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余命一ヶ月の僕が、ボロボロの少女を拾って同居したら幸せになれた話  作者: 野良うさぎ(うさこ)


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二人の共同生活

 こうして僕と美冬との共同生活が始まった。

 

 美冬は僕のアパートを見てひどく驚いていていた。


「……これが、アパート!? 違うでしょバカっ! 高級マンションじゃないの!! ていうかなんで二LDKなのよ!! 広すぎよ!」


「そうなの? 父さんに小さなアパートをお願いしたんだけどね……これ、大きいんだ……」


「お、親ばかね? 愛されてるわね……。はぁ……仕方ないわね」


 愛されてる? いや、違うよ。


 美冬に常識がないと言われると釈然としない。

 だけど、なんだか分からないけど……こんなやりとりだけで、少しだけ楽しい気分になっているのかな?

 自分の感情の振れ幅がわからない……


「ほら、ボケっとしてないで荷物置くよ。ねえ、今日の夕食は私が作るよ。……そんな事くらいしかできないけど」


 美冬は確か料理上手なはずだ、家の事は全てやっていたから任せて大丈夫だろう。


 ……僕の家に人がいるって言うのも不思議なものだね。

 誰かといるだけで、心の隙間がうまるんだ。


「ああ、キッチンはそこで、荷物は……」


 これが人といる生活。

 何か分からなけど、何かが分かりそうな気がしてきた。


「早くーー! あ、私この隅っこでいいからね? 寝床は床でいいから!」


 そんな事はさせないよ。


 僕と美冬の短い共同生活が始まった。




 **********



 その日の夜は賑やかだった。


「も、もしかして、私、俊樹君に手篭めされちゃうの!?」


「はぁ、僕は興味ないから安心してね。ほら、これと一緒に寝てね」


「はう!? ……う、うさぎのぬいぐるみだ。可愛い……これいいの?」


「ああ、今日からそれは美冬の子だ。よろしくな」


「……へへ、こんな大きなぬいぐるみが欲しかったんだ……」


 流石に疲れたのか美冬はご飯を食べた後、いつの間にか、ぬいぐるみと一緒に寝てしまった。

 ……僕は仕方なく、空いている部屋のベッドに運んであげて、ぬいぐるみと一緒に寝かしつけてた。


 ――うん、寝顔はブサカワだ。





 *********




「はう!? ね、寝坊したよ!! こ、ここどこ……あ、俊樹君の家……だ」


「おはよう、昨日は夕食を作ってくれたから、今日は僕が朝食を作ったよ。まだ七時だから大丈夫……ゆっくりして」


「う、うん、私も手伝うよ……って、顔洗ってくるね!」


 人が一人増えただけで、ここまで賑やかになるものなのか?

 美冬から感じるエネルギーは凄まじいものであった。

 僕は朝からそれに圧倒されてしまった。



「きゃーー!! 何これ!? 昨日は見なかったけど貴族のお風呂よ! き、キレイ……タオルもふかふか!!」


 少し騒がしすぎるけど……まあいいか。





 **********





 美冬はアルバイト先でも元気一杯であった。


「おはよーございます! 今日もよろしくお願いします!」


 様々なアルバイトを経験していたのか、美冬には学がないが、地頭が良い事がわかった。


 そして、見た目も美少女で、本来の明るい性格に戻ったのか、カフェのお客さんにすぐに好かれていった。


「俊樹君もしっかり働いて! もう、全然動いてないじゃん?」


 ――僕はマイペースでいいの。


 美冬がそんな事を言うと、いつも店長が慌てて飛んで来た。


「美冬ちゃん! だめ、絶対! と、俊樹さんだけは怒らせないで……マジで、お願い……」


 ……ねえ、店長? 僕が何したの?


 美冬は笑顔で答えるだけであった。


「はーい!!」


 その笑顔を見ると、なぜか胸の中の何かが溶けて行くように感じた。


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