この場にいられることを
今日は日曜日。そしてクリスマスイブ。
だから私達は、クリスマスパーティを開くことになりました。
まずはヒロ坊くんの家に、ヒロ坊くん、イチコ、お義父さん、千早、カナ、フミ、山下さん、沙奈子さん、そして私が集合します。
絵里奈さんはお仕事で、玲那さんはビデオ通話での参加です。
ですが、ここでのパーティの後、二次会としていつものカラオケボックスにも予約を取っています。そちらには、仕事を終えて帰ったこられた絵里奈さんと共に玲那さんも参加していただく予定になっています。
しかも玲那さんは、私達のカラオケパーティの後に、御友人らとのカラオケパーティも控えているそうです。執行猶予中ということもあり日頃は非常に抑制的な生活をされていらっしゃるということで、こうしてたまに発散するということのようですね。
いいことだと思います。
なお、ヒロ坊くんの家でのパーティにつきましては、千早手作りによるクリスマスケーキがある意味では主役でした。
デコレーションこそはさすがに職人の手によるそれには及ばないものの、小学生が作ったものと考えれば非常に良くできているのではないでしょうか。
特に味は、職人のそれにも勝るとも劣ってはいないと私は思っています。
それ以外には、スーパーで買ってきたパーティセットとお寿司という大変質素な内容でしたが、誰もそれで不満を述べる人はいませんでした。私もそれで何も不満はありません。
確かに、両親の付き合いで参加したパーティなどに比べれば、比較するのも無意味なほどの差はあるでしょう。ですが、そこは問題ではないのです。私達がこうして一緒に祝えるということそれ自体にこそ意味があるのですから。
まさに<幸せ>そのものでしょう。誰一人欠けることなくこの日を迎えられたのですから。
だから私は言うのです。
「正直申し上げて、私は一昨年までは両親と共に、会社役員や企業経営者や政治家の方々主催のパーティーなどをいくつも掛け持ちするということを行っていて、そこでは大変に立派な料理やケーキも見てきました。
もちろんそちらも素晴らしいものではありましたが、こうして皆さんと集まってパーティーを行えることが私にとっては素晴らしいと感じます。
お金は大事です。社会的な地位も、ある種の目的を果たすためには不可欠なものです。でも、この世で価値のあるものはそれだけではないと、そういうものを見てきたからこそ思うのです。
私は、この場にいられることをとても幸せに感じます……」




