ポッキーゲームとキスゲーム
『今、若いカップルでは一つのゲームが流行ってます!』
テレビから聞こえてくる、女性アナウンサーの声。
仕事が休みの、昼下がりの出来事。
「ねえ悠斗」
「なんだい楓」
「私、新しいゲームを見つけたんだ」
携帯ゲームをしていた手が止まる。
「どんなゲーム?」
「ポッキーゲームって言うんだけど」
なにそれ。フードファイターならぬスナックファイター?
フードファイターとは少し違うか。
「ポッキー使って何かするんだろうけど、何するの?」
あまり興味の引かれる内容ではないので、ゲームを再開する。
「えっとね……ポッキーを用意して、恋人同士で食べ合うんだって」
「それって、ただのあーんだろ? 」
「そうじゃなくて、二人で端から食べ合い……その……」
いきなり歯切れが悪くなる楓。
なにか言いにくいことでも待ってるんだろうか。
「そのね……食べ合いながらキスを……する……」
後半から聞き取りにくくなったが、大体は察した。
ていうか、さっきアナウンサーが似たようなことを話していた気がする。
一度ゲームを止めて、楓の顔を見る。
「物は試しだ。やってみようか」
「う、うん!」
楓は少しだけ恥ずかしそうな笑顔を浮かべ、ポッキーを取りに行った。
……なんか二箱持ってきたぞ。
「なんで二つも持ってきたの?」
「え? だ、だって……悠斗とたくさんキスしたいし……」
なんて可愛い生き物なんでしょうか。
語尾に近付くに連れて、恥ずかしいのか俯きながら言いました。
コイツ、俺の女なんですよ。
「キスはいつだって出来るだろ。てか、絶対にキスしたらポッキーの味するんだし、要らないだろ」
「い、いるよ!」
そんな顔を真っ赤にしながら言わなくても……。
楓から箱を奪い、中を開けて一本取り出す。
「はい、あーん」
「え? あ、あーん……」
おそるおそると口を開けたので、優しく口の中に入れる。
楓がポッキーを咥えたのを確認し、俺も咥えた。
耳に聞こえてくるのは、小さな│咀嚼音と自分が噛み砕いていく音のみ。
半分が無くなると、楓の顔がかなり近付いてきた。
「……ふぁ……」
口から漏れる艶めかしい声が、俺を興奮させる。
そして、俺たちは唇を重ねた。
やはり先からポッキーを食べていたので、チョコとビスケットの味がする。
「んんっ……ゆ、ゆう……と……ッ」
甘ったるい声と、楓とのキスが、俺を暴走させた。
「ッ!? は、はげ……!」
一度口から離し、ポッキーを適当に噛み砕いたあと、もう一度唇を重ね、口の中にあったものを全部楓の中に押し入れた。
「んん!?」
驚きの声をあげるが、俺とキスがしたかったらしいし、口移しで食べさせたので文句は言われないだろう。
口の中のものを全部押し込んだら、今度は相手の唇を舐めていく。
楓の味を感じ、少しだけ満足し、一度口から離れ酸素を欲す。
「ん……もぐもぐ……」
顔を赤くしながら、ポッキーを食べていく楓。
──だが、そんな休憩はほとんど与えない。
「んん!?」
また先と同じように驚きの声をあげた。
舌を使い、楓の中に進入し、粉々となり彼女の唾液でドロドロとなったポッキーを│掬い取る。
味はもう、楓の味しかしなかった。
とそこで、全部飲み込んだのか、楓が少しだけ拗ねながら言ってくる。
「も、もぅ……いきなり何するの」
「まあそれはいいだろ。それより、もう一度目を瞑ってくれ」
「え? う、うん……」
なんだかんだ従順な俺の彼女。
それが嬉しくて、今度は普通のキスを交わした……。
なんか思ってたのと違う感
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