佐々木、異世界転生したってよ3
まりあが適応能力に目覚めた気がする場合。
馬車で揺られること30分学園に着いた。ゲーム内には描かれてなかったけど馬車を停める渋滞が出来ていて階級毎に停められる場所が違ってるみたい。もちろん我が家の馬車は入り口に一番近い所。VIP万歳。
あぁここが夢にまで見た学園…
二次元じゃなくリアルに目の前にあるなんて…
聖地巡礼の旅に出るしかないよね?
各攻略対象と出会うスポットにイベント発生ポイントetc.
神様、わたし生きててよかったです!!!
「メアリー様!おはようございます!」
あー顔のハッキリしないモブの取り巻き達だった子だ!顔はわからなくても髪色でわかるのありがたいわぁ。そういえばどうやって教室に行くかもわからなかったわわたし。知識があるのはゲームの出来事だけだもんね。とりあえず適当に挨拶してついていこう。
「皆様、おはようございます。」
これぞ悪役令嬢な笑みを浮かべながら挨拶する。うん、わたしちゃんと馴染めてる。
教室がわからないのがバレないように笑顔で取り巻きーずの話に相槌を打ちながら周りを観察する。
ゲームの世界だからって割り切ってたからなんとも思わなかったけどよく見たら外観、内装共に高級ホテルみたい…まぁお貴族様の学校だもんね…
…すいません。わたしの席ってどこですか?今更だけど席がわからないって致命的じゃない?考えろ、考えるんだわたし!!!
「皆様、わたしちょっとお化粧の確認に行ってまいりますのでわたしの席で待っていてもらえませんか?」
よし!ナイスだわたし!とにかく急いで廊下に出て時間を潰す。トイレはどうしよう…校内地図誰か下さい。
廊下から中庭を眺めていると攻略対象者の宮廷魔導士長子息フィリップ・クローバー・ゲイツがのんびりと歩いている。
淡い黄緑色の髪に深緑の瞳。整った顔にスラリとした長身。ゲーム内ではチャラくてお色気担当で学年は確か1つ上だった筈。あぁ朝から刺激が強すぎる。鼻血出そう。
いかん!非常にいかん!席に戻らないと朝から取り巻きーずに「バラを伐採しに行っている」と思われる!!!
急いで顔を作り不審に思われないようにしながら笑顔で席に着く。
「あの方の噂お聞きになりまして?」
「まぁ次は何方が犠牲に?」
「ダニエル様らしいですわ!!!仲良く一緒に中庭で過ごされていたとか!!!」
ダニエル?聞いたことあるような…
「あぁお可哀想なキャサリン様…」
「でもその前は確かロナルド様と図書室で密会されていたのでは?」
「あの方、本当に派閥なんて気にされないようですわね。」
「そんなことが出来たらきっと人様の婚約者に手を出したりしないでしょう?」
ロナルド?あれ?聞いたことあるなぁ?下手に口を出すのはやめておこう。今日のわたしは貝。しゃべりまてん。
「で、あるからにしてー」
授業の内容は現代とあまり変わらないかも!古典文学=国語、領地経営=数学、地理、歴史。その他にさすがゲームの世界。魔法と国の歴史。魔道具の説明とかは科学にも近い内容だし国の歴史はともかく魔法は聞いてるだけでワクワクする。でも一番は日本語じゃない言語がぎっしり書かれている教科書がなんの違和感も読めることに今日一番感動した!むふふふふ読める!読めるぞぉ!!!!どこかの大佐が憑依してくるレベルで興奮した。授業も現代にいた頃と同じようにひたすらノートを取り考え事をする余裕まで出てきた。
ダニエルにロナルド。聞いたことある名前だなぁ…あああああああああああああ!!!!攻略対象者だ!!!!
騎士団長子息の夕日みたいに真っ赤な短髪にオレンジ色の猛禽類みたいな瞳の爽やか青年担当、ダニエル・ハーツ・ドーキンスと
宰相子息で漆黒の長い髪を一つにまとめて灰色の瞳に眼鏡のインテリどS担当、ロナルド・スペード・キャンベル。
授業中に叫ばなかったわたしに全員拍手!スタンディングオベーションレベルだよこれ!
ちょとまて。その二人が噂になっているってことは…
ヒロイン既に入学後ってこと?
やばい、怖い、震える。
断罪までもう少しじゃん!!!!
どうせなら幼少期から転生して逆ハーコースがよかったよ神様。
あぁさらばわたしの短すぎる異世界人生。