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ステージ

ヒロ坊くんと千早と沙奈子さんが仲良く屋台巡りをしている様子を見ながら私がこれからのことに想いを馳せていると、


「これより、芸人さんによるお笑いライブが始まります。どうぞ皆様、ステージの方にお集まりください」


とのアナウンスが会場に流れました。


すると、


「前の方に行ってみよ!」


千早が声を上げ、ヒロ坊くんと沙奈子さんを連れてステージの方へと移動を始めます。


私ももちろんついていき、山下さんもそれに続きました。


なお、イチコとカナとフミは早々に別行動していましたが。


それでも、会場が小さいので、中にいさえすれば少し探すだけで姿を見付けられます。


と、イチコたちもステージ前へと移動してきているのが見えました。


「申し訳ないけど知らない芸人さんだ…」


ライブが始まり、お笑い芸人がステージに現れると、山下さんが呟くように言いました。


「残念ながら、私も存じ上げない方ですね」


私も正直に思ったことを口にさせていただきます。


本当に知らないのですから、ここで知ったかぶりをしても意味がありません。


けれど、私の隣に来たカナが、


「いや~、生で見られるとかモウケものだな~」


と言っていたので、多少は名前も知られた芸人だったようです、私の知らない世界ですね。


ただ、そのネタは私には何が面白いのかよく分からなかったというのが正直なところです。会場のお客からはそれなりに笑いも起こっていたので、世間的には『面白い』と言われる部類に入るのかもしれません。


自分が面白いと思えないからといって悪し様に貶すような醜い振る舞いをヒロ坊くんや千早や沙奈子さんの前では見せたくなかったので、口にはしませんが。


以前にも言ったと思いますが、


『自分の気持ちに正直になるのはよいことだ』


という言葉を真に受けて、『自分の気持ちに正直』に芸能人などを罵る人達の醜さには、本当に辟易とさせられます。


そんな醜い姿を子供達の前で見せていて恥ずかしくないのでしょうか?


私はそれを忘れたくありません。


批判をするにしても、言葉は選びたいのです。


悪口雑言や誹謗中傷を使わなければ批判にはならないと考えるような浅薄な人は彼には相応しくありませんから。


彼は、自分が興味のないものについてはただ触れないだけです。


たとえば彼はアイドルには全く興味を示さないのですが、だからといってアイドルやアイドルを好きな方々を馬鹿にはしません。ただただ触れないだけなのです。自分が見て気分が悪くなるのが分かっているものをわざわざ見て気分を害してそれを貶すような真似を、彼はしません。


それはお義父さんが意識してそういう行為を避けているからなのでしょうね。


彼はそんな父親の姿を見倣っているのだと思います。



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