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可愛い~!

山下さんに荷物の番をお願いしていることは少し気になっていましたが、山下さん自身が、あまり泳いだり遊んだりということが好きではない方でしたので、そのように待っていた方が好都合だったそうなので、私も安心しました。


しかし、正午を回って人が増えてきたのを感じ、私は、山下さんに、


「そろそろ切り上げた方がいいかも知れないですね」


と声を掛けさせていただきました。


すると山下さんも、


「そうですね。沙奈子も少し疲れてきたみたいですし」


とおっしゃいながら、沙奈子さんを見ていたようです。そして、沙奈子さんに向けて、


「じゃあ、そろそろ上がろうか」


と声を掛け、それを受けて、


「そっか~、まあ仕方ないかな。人も増えてきたし」


カナが残念そうに声を上げました。するとイチコとフミも、


「そうだね」


「うん、分かった」


と応じてくれます。


一方、千早はまだ物足りなさそうに、


「え~?」


とも言っていましたが、しかし、


「でも、沙奈も疲れてきたみたいだからいっか」


沙奈子さんを気遣いつつ、ちゃんとわきまえてくれました。また、


「は~い」


素直な返事と共にヒロ坊くん海から上がってきます。


彼の後を歩く沙奈子さんは、確かに少し疲れたような表情をしていると感じます。やはり頃合ということでしょう。


皆で海の家に行ってシャワーを借り、千早と沙奈子さんは、当然、私達と一緒に女性用のシャワーを使いますが、ヒロ坊くんは、山下さんが海に入らなかったこともあり、


「大丈夫。一人でできるよ」


そう言いながら男性用のシャワー室に一人で入っていきました。何度も来ているので要領が分かっているとのことですが、私としては少し残念でもあります。


体が小さく、しかも女の子に間違われることも少なくない彼ならば一緒に女性用に入ってもいいんじゃないかという考えが頭をよぎりますが、それは自重しないといけないのでしょうね。


私は、彼のことが気がかりなのもあって少し急いでシャワーを浴びて着替え、しかし千早を待つためにドアのところで待っていました。すると、ドアの向こうから、


「可愛い~! すいません、この子、男の子ですか?」


という、女性の嬌声が、そして、


「僕は男だよ」


ヒロ坊くんの声も。


どうやら海水浴客の女性が、彼を見て言っているようです。


「ホント可愛い~! 連れて帰りたい~!!」


などと、きゃあきゃあとはしゃぐ声。


『ナンパですか……!?』


私がいてもたってもいられなくなりかけた時、前を横切ってドアを開けて出ていった人がいました。


「ダメ! ヒロはピカお姉ちゃんのなんだから!」


千早でした。千早が沙奈子さんを連れてシャワー室を出ていって、そう声を上げたのです。



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