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十人の剣聖  作者: たると
2/2

2話

旅立ち


あの日の少年の決意からもう2年が経って

十の国で下克上の制度が設けられたものの、ほとんどの国民は剣聖の力に恐れをなし戦いを挑もうとはしなかった。そのほとんどに含まれない国民は無謀にも剣聖と立ち合ったが、挑んだ者は皆為す術もなくたったひと振りで首を落とされた。一の国と二の国の剣聖においては「刃」すら抜いていないという。

そんな状況を第一の剣聖は何でもないように男に語りかけた

「ちょーつまんねー。君もそう思わね?もうこれ俺らからいっちゃダメな感じ?ね?聞いてる?」

「・・・」

「聞いてるー?」

「・・・」

「俺もう勝手に変えちゃうよー?第一の権限使って下克上の制度変えちゃうよー?」

「・・・別に構わんが、余が稽古に取り組んでいる最中に話しかけるなと何度言えば分かる」

と男は顔を顰め第一の剣聖を睨みつける。

すると第一の剣聖は言った。

「いや稽古って、ただディエゴステー〇のプラモ組み立ててるだけじゃん!」

「・・・」

「はぁ~、じゃあルール追加ー!」

第一の剣聖が加えたルールはこうあった。


「剣聖が指名した村、あるいは人物はその剣聖に下克上を申し出なければならない」


このあまりにも理不尽な追加ルールに国民は悲鳴をあげた。そしてそれを聞いていたあの少年は歯を食いしばり俯いていた。その全て見ていたあの日の剣聖は哀れだと言わんばかりの顔で城から見下ろしていた。

「お前マジで行くのか」

心配そうに少年は言った。

「あたりまえだろー?何のためにこの2年間修行したと思ってんだつの。それにもう時間がないし俺らの村や村の誰かが指名されたらそれこそ終わりだ。だから早くあの剣聖達ぶっ倒してやるんだよ。たまには兄貴を信じたまえ」


青年は決意を抱いて以来故郷である二の国の村から七の国に修行に向かった。それから3年経った今、青年は剣技に磨きを上げそこそこ実力がついた。そんな青年が今から剣聖を倒そうと旅立つ場面である。

「それに俺、今は超強いから剣聖なんてちょちょいのちょいよ!」

「ある世界だとそういうのってふらぐって言うんだって」

「ふらぐ?なにそれ。てかなんだよそういうのって!まいいや、じゃあいってくる!」

呆気ない旅立ちではあるがこれから長い戦いが始まる。

旅立ち 終


道中 其ノ壱


旅立ちを迎えてからはや一ヶ月が経とうしている。あの日の青年は、十の国へと歩いていた。しかしその青年はといえば、道に迷い獣に襲われ今の自分の場所すら分からず腹が減り餓死寸前のような姿になっていた。剣聖などちょちょいのちょいと言ってた勇ましい姿はどこへやら。一人ブツブツと朝方の森の中で切り株に腰掛け呟いていた。

「なんで...こうなる...んだ。普通道歩いてたら仲間が一人や二人増えるでしょ...。それどころか街ひとつ見つからないなんて。もう最悪だ...もしも動物が仲間になるかもしれない時のためのきびだんごも食べちゃったし...万事休すか...」

何故か青年は異国のおとぎ話や童話を愛してやまず、やたら木槌で叩けば金が出るやら動物が仲間になるとかいう迷信を信じ続けている。

「ちくしょう...ちくしょぅ...あれ?浦〇太郎がいるぞ...やっぱり本当だったんだ...はは」

完璧に逝っちゃっている状態である。

「?」

そんな逝っちゃっている青年に近づく人物がいた。流石に青年も人の気配に気づいた

「誰だ!敵か!?俺は今腹が減って死にそうなんだ見逃してくれ!」

仮にも主人公がこんなこと言っていいのだろうか。みっともないの一言である。

「━━━━━か、━が━━━るのか?しかしこんな━人が━━━━しいな」

「何を...いってる...だ」

腹が減りすぎて意識が朦朧としていて言葉をしっかり聞き取れない。

「━━━━━━━━━━━━━━」

ついには気絶してしまった。

「・・・んぅ?・・・・・・はっ!!!!」

「おう、起きたか」

あれから誰かに拾われ助けてくれていたらしい。それにもうすっかり日が暮れていることからだいぶ気絶していたとすぐ分かった。

「その、助けてくれてありがとう、命拾いした。」

と、まずは助けてくれた人物にお礼を言った。

「礼には及ばない。そうだ、腹が減っていては何も出来ないであろう。飯を食っていくといい。ついでにここら辺も見てくるといい。

あの様子だと違う国から来たようだしな」

まるで全てを把握しているような口調で喋る若く黒髪が良く似合い、青年と同じぐらいの年であろう長身の男は青年に優しく言った。

「お言葉に甘えてそうさしてもらうよ、あと教えてもらいたいことがいくつかあるんだが聞いてもいいか?」

長身の男はゆっくり頷いた。

「ここはどこだ」

「ここは十の国のエルド村だ」

「え?ここ十の国なの?ほんと?」

「ほんとさ」

なんということでしょう。この青年幸運にも道にさまよいながらも偶然十の国に着いていたのだ。

「それと、名前、聞いていいか?」

「シュートルク・リヴァイアス。ほかの人は皆シューと呼ぶ。君もそう読んでくれて構わないぞ」

「分かった、いい名前だな、俺は九十九泰則

と、泰則は自分の名前をそこにあった紙に書いて見せた。

「この独特の文字は、泰則は二の国の出身か?」

「ああ、そうだよ」

「余計なことを聞くとは思うがこんなド田舎まで何しにやってきたんだ?」

「剣聖を倒すためにやってきた。二年前に俺の故郷で剣聖が民の首を切り落としたのがきっかけだったかな」

明らかに空気が固まったのを感じた。

「自殺がしたいのか?」

「別に死にに行くわけじゃないし」

「とても正気の沙汰とは思えないんだが」

「傍から見たらそうだろうな」

「泰則は見たのだろう?二年前二の国で第二の剣聖の力を」

「あぁ見たよ。それにあれは世界一強い剣聖で間違いないね。あれ倒せば俺世界一だ。俺がその剣聖みんな倒しちゃえば世界平和になるし俺世界一の称号手に入るし一石二鳥だろ?」

「何を馬鹿げた事を...、そもそも今第二の剣聖が世界一強いと言ったがそれは間違っている」

「え?」

アホみたいな顔で泰則が返事をした

「剣聖にも強さの順番があるのを知らないのか?」

「え?」

「十の国や剣聖には最初に数字がつくだろう。あれは力の強さや権力が強いほど数が小さくなって行くんだ。つまり第二の剣聖は世界で二番目に強いということになる」

「そうだったのか」

何かに納得したような顔をする泰則

「あぁ、だからそんな無謀なことはやめた方がいい。分かればいいんだわかれb━」

「つまりは第一の剣聖倒せば俺世界一ってことか!!」

「話聞いてたか!?」


道中 其ノ壱 終


アイデアが尽きない限りどんどん書いて行きまっせ!

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