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反撃の大モン娘軍団  作者: キロール
第一章、マスター・オブ・モン娘ズ
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プロローグ 魔の軍団を叩け!

 俺の目の前に並んでいるのは、どいつもこいつも人間じゃない。


 亜人や獣人に似た連中はいるが、明らかに違う連中もいる。


 下半身が蛇のラミアや、伝説のドラゴン混じりのドラゴニュート、馬の首から上に人間の上半身がくっついたセントールとか色々だ。


 魔の軍勢に劣らぬ恐ろしい容貌だが、問題は、こいつら全員が人間に近い容姿を部分的には持っており、そして、性別的に全員が女だと言う事だ。


 時々物凄く目のやり場に困る。


 大事な戦いの前だと言うのに、異形とは言え半裸の女が普通に目の前にわんさかといるのは、困るんだぞ、色々と。


 傍らには可笑しそうに、にんまりとした笑みを浮かべたアドレイドが腕を組んで立っている。


 波打つ銀色の髪の合間から覗かせる捻じれた角、髪と似た色合いの獣の体毛に覆われた足と蹄のついた足先、腕やその他の部位は体毛は無く薄い褐色の肌を持つ女の姿。


 胸元を妙に強調したローブに似た服装の所為で、場末の娼婦の様な如何わしい雰囲気すら感じさせるこの獣人に似た女は、到底人とは言えない力を持って居る。


 そんなアドレイドと契約したおかげで、こいつらの能力を数値化した物――ステータスとか、凡その強さを表す数字のレベルとか言うのが見える様になった俺は、敵との戦力の彼我に頭を悩ませていた。


「物見の報告では、ダークスライムが三百、ブラックリーチが三百、それにパラサイトに寄生された元人間や亜人たちが千か。先遣隊に結構な数を送って来たではないか、あの変態」


 美しさと不遜さを滲ませる笑顔で魔軍の王に対して毒を吐き掛けるアドレイドは、俺を見やって問いかける。


「して、主殿。どう攻める?」


「泥野郎……スライムやナメクジは火に弱い。魔法が得意な奴らが全力で、前衛、中衛のスライム、ナメクジを焼け。操られた死体たちは、残りの連中で叩く。その際に鼻や口は布で隠せ」


 パラサイトと呼ばれる口や鼻から入り込み、体を操る化け物への対策は、そんな程度で十分だ。


 何故なら、主に死体を操る奴らは、生きている者を操る事は得意ではないからだ。


 徐々に見えてくる魔軍の行進。


 その姿には、生憎とレベルもステータスも表示されていない。


 これがこの世界の既存の化け物と召喚された異形、モン娘との違いだそうだ。


 ちなみに、モン娘とはアドレイドの居た世界のモンスターの総称らしい。


 つまり彼女が召喚する恐ろしい力を持った怪物たちはの総称だ。


 怖気が走る様な化け物軍団に、美しくも恐ろしいモン娘の軍団をぶつけようってんだから、我ながら如何かしている。


 如何かしているが、こいつらに賭けるしかない。


 魔軍の王は人を憎んでいる。


 亜人や獣人を含めた人を根絶やしにして、他の生物が増えない様に大地を枯らし、悍ましいスライムなどの不定形や、ナメクジの様な軟体生物が栄える世界に造り変えようとしている。


 そんな事を黙って受け入れる訳には行かない。


 魔軍の王の目的を知る俺は、柄にもなく強く、熱く、そう思い仲間《モン娘》達を鼓舞するため口を開いた。


「総員、配置に付け! …………一番戦果を挙げた奴に、俺の血をくれてやる! 行動開始!」


 褒賞を提示すると、明らかにモン娘達の目つきが変わる。


 最も熱い視線で俺を見るのは、傍らのアドレイドだった。


 異世界の魔王、滅びた世界に閉じ込められていたモン娘達の王。


「では、我も始めるか……。主殿はそこで見て居れ」


 そんな彼女が何処か浮かれながら尊大な物言いで動き始めたると同じく、モン娘達はそれぞれ配置に向かっていた。


 この一戦が、俺達が生き残れるかの分水嶺だ。


 死なない程度なら、血だってなんだってくれてやるさ。


 そう決意を新たにした俺も、アドレイドから貰った力である魔導装甲を纏い、愛用のボルトアクションの銃『火吹きドラゴン』(ファイヤードラゴン)を手に、白兵部隊の指揮を執るべく、待機しているモン娘の元に滑るように向かった。


 漆黒の全身鎧で覆われた俺の足元や腰部の装甲から、エーテルとか言う魔力が排出され、それが推進力になり大地を滑るように移動する。


 こいつの高機動力を操り、動き回りながら愛銃でエーテルの詰まった弾丸をぶっ放す。


 初めての魔軍の本体との戦闘に、鎧の中でつばを飲み込みながら、俺はアドレイドと出会う直前から今までの事が頭の中で思い出されていた。

全く自重せずに趣味を詰め込みました。

前半は重苦しい描写もありますが、最後はハッピーエンドとなります。

後半に向かってのカタルシスが出せるように頑張ります。

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