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くだらないイベント

私は続けます。


「私は、かつてそれで他人を勝手に計っていました。そんな私がどんな人間だったかは、フミもよく知っているはずです。そのまやかしを捨てることができたからこそ私はここにいられるのです」


その私に、玲那さんが続きました。


「立派なことなんて何一つできなかった私でもまだこうして生きてられるんだからさ。


大丈夫だよ。フミのことも、フミのお母さんや弟くんのことも、『生きる価値ない』とか私達は思わないよ。誰がそんなこと言ってたって、たとえフミがそんな風に思っちゃったって、私達は思わない。


フミ。苦しいことや嫌なことってなくならないんだよ。だったらそんなのに負けたくないじゃん。なくならないもの相手におたおたしたって仕方ないじゃん。


挫けそうになったら甘えてよ。頼ってよ。私が挫けそうになってた時には、フミ達が支えてくれたんだよ。私はそれを忘れてないよ。他人のことなんてどうでもいいじゃん。私達はこうやって生きてるんだからさ。


神様とか仏様とかがもしいて、辛いこととか苦しいこととかをイベントとして用意してるんなら、それこそ生きて生きて生き抜いて、人生の最後の瞬間に言ってやろうよ。


『どうだ! 私はここまで生き延びてやったぞ! 人生を楽しんでやったぞ! お前らの用意したくだらないイベントなんかで挫けてやらなかったぞ! バーカバーカ!!』


ってさ。


私、今、それが一番の目標になってるかな~」


言葉こそ決して綺麗なものではありませんでしたが、満面の笑みを浮かべる玲那さんの姿からは、誰かを罵りたいという感情は見て取れませんでした。ただただ自らを鼓舞し同時にフミを励まそうという気持ちだけが感じられたのです。




<くだらないイベント>と言えば、今年もクリスマスが近付いていますね。私自身はそれを『くだらない』とまでは思わないのですが、ひどく目の敵にしてらっしゃる方もいらっしゃるのは知っています。


正直申し上げるとそのようにして妬むから余計に縁遠くなってしまうのではないでしょうか?


ヒロ坊くんと出逢ってからは両親の付き合いに同行することも減ったものの、諸々のイベントを口実にした人付き合いというものは、自身のネットワークを広げるという点においては非常に有用です。なぜそれを活かさないのかが私には理解できません。


ただ、その辺りについても、イチコと出逢ったことで若干ではありますが、理解できつつあります。親しくない相手と関わるということ自体が苦痛だと感じる方がいらっしゃるのですね。


それを理解せず、ただ一方的に私の感性を押し付けることがトラブルを招くのだと知ることができたのは、私にとって大変大きな収穫でした。



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