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セレブガール・ミーツ・ボーイ その10

『プレゼントは、しばらく控えてほしい』


突然そう言われて、私は何が何だか分かりませんでした。それでいて、ザーッと血の気が引いていくのは分かりました。


『なんで…? どうして……?』


戸惑う私に向かってお父さんは、


「ヒロ坊を好きでいてくれる君の気持ちは嬉しいけど、簡単にああいうものが手に入るようになってしまったらあの子が物を大切にできなくなってしまうかも知れない。だから、今後のプレゼントはクリスマスや誕生日だけにしてあげて欲しい」


とおっしゃったのです。


何ということでしょう…私は茫然としてしていました。頭が上手く働きません。


でも、お父さんのおっしゃることも一理あるかも知れません。考えが浅かったのは、私の方だった気がします。ですが、だとすれば私は、どうやって彼と仲良くなればいいのでしょうか…?


そんな私の戸惑いに応えるかのように、お父さんはおっしゃってくれました。


「もしまだヒロ坊と仲良くなりたいと思ってくれるんだったら、あの子の遊びに付き合ってくれるだけで充分だと思うよ。小さな子の遊びに付き合うのは大変かもしれないけど、そうしていただけると私も助かる」


「…わ…分かりました。では、そのようにさせていただきます……」


やっとの思いでそう応えさせていただいて、そして実践させていただきました。


ですがこの時の私は、お父さんがおっしゃった『大変かもしれないけど』という言葉の意味をよく理解しておらず、すぐにそれを思い知ることになったのです。




遊びの内容自体は、ゲームに付き合ったり、一緒にネットの動画を見たりという他愛ないものが多かったのですが、その際に彼が語るうんちくやら、彼がゲームや動画を基にして自由帳に書いた自作のお話を聞いたりというのが、意外と大変なのです。


「あのねあのね、これはね…!」


と目をキラキラ輝かせて語ってくれるのですが、何しろ小学四年生の子が語るものですから、内容が実に幼くて正直私には興味の持てないものがほとんどでした。


しかしここで露骨に興味がないという態度をとってしまっては、彼を傷付けてしまうかも知れません。


「へえ、そうなんですね」


ニッコリと笑顔を作りながら応えます。


これはなかなか忍耐力を要する大変なことでした。


しかもイチコに聞いたところによると、彼のお父さんは、彼やイチコに対してこれをずっと続けてくれているそうです。


こういう、大人の側からすれば無駄な時間とついつい考えてしまいがちな子供の話に耳を傾けることが、この家では重視されているのだと知りました。だからこそ、親子の信頼関係ができてるのだと思いました。



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