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功績が認められ、王都に呼ばれる

 高い壁の内側にそそり立つ大きな城。


 皆はそれを見てあんぐり口を開けた。

 今ここには、僕とリゼリィ、そして、前にはポポ、レポの姉妹がいる。 


 ここはリミドア王国王都フレンベルク。

 クロウェの街から馬車で二、三日北上した所にある王国最大の都市。

 王都に来たことがあるのはどうやら、僕だけで後の三人は初めてらしい。


「きれいな街……」

「ふわ~、でっけぇ~」

「あっちには、背伸びしても先っぽしか見えないですぅ」


 ポポとレポはそれぞれ自分の事を、あたし、あっちと言うようだ。元気そうでいいよね。

 

 仕方ないので僕はポポを持ち上げ、リゼリィはレポを持ち上げてあげると二人ははしゃいで声を上げた。こんなでも二人でも実は僕ら以上に長く生きているドワーフなんだけど……どうも子供っぽい所があるよなぁ。


「素晴らしいだろう。フレンベルク城は世界に名をとどろかせる程の美しい建築物だからな。日々多くの観光者が目当てでここまで訪れるのだ」

「はぁ……そう言われると確かにきれいな」


 僕には建築物の美醜(びしゅう)はよくわからないので、適当に返事しておく。


 隣に立った彼は、リミドア王国騎士団、第三騎士団部隊長のカール・マウセン氏。クロウィ冒険者ギルドからの要請によりハケンされた援軍の部隊を受け持っていた隊長さんである。


 どうして僕らが彼と一緒にこの街に来ることになったのかというと、話は少しさかのぼる――。



 アーマードボアを討伐した後僕らは、ギルドに泊まりながら街の復興を手伝っていた。


 (くだん)のボアは岩を食う。


 そしてその尻尾は食べた岩石を発射する筒のようになっていて、以前の襲撃時、その砲撃にあった街の家屋は結構な割合で損壊(そんかい)していたんだ。


 なので、今も宿屋を始め、あちこちの店や家がろくに休憩も出来ない状態だった。


 襲撃が去ったことが知れたのか、少しずつ戻って来た住民や冒険者と共に僕らは大工仕事に(いそ)しんだ。流石にあの副ギルマスは戻ってこなかったけれど。


 そんな中、遅ればせながら到着したのが、カールさん率いる王国の第三騎士団の第五部隊だった。


 外に軍隊を置いたまま、少数で彼らは街に入って来て、不思議そうに街を見回したんだ。


「襲撃を受けていると聞いて急ぎ来たのだが、今どういう状況だ?」


 それに答えたのは、わがギルドマスターのクラウゼンさん。

 彼は隣にいた僕の肩を軽く叩いてにっこりと微笑んだ。


「駆けつけてきたところ申し訳ありませんが、この街はもう救われました。全て彼のおかげです!」

「そ、そんな……僕はちょっと手を貸しただけで」


 そんな僕にカールさんは興味深そうに目を向けると、ニヤリと口の端を上げた。


「ほう、その若さで素晴らしいな。アーマードボアが百頭以上いると聞いたせいで我らは三百もの兵士を連れて来たというのに……他の助けがあったとはいえ、それを一人で退けるとは。にわかには信じられないが……」

「本当ですぞ、我らも遠くから見ていましたから……そして我ら住民一同、彼を副ギルドマスターとして、今まで以上に冒険者ギルドを、ひいてはこの街を盛り立てて行こうと思っております」


 そんなことを住民を代表した町長が言い出したものだから、一層カールさんは面白そうにうなずく。


「良く分かった。であるなら、私達はしばし休んだ後戻らせていただくとしよう……して、少年。名前は?」

「フィルシュ・アルエアです……」

「フィルシュ・アルエアか。今回の功績は我が団長に報告しておく。恐らく王都へ招聘(しょうへい)され何らかの恩賞がもたらされることになるだろう……楽しみにしているように!」

「ちょ、ちょっと待って下さい。本当に僕だけの功績じゃ……」

「いや、それが謙遜なことは周囲の視線を見ればわかるよ。では私も他に任務があるのでな、また会おう、若き勇者よ!」


 赤いマントを華麗にひるがえすとカールさんは格好良く去って行った。

 王国からって……って言うか副マスターの件だってまだ正式に引き受けるとは……。


「いやあ、おめでとう! これでもう引き下がれませんよ、フィルシュ君」

「そだぞー……諦めてあたしたちの副マスになってくれ!」

「あっちも期待してますぅ!」


 クラウゼンさんやポポ、レポが嬉しそうに祝いの言葉をかける。

 本当に後戻りできなくなっちゃったな……。


「フィルシュなら、きっと大丈夫ですよ! 私も出来る限り支えますから……」


 リゼリィにまでこう言われちゃうともう腹をくくるしかないか。


 まあ、《黒の大鷲》はレキドの街のギルドの幹部だったから、ギルド内の色んな雑務を任されていたことはあるんだ。


 書類仕事とか報奨金の仕分けとか。レキドの冒険者は僕がギルドの雇われ職員だと思ってた人もいた位で……その時の経験があるから何とかはなると思う。


 皆の信頼を無駄にしたくないから、頑張ろう。

・面白い!

・続きが読みたい!

・早く更新して欲しい!


と思って頂けましたら下で、☆から☆☆☆☆☆まで、素直なお気持ちでかまいませんので応援をしていただけるとありがたいです!


後、ブックマークの方もお願いできればなおうれしいです。


作者のモチベーションにつながりますので、なにとぞご協力よろしくお願いいたします。

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