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王様の耳はロバの耳  作者: 桜樹ゆん汰。
4/8

七沢またり著「火輪を抱いた少女」


 みなさん、ライトノベルって好きですか? 私は大好きなんです他の大衆小説と同じくらい愛しています。なんというか、自由さがありますよね。いろんな意味でぶっ飛んだ作品が多い気がします。最近では書店の角から、徐々に目に付くところへと覇権を伸ばしている様子すらありますよね。今一番勢いに乗ってるのはやっぱりライトノベルだと思います。流行りですね。


 今回紹介する七沢またり様の「火輪を抱いた少女」ですが、実はWeb小説だそうです。というかなろう作家です。読もうで検索してみてください。バッチリ出てきます。私は書店で購入してから知ったのですが、無料でも読めますのでよかったら。


 本作は七沢またり様の、「死神を食べた少女」「勇者、あるいは化け物と呼ばれた少女」に続く少女シリーズの第三作目にあたるそうです。全く知りませんでしたが、後書きに書いてあったのでそうなのでしょう。前の2シリーズとはどうやら世界観を共有してるそうなのですが、知らなくても全く問題なく読めます。知らない私が言うんだから間違いないです。


 あと、Web小説はなんかイメージ的に……と思われる方もいますでしょうし、実際にプロの作家さんと比べて文章力の面で、と避ける方もいると思います。しかし個人的に、私個人としては(少なくともこの作品に限っては)ぜんぜん気にならないほど上手く書かれておりました。とても読みやすい三人称視点の作品です。


 本作は、太陽帝の一族により永らく統治されてきた、リベリカ大陸で起こる覇権争いが話の主軸になっています。太陽帝による狂気の実験で唯一生き残り、驚異的な身体能力と圧倒的な知略を手に入れた少女が、「幸せ」を見つけるために駆け回ります。領主の統治に反旗を翻した反乱軍へと巻き込まれ、領主の幼き息子エドガー、そして護衛のシンシアとの出会いから、彼女の運命は大きく変わっていく。天真爛漫で無邪気、しかしどこか残酷で冷徹な、主人公のノエルが十人長となり、百人長へと昇格し、軍を率いて戦うⅠ、Ⅱ、Ⅲの3部からなる戦記物語です。


 勝ち続ければ、生き続ければきっと幸せを見つけられる。そう信じる彼女は、この乱世にどんな結論を出すのでしょうか。そんなお話です。


 このノエルという子がとても魅力的です。子供のように無邪気で、天気のいい日は最高に機嫌がいいのに、雨が降ると不貞寝してしまう。どこか世の中を達観していて、「仕方ないよ、世界ってそういうものだから」というのが口癖。見た目は黙っていれば貴族の令嬢のように麗しく、しかし戦場では悪鬼と恐れられるほどの活躍を見せます。まさしく一騎当千です。人を惹きつける不思議な魅力を持っていて、個性的な仲間が次々と増えていきます。特にシンシアとの夫婦漫才には思わずニヤニヤしてしまいますね。


 最初は小さく燻っただけの火種が、次第に勢いを増していき大火となって大陸中へと広がっていくストーリー展開はとても読み手を惹きつけます。それに様々な人達の思惑が絡み合って、思わぬ方向へと展開が傾いたりもします。ページをめくる手が止まりません。1巻を読み終わってその日に残りを買いに行きました。


 ちょっと勘違いしないで欲しいのが、この作品はなにも無敵最強ノエル隊長悪者ぶっ倒せの無双作品という訳ではないんです。


 悪鬼であるノエル隊長も、独りじゃどうにも出来ないんです。友人のシンシアに助けられ、仲間達の力を借りながら、知略を巡らせて、犠牲を出しながら勝利を掴み取る。敵軍は倒したけどこっちは無傷ですよなんていう、砂糖みたいに甘い世界じゃありません。時には残酷ともいえる手段も使いながら、ノエルは戦っていきます。全ては、友人との約束を守るため。幸せの答えを見つけるため。


 全てが順風満帆にはいきません。苦戦もするし、思わぬ所からの横槍に敗走することだってあります。悲しい別れもひとつやふたつじゃありません。それでも、生きてさえいれば負けじゃないというのがノエルの矜恃。生きながらえて、いつか勝てばいいんです。ノエルと一緒に、あなたも乱世を駆け巡ってみませんか?


 七沢またり著「火輪を抱いた少女」でした。

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