佐々木、異世界転生したってよ4の続き
長すぎて分けた結果まだ長い。
「メアリー!今終わったところかい?一緒に兄さまと帰ろうか!」
キラキラ長身イケメンが笑顔で話かけてくる。兄さま?ミルクティー色の髪に濃紺の瞳のイケメン。ああああああああああああ逆ハーしたあとに出てくる攻略対象者のアレクサンダー・ダイヤ・アシュビー!!!
確かメアリーの兄で他国に行ってる間に実家が大変なことになっていて呼び戻されてくるんだよね?なんで今ここに?
「あぁ、隣国の外交視察ね。思ったより早く片付いたから帰ってきちゃった!あぁメアリー!!今日もなんて愛らしいんだ!!!さぁお土産も買ってきたし一緒に帰ろうか!!!」
あれ?シナリオが変わってる?こんな妹溺愛キャラだった?まぁイケメンに溺愛されるとか最高だからとりあえずされるがままにしておこう。あぁしあわせ。
「アレックス!!!!!!急に帰ってくるなんて何事だ?」
「父上、只今戻りました。ええ僕も長く家を空けて寂しく思っておりました。」
「アレクサンダー、あなたお見合いはどうされましたの?」
「母上、今日も相変わらずお美しいですね。土産をいくつか用意致しましたので後ほどメイドに部屋に運ばせましょう。」
全く会話が成り立っていないけど大丈夫なのかな?このどうしようもない変な空気を知らないふりして自室に戻るとメイドのミアがすぐに晩餐用のドレスに着替えさせてくれてそのまま呼ばれるまで部屋に待機になったのでひたすらに考える。
だめだ。お腹すいた。お母さんのから揚げが食べたい。
「メアリー様、ご夕食の準備が整いました。」
待ってましたああああああ!!!!笑顔で頷きお腹がすいて死にそうなのは隠しゆっくりと歩く。あぁ好きな時に好きなものを食べられていた現世は幸せだったな。
家族が全員揃うと一斉に料理がサーブされる。従姉妹のさっちゃんの結婚式の時以来だなぁこういうフルコースの食事って…なんでこの大きいお皿にちょこっとしか載せてくれないのだろうか。比率おかしくない?実家のご飯はお皿が見えることなんて絶対なかったのに…こんなの2口で終わるよ…断罪の前に飢えで死ぬんじゃないかなわたし…家族の食事なのにだれも話さないし…実家ではお母さんとお父さんとテレビを見ながら他愛もないことを話してお腹いっぱいになるまで食べられたのに…そういえば一度も友達が出来たか聞いてきたことも学校生活についても聞いてきたことなかったな…
量の少ない気まずい夕食が終わりやっと解放されたと思っていたらお兄様から食後のお茶に誘われた。土産に買ったお菓子を出すって言葉に惹かれた訳じゃない。うん、ホントダヨワタシウソツカナイネ。
お兄様が部屋にメイドとお菓子を携えてやってくるとお茶だけ入れさせて下がらせた。やだ、夜に密室にこんなイケメンと二人きりなんて…はしたないですわ!!むふふふ
「これはね隣国のチーズを練り込んだスコーンと酸味の強い木苺のジャムなんだよ。あとは薔薇の花びらの砂糖漬けを紅茶に入れるのもおすすめだよ。」
ニコニコしながら説明してくれるお兄様にもうイエス!フォーリンラブ!
まずいまずいとりあえず食べるしかないでしょう!夕食足りなかったし!!
「それで君は誰?」
変わらず素敵すぎるキラースマイルで何事もないように聞いてくるお兄様。
「え?」
「君は僕の妹じゃないよね?僕の妹なら絶対に食後にスコーンなんて食べない。軽いクッキーなら食べるだろうがね。」
ええええええええそういうもんなの?だからこんな細いんか!!!!!!ってかまずい。非常にまずい。バレたら断罪前にわたしの人生終わる。
「僕がね君につけた影からね報告を受けたんだ。君があの小娘に突き落とされかけて急いで魔法で影が助けたこともその後君の様子がおかしいこともね。」
「あのぅ何故妹であるわたしに影を?」
「だって可愛い僕の愛しの天使だよ?つけるでしょう!君が何をしているか変なのに絡まれていないか心配で心配で兄さま禿げちゃいそうなんだよ?むしろつける以外の選択なぞないよね?」
あ、やばい人だ。美人が睨むとめっちゃ怖い感じでイケメンがやばいと本当怖いわ。
「それで?」
このキラースマイルに抗える人っているのかな?
「ごめんなさい、わたしメアリーじゃないです。いや、メアリーなんだけど中身はメアリーじゃなくて」
とりあえず何があったか説明をしていく。あぁさよなら短きわたしの人生。
「なるほどね、納得したよ。ところでその‘乙女ゲーム‘について詳しく聞こうか。」
あれ?なんとかなった?
「大丈夫、とりあえず今は君の持っている情報が一番大事だ。それに君がメアリーの体に入っている時点で君も僕の大事な妹の一人さ。ところでイベントとはなんだい?」
大変です!鼻血案件です!!!!!!対象者ってだけでイケメンなのに性格までイケメンなの?!
「イベントとはヒロインが攻略対象者達との仲を深めるために起きる事件ですね。例えば悪役令嬢にいじめを受けている場面に攻略対象者が駆けつけるとか」
「階段から突き落とされた場合は?」
「攻略対象者がお姫様抱っこでヒロインを救います。このゲームの場合それが起きるのは王太子様とのイベントでしたね。」
「あぁだからあの芋虫はイベントがって言いながら自ら階段を落ちようとして失敗したんだね。」
むむむむ?イベントって言葉すら存在しないこの世界でそんなことってある?
「もしかして彼女も転生者、つまりわたしと同じ世界から来た可能性が…」
「それはまずいな。君の話を聞く限り婚約破棄された家にはだいぶ悲惨な運命を辿ることになるんだろう?」
「はい、莫大な慰謝料に苦しむ羽目になります。」
「それに派閥間の問題もある。いや、むしろこの際派閥など言っていられないな。このまま進めば南北の派閥争いは激化する。メアリー、いいかい?他の悪役令嬢たちと連絡を取って手を組むんだ。未来が見えるとかなんとか言って手を組み断罪の場で全員無実を証明するんだ。もしうまくいけばうちは両方に恩が売れるし王太子相手に慰謝料請求なんて素晴らしい!!!!!」
あぁやっぱり頭のいい人に相談してよかった。これでなんとかなる光は見えてきた。
あれ?なにか大切なことを忘れている気がする…
まぁいいか!
なるようになるはず!
長いなぁ。