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正直な気持ちを

七日。日曜日。


大晦日にはさすがにお邪魔できませんでしたが、今日は山下さんのところに千早とヒロ坊くんが調理の練習に伺います。


これも、先週のような例外はありつつもほぼ毎週欠かさず行われていることでした。


普通はこのように毎週となると『飽きないか?』と思われるでしょうが、千早もヒロ坊くんも、勉強と同じく半ば<遊び>としてそれを行っているというのもあるので、飽きるということがないようです。


仲の良い友達の家に週に一回遊びに行くというのに飽きるというのはあまりないということなのでしょう。


それに千早にとっては、<料理を学ぶ>ということ自体が、自身のスキルを高める行為でもあり、石生蔵(いそくら)家における自身の地位をより不動のものにするという点でも意味のあるものでしたし。


いずれにせよ、千早もヒロ坊くんも楽しみにしているのです。


「沙奈~、来たよ~!」


山下さんの部屋のドアを開けるなり千早は一直線に沙奈子さんに抱き付き、頬をすりつけました。


必ずしも行儀の良い行いではないものの、沙奈子さんが嫌がっておらず、山下さんも不快に感じてらっしゃいませんので、そこは大目に見るということで。


こういう部分でも、ただただ四角四面な対応というのも信頼を得られないと思います。なにしろ、それを求める本人が、いついかなる時も品行方正でいられるわけではないでしょうから。


少なくとも、私はそうではありません。ヒロ坊くんの前では冷静でいられないことの方が間違いなく多いのです。


そんな私が千早に何を言えるというのでしょうか?


そして私は、沙奈子さんや千早と一緒にハンバーグを作っているヒロ坊くんを見詰めながら、山下さんに正直な気持ちを吐露させていただいたのです。


「正直申し上げて私は、彼のことが欲しくて欲しくてたまらなくなることがあるんです。『もう、年齢とか、自分が高校生だとか、彼が小学生だとか、そんなことどうでもいい、彼が欲しい、一つになりたい!』って。


こんなこと、山下さんにお話ししても迷惑なだけかもしれませんが、私がそういう欲求、いえ、欲望を抱えていることを他の方に知っておいてもらって、道を踏み外しそうになったら止めていただきたいんです。でないと、私、いつか彼を傷付けてしまうかもしれない……


『愛があれば何でも許される』とおっしゃる方がいらっしゃいますが、私はそうは思いません。愛していればこそ、正当な手順を踏む必要があると思うんです。私がまだ高校生で、彼が小学生でというのもその一つでしょう」



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