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16話 パーティとクエスト準備

今日で三日連続でジュエンクラーラに赴いたシズは、トゥカが騎士の訓練をしている間、ギルドでクエストを受けに来ていた。

昨日は開けるのでさえ怖がっていたギルドの扉も、今日は冒険者として来ているので何の遠慮もなく堂々と開けることができる。


ガチャ、ギィ……


重々しいその扉を開けると、外の音とは全く違う陽気な声、雰囲気が待っていた。朝から酒を飲む者や、受付嬢と談笑する者、自分の装備を磨いている者までいる。


「あれ? ここギルドでいいんだよねぇ……」


昨日とは真逆の雰囲気を醸し出すギルドの様子にシズは戸惑う。それもそのはず、今日は朝に来ているが、昨日は昼過ぎ。普通の冒険者ならすでにクエストを受注し、その真っ最中だ。

すると、隣にいたミラがとある受付窓を指差す。


「シズお姉ちゃん。 とりあえずメイに聞きに行こう」

「そうだね。 どこで受ければいいかも知らないし!」

「それもどうかと思うけど……」


落胆しつつもミラは、先に駆け足でメイの受付に向かう。だが、その受付にはメイの姿はなく、ただ見た目から想像できるような散らばったデスクだけが見えた。

後から来たシズもその様子を見て、メイがいないことを確認する。


「んー? 今日いないのかな~?」

「いや、そんなはずない」


するとミラは、観察眼で散らばった受付の内側のデスクを凝視し始める。


「お~い。 受付嬢~、見えてるぞ(・・・・・)


初めの方は柔らかく子供らしく語り掛けていたが、最後の単語だけ妙に威圧感があった。


ゴッ!!


デスクが一瞬浮き上がったように見えた。そのデスクの下から現れたのは想像通りメイだった。青ざめ、横を向きながら現れた彼女はとても怯えていた。


「こ、こんにちは~……。 何の御用でしょうかぁ」

「なぜ隠れるのだ! 大事な顧客だぞー」

「すみません……つい……」


ミラに叱られ反省するメイとのやり取りは、まるで社長と平社員だ。まあ彼女からしたらあまり関わりたくない人物なのかもしれない。

神の子とギルド長の娘。失態を犯したらどうなるか目にも見えている。だから彼女は私たちが入ってきたと同時にデスクの下に慌てて隠れていたのだ。


「まあよい。 許してやろう」


またどこかで見たことのある仁王立ちをし、威張るその姿はどこからどうみても神の威厳は感じられず、子供が見栄を張っているようにしか見えない。

だが、それでもメイは何度も頭を下げ謝罪している。この様子だときりがないので、シズは本題に入る。


「メイさん。 今日はクエストを受けに来たのですが、どうやって受ければいいのですか?」


メイは咳ばらいをし態度を改めた。そして、このギルドにいる普通の受付嬢のように説明し始めた。


「クエストは基本的にあちらにあるクエストボードから受けたいクエストの紙を手に取り、この受付で受注する形になります。 ランクの制限とかもありますので条件を確認し、しっかり吟味してくださいませ」

「へぇ~! そういうシステムなんだ。 それじゃあ早速見に行こうか! ありがとメイさん!!」


メイにお礼を言い、ミラを連れ紹介されたクエストボードに向かう。メイは、緊張から解放されたからか二人が行った後に、溜めていた息を深く吐き出していた。

大きなクエストボードの前に到着すると、そこには見知った姿があった。


「おっ! シズじゃ~ん!!」

「エマ?!!」


そこにいたのは昨日戦った相手でもあり、今回の睡眠学習で敵対した相手だ。ミラからの話だと睡眠学習内のエマも本物だということだが、この様子だとやはり記憶はないようだ。


「エマ、昨日のことなんだけど―――」

「あぁ~、もう気にしなくていいよ。 あれは私がヘマしただけだから……。 でも今度は負けないよ~」

「うん! いつでもかかってきて!」


どうやら本当に睡眠学習での出来事は忘れている。というよりそもそも知らないようだった。どういう理屈かわかなかったが、今気にしてもしょうがない。

すると、エマの方から提案が飛んでくる。


「そうだ! クレスト探してるんだよね?」

「そうだけど……」

「なら一緒に行かない? このクエスト受けたいと思ってたんだ~!!」


エマが見してくれたクエストは、

・ホーンラビット5匹の討伐及び、ホーンラビットの角の納品

・全ランク対象

っと、とても駆け出し冒険者に向いているクエストだった。ただしホーンラビットについて知識がないため、行きながらエマが教えてくれるとのことだった。


「いいねぇ! すぐにクリアできそう」

「でしょ~。 そこの子もいることだしねっ!」


エマが示したこと言うのはミラだった。だが、睡眠学習では監視役ということで戦闘には加わっていなかったが、クエストではどうなのだろう。


「私は何もしないぞ? シズお姉ちゃんについていくだけだからな」

「えぇ!? まあいいか私とシズだけでも勝てるモンスターだし」


話がある程度付いたところで、その紙をメイの所に持っていき受注した。そして、ホーンラビットの生息地である東の森・イーサノーズというところに向かうため、ギルド内のショップへと訪れる。

ギルドのショップは2階がすべてそうであり、外の出店よりかは少し高いがしっかりとしていて安全とのこと。そこに着くや否やエマはシズとミラの手を取り、何かを探し始める。


「え~っと、まずは回復系のポーションなどを買わないと」

「あ、私剣が欲しいです。 まだ買ってないんですよね」

「だからそんなに軽装備だったのか。 といっても私も短杖買わないといけないけどね。 昨日の訓練で折っちゃったから……」


その訓練とはシズとの戦闘のことを指しており、シズは何とも言えない気持ちになった。まあ先ほどエマの方から気にしないでと言われているので、これ以上話をぶり返すのはどうかと思い苦笑いだけしてここは流す。


そして、ここからは各自で別れ必要な物を買い集めた。ポーション系は目利きのできるエマに任せ、シズとミラは自分らの装備を買い、シズは一般的な剣と動きが邪魔にならない程度の軽量防具。ミラはスキルでどうにかなるとのことで、ほぼ何も買わなかった。

30分ほどで買い物が終わり、ようやくクエストに向かう準備が出来た。

ぐだぐだかもしれませんが、温かい目で見守っていてください。


次回からシズとミラ、エマのパーティでのクエスト開始になります。

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