ハグとキスとドキドキ
ソファに座りながら、手元のコントローラーのボタンを扱い、のんびりとゲームをする。
「ねえ悠斗、構ってー」
服の袖を、軽く引っ張られる。
一旦ゲームを中止し、ゲームの邪魔をしてきた楓の方を向く。
「構って、と言われてもさ、俺今ゲームしてるんだけど」
「ゲームばっか相手してないで、私の相手もしてよ」
頬をフグのように膨らませる楓。
それを見た俺はイタズラ心が湧き、コントローラーを置き、楓の頬に手を添える。
そのまま、一気に膨らんだ頬を潰した。
「ぷぅ!」
生き物のような鳴き声が聞こえた。
楓は自分の口から出た声と分かると、顔を茹でタコみたいに顔を紅くした。
「も、もう! いきなり何するの!」
「構え、と言うから構ったんだが」
「私が求めていたモノと違うの!」
ダメだったらしい。
「取り敢えずゲーム終わってからでいい? 今良いところなんだ」
「むぅ……そんなことするなら、私にだって考えがあるよ」
「平穏かつ平和的な考えならなんだっていいぞー」
今の優先順位では、彼女よりも目の前のゲームの方が高い。
無視してゲームを再開すると、
「えいっ」
いきなり、背後から抱き締められた。
服の上からでも伝わる胸の感触と、楓の心臓の音が聞こえてくる。
突然の事過ぎて思考が止まり、ゲーム内で負けてしまった。
敗北を悔しがる暇はなく、
「ふふっ。これで私に夢中でしょう?」
イタズラが成功した、子供のような笑顔で、俺の事をのぞき込んでくる。
今の状態もあってか、顔が熱くなるのを感じた。
「顔が赤くなった。可愛い」
楓はもう、甘えてくる女の子ではなかった。
可愛い年下の男の子をいじめてくるような、少しだけお茶目な顔を見せてくる。
楓は俺から離れると、ソファを回り俺の前にやって来た。
「悠斗っ」
俺の名前を呼びながら、正面からまた抱き着いてくる。
楓の双丘が、俺の胸に強く押し付けられると同時に、楓の体温も感じた。
それと同時に、心臓の音が激しく聞こえてくる。
楓の音かと思ったら、俺の心臓だと気づく。
「か、楓……」
「ダメ。私の事をほったらかしにした罰なんだから」
そう言うと、俺から少しだけ離れ、静かにキスをしてきた。
何秒、何分、何時間……どれくらい唇を重ねていたのかは分からないが、楓は唇を一度離し、
「好きな人とキスをするのって、やっぱり気持ちいいね」
そしてまた、俺にキスをしてきた──
いやー、こういう恋愛したいですね!
同棲を先ずしたいですね!(涙)
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