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私に問います

カナのお兄さんを見限らないというのは、彼が必ず更生することを信じているというのとは違います。この場合は、むしろ逆かもしれません。


もちろん更生は図りますが、その意欲なしと判断すれば、監視下に置き、たとえ微罪であっても告発し、何度でも刑に服していただくという意味です。


『見限る』というのは、リスクコントロールを放棄し、危険な獣を野に放つのと同じであると私は考えます。


更生できない人に自力での更生を期待し放置するのは、無作為による加害行為ですらあるのではないでしょうか。


さりとて、更生させる能力のない方に全面的に任せていたのではこれまたリスクのコントロールには繋がりません。


正直申し上げて、現在のカナのご両親に、お兄さんを更生させる能力はないでしょう。となれば、当面の間は私が肩代わりすることになるでしょうね。


ですが、私自身、更生プログラムの専門家という訳ではありませんので、専門家を手配し、事に当たっていただくという形になります。


無論、私のこの施策が必ず成功するという保証はありません。現時点では机上の空論に過ぎない可能性も高い。しかし、『無理だ』『不可能だ』と泣き言を並べるばかりで自身では何もせず、ただ他人任せ、成り行き任せにすることが、正しい対処法なのでしょうか?


そのような考え方が、自身の家族の中から犯罪者を出す土壌となったのだとは思いませんか?


自身の家族とさえ向き合おうとしないその姿勢が。


とは言え、過ぎたことをとやかく言っても詮無い話であるのもまた事実。


必要なのは実効性のある対処です。言い訳や御託や泣き言ではありません。


私は自身にそう言い聞かせます。


できることなんて限られているでしょう。上手くいかないことの方が多いでしょう。だからといって悟り切ったように諦めを口にする人に何が成せるのですか。


『犯罪者は片っ端から死刑にすればいい』


そのようなことをおっしゃる方がいらっしゃいますが、いえ、以前の私こそがそうでしたが、今ならそれは決して合理的ではないと思うのです。


そしてかつての私に対して問いたい。


社会から排除される側がただ大人しく排除されてくれると思いますか? 


あなたがもし社会から排除されるとすれば、せめて何か一矢を報いてやろうとは思いませんか? 


それが動機になると思いませんか?


この世界に自身の居場所を見付けられない方々による凶悪な犯罪が後を絶たないではないですか。


自らが生み出した命と向き合えずに目を背けることがその原因となっているのではないですか?


そして今の私に問います。


あなたは、自身が生み出すであろう命と向き合う覚悟がありますか?


それがないのなら彼に愛される資格などないと思いませんか?



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