表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
370/464

完全にボスキャラじゃん

こうして延々と自身が置かれた状況を理解し納得させていくための作業を繰り返さなければいけないというのは、大変なことだと私も感じます。カナのお兄さんやフミの弟くんはそういう意味では実に効果的に二人を痛めつけていると言えるでしょうね。


たとえカナやフミのように気にしなかったのだとしても、やはり平穏な日常を送ることはできないでしょう。本人がそれらのことをまったく無視できる人であれば多少は変わるのかもしれませんが。


フミの精神状態も日替わりで変化している状態ですし、注意深く見守らなければと心から思うのです。


その中で、ヒロ坊くんも、フミに穏やかな表情を向けてくれます。そして千早も、


「フミ姉、負けちゃダメだよ。私も頑張るから」


と。


千早はそれこそ虐待の直接の被害者です。その千早から言われるとフミも自身を奮い立たせないわけにはいかないでしょうね。


「ありがと。頑張るよ」


とは言え、ただ『頑張る』だけではいつか疲れ切ってしまうというのも分かります。ですので私はフミの甘えを受け止めたい。甘えることで心を休ませてほしい。


その一方で、フミの弟くんのアカウントは沈黙したままでした。


再び金曜日。


「家でも割と落ち行いた感じかな。諦めたのかなって気がする」


山下さんも迎え、状況を説明するようにフミが言います。


なので私も、


「アカウントを乗り換えた可能性も含めて、現在は経過観察中です。フミの弟さんご自身のものと確認されている本来のアカウントの方では、相変わらず当たり障りのない呟きが続いてるだけですね」


補足します。


すると今度はカナが、


「何にしても世の中ってのはいろんなことが起こるってことだよね。ああやって絡まれたことがフミの弟くんが何かを気付けるきっかけになってくれたらいいんだけど」


腕を組んで頷きながら言いました。それを受けて、


「確かにそうですね。


私としては可能であればフミの弟さんの学校にカウンセラー役となる人材を派遣したいとも考えていましたが、残念ながら適当な人材に行き当たらない状態でした。今回のことが良い方向に動いてくださるのでしたら私としても助かります」


私なりにできることをと考えて伝手(つて)を辿り働きかけていたことを告げると、その場にいた全員が呆気にとられたように私を見ました。


「カウンセラーを派遣するって、あんたホントにそういうこと軽く言うね。


いや、あんただったら考えててもおかしくないし実行しそうだけどさ。そこまでいったら陰であれこれ暗躍してるフィクサーだよ、フィクサー。完全にボスキャラじゃん」


カナが呆れたように口にしたのでした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ