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私、最低だ……

私の考えを裏付けるかのようにカナが言います。


「たとえば家族内で事件が起こったんならまだマシだった気がするんだよ。特に両親が怪我したとかだったら、それこそ『ザマぁ!』って思ってた気がする。『お前らがそんな風に育てたんだから自業自得だろ!』ってさ。


だけど、そうとは限らないんだよね。あいつは、両親を直接どうこうするんじゃなくて、間接的に苦しめる方に行ったんだって気がする。


これはホンっときつい。被害者にどうお詫びすればいいのか分かんない……


そういう意味では、ものすごく効果的に両親を痛めつけてるって気がするな……」


苦しそうに話すカナに、フミは顔を伏せます。


「ごめん……事件が起って喜ぶとか、不謹慎だよね……


でも…でも……そう思っちゃうんだ……


私、最低だ……」


『あの家が滅茶苦茶になったら私、手を上げて万歳してしまいそう』と言ったことを悔やんでいるのだと分かります。


けれど、そんなフミに、カナは言うのです。


「フミ……フミが悪いんじゃないよ。私だってフミと同じだったんだからさ。ただ、フミの家が私のところと同じになったらイヤだなって思うし、事件が起きるってことはまた被害者が出るってことだからさ。それは勘弁してほしいよね……」


「カナ……」


カナの言う通りです。事件が起こるということは、そこに被害者が出るということです。ましてやそれが、まったく何の関係もない他人であったりすれば、巻き込まれた方にとっては理不尽という言葉すら生ぬるいような不条理でしょう。


ネットなどで誹謗中傷や罵詈雑言を浴びせられた場合も、された側からすれば、


『あなたの憂さ晴らしに利用しないで!』


と感じるでしょう。ですがそれすら、誹謗中傷や罵詈雑言を浴びせた側は、


『お前に原因がある!』


と、責任を転嫁するのでしょうね。


ですがそうなれば今度は、


『誹謗中傷や罵詈雑言を他人に浴びせているその様子が不快』


として、また別の方が、<誹謗中傷や罵詈雑言を浴びせた側>を攻撃するという事態を招く可能性が高いですね。


これはまさに、フミの弟くんが現在進行形で巻き込まれている状況そのものでしょう。


ネットなどで他人に対して誹謗中傷や罵詈雑言を浴びせるというのはそういうことなのです。自身が誰かから攻撃される原因を自ら作っている。


にも拘らず攻撃を受ければ被害者ぶるのですから、本当に何をしているのか分かりません。


これは、私が御手洗(みたらい)さんにカッターナイフを向けられた件についても当てはまるのだと思います。



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