獣を多数屠っていく。

嬉しい誤算ではあったが飛竜という竜種も複数やってきたのでこれについては3頭テイムする事にした。


「確か帝国に騎竜隊とかなかった?」

「ん?そう言えばあったね。でもあれはただの飛竜でこの3頭は古竜種の飛竜だからちょっと違うかな?」


俺の知識の中では明確に分類されているんだけど、この世界ではまだこの辺りの分類が曖昧なんだよなぁ。

実際は龍と竜は違うし、その中にも幾つかクラス分けがされている。

飛龍と飛竜で言うなら飛龍は翼がなく全身鱗で覆われているが飛竜は翼があり柔軟性と硬さを併せ持った皮で覆われいる。

騎乗して飛ぶならやはり飛竜の方が格好いいし何より古代種は人の言葉を理解ししかも小鳩くらいの大きさに小さくなる事もできる。

飛竜たちの中でリーダー格の個体を俺の、次に大きい個体をエレンそしてマヨルカ専用にした。


「よし、それじゃあ早速名付けをしてきちんと絆を深めようか。俺はマーナが既にいるから満月(パンセリノス)から取ってパンセにしようか」

「それなら私は太陽(イーリオス)からイリオにするわ!」

「お嬢様とリュウタ様が太陽と月なら……(アステリ)からアステにします」


テイムスキルは俺しか持っていないので、俺を通して2人に結び付ける。

テイムも没個性になってしまう隷属ではなくある程度飛竜たちの個性が活かせる支配というレベルで行う。

これなら彼らの喜怒哀楽と言った豊かな表情を殺さずに済むからだ。


「さぁ、名付けも終わった事だし馬車に戻るとするか。明日はいよいよペルセリスに到着だから今日の午後はゆっくりしようか」

「そうね。リュウタの食事も楽しみ!」

「あぁ、お嬢様……本当はお嬢様がリュウタ様の胃袋を掴まなければいけないのに……」


俺たちは飛竜を肩に乗せながら馬車へと戻るのだった。


お読み下さり誠にありがとうございます。

今回の話はいかがでしたでしょうか?

宜しければ感想・ブクマ・評価を頂けると嬉しく思います。


これからも少しでも楽しんで貰えるよう頑張っていきたいと思います。

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