ドラマのセリフ
その場にいた全員が空を見上げ、あまりに素晴らしい光景に言葉も失ってる中、カナが口を開きました。
「こうやって星を見上げてると、私達がごちゃごちゃやってることなんてホントにちっちゃいことなんだなって思うよな……
でも、こうも思うんだ。星だってこうやっていくつも集まるからもっと綺麗って思えるんだし、私達もこうやって集まってるから楽しい時間も過ごせるんだろうなって。
すごく実感がある……私、一人じゃ何もできなかったって……みんなのおかげでこうやって笑ってられるんだって……
ホント、ドラマのセリフみたいで恥ずかしいけどさ……
みんな、ありがとう……」
私は応えます。
「カナ……お礼を言うのは私達の方です。あなたがいてくれたから今の私達の幸せがあるんです。あなたは決してただ守られてるだけじゃない。あなたも私達を守ってくれてるんです。千早も、ヒロ坊くんも、イチコも、フミも、あなたがいたから今がある。
だから私は、私にできることをするだけなのです。あなたがあなたにできることをしてくださっているように……
カナ、私はあなたと出逢えて本当に良かった。あの時、あなたがいなかったら、もしかしたら私はここにはいなかったかもしれない。
御手洗さんの復讐に巻き込まれて命を落とし、『殺された星谷美嘉さん』とニュース映像で写真を掲げられていたかもしれない。
そしてそれは、御手洗さんの人生を完全に破壊することになっていたでしょう。カナのお兄さんの事例が教えてくださったように……
私は、そうならなくて良かったと本当に思っています。私の人生が私のしたことで終わるならただの『身から出た錆』かもしれませんが、私のせいで御手洗さんの人生が壊れてしまうのは本当に悲しい……
私は、いずれ、彼女に対して償いをしなければいけないと思っています。何年かかるかは分かりませんが……
一応、御手洗さんの御両親の離婚調停において、間接的ではありますが弁護士を手配させていたりはしたものの、それだけではまったく足りないと思っています。
いつかちゃんと償いをする時には、もしかしたらカナの力も借りることになるかもしれません。その時にはよろしくお願いします」
と。
するとカナは驚いたように私を見て、
「そんなことしてたのかよ。全然知らなかった……!」
と声を漏らしました。
続けて、
「あの時のことは、私もよく覚えてないんだ。勝手に体が動いただけなんだよ。だから感謝してもらうのもなんか照れくさい。でも、そっか、私が止めたから、御手洗さんも救われたんだとしたら、良かったよ。
つくづく世の中っていろんなことが関わり合ってるんだな……」
とも、感心したように言ったのでした。




