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それは絶対的能力の代償  作者: 山本正純/村崎ゆかり(原作)
第五章 ラプラス編
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第四十四話 ラプラスの密会

 取引が行われたことを知らないアルケミナとクルスは、ラプラスの研究所内を探る。だが、研究所内からは人の気配がしない。おまけにセキュリティが機能していない。

「先生。おかしいと思いませんか。あれから誰とも会いません」

「杜撰なセキュリティ。もしかしたら、玄関からの侵入を想定していないシステムかもしれない。見たところ錬金術を使用した形跡もない」

 アルケミナが研究所の壁に触れながら歩くと、突然壁に沿ったドアからラプラスの声が微かに聞こえた。

 アルケミナはドアの向こうから聞こえてくる会話に聞き耳を立てる。


 部屋の中で、ラプラスと白いローブを着た人物が机を挟んで木製の椅子に座っている。

「絶対的能力者は集まったのか」

 白いローブを着た人物がラプラスに聞く。

「五十人程集まっています。敵地で即戦力として使えるような能力者もいました。兵士の派遣は本当の目的が達成されるまでの資金稼ぎが目的ですが」

「質問する。本当の目的はいつ達成されるのか」

「早くても半年後ですね。まだデータが足りませんから」

 ドアの外から聞こえてきた会話から、アルケミナはラプラスが裏で悪事を働いていると確信した。

 アルケミナはドアノブを握る。このドアの先にラプラスたちがいる。


 その時五人もの人影が研究所の廊下を歩くその五人組はアルケミナたちを発見し、立ち止まる。五人の体には、EMETHという文字が刻み込まれていた。

 自分たちの前に現れた五人が、絶対的能力者だということを、クルスは理解する。

 それから数秒間の沈黙が流れ、アルケミナたちの背後に、研究所の玄関で戦ったアフロヘアのラプラスの助手が立つ。

 再び現れたラプラスの助手は、五人の絶対的能力者に声をかける。

「招かれざる客です。排除しましょう。それがラプラスさんの願いです」

 助手の言葉に反応した五人の絶対的能力者たちは、アルケミナたちを囲むように立つ。

 

 アルケミナとクルスは逃げ場を失った。

「二対六というのは不公平ではありませんか」

 クルスがラプラスの助手に聞くと、助手は笑いながら答える。

「侵入者を排除するのにルールは必要ありません。この場にいる五人はラプラスさんのためなら、何でもするという意思を持っています。そのためなら邪魔者を排除する。あなたたちは絶対的能力者によって排除されます」

 アルケミナたちに立ち塞がる五人もの絶対的能力者たちは躊躇なく、絶対的能力を使う。

 五人が研究所の廊下を触る。すると、彼らの指先から、煉瓦で創造された全長一メートルのゴーレムが五体召喚される。

 五体のゴーレムが一斉に口を開き、光線を吐き出す。その瞬間、クルスがゴーレムに触れる。クルスの絶対的能力により、光線を吐き出そうとしたゴーレムが儚く消えていく。

 一方アルケミナは錬金術によって創造した赤色の大太刀でゴーレムの体を一刀両断する。

 二人のコンビネーションによって、ゴーレムたちは一瞬で倒される。

 あっさりとゴーレムたちを倒された五人の絶対的能力者たちは、茫然と立つことしかできない。

 一分後、アルケミナたちの前に立ち塞がった六人が廊下にうつ伏せの状態で倒れる。彼らはアルケミナとクルスに負けた。


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