第四十三話 ラプラスの助手 後編
ラプラスは盾から槍を遠ざけ、距離を開ける。
静かな風が吹き、松明の炎を揺らす。この瞬間、ラプラスの助手とアルケミナの戦いが始まろうとしていた。
ラプラスの助手は再び槌を叩き、槍を二本に増やす。新たに召喚された槍に、松明の炎を灯す。
助手は槍を両手に持つ。そして、助手が槍を振り回す。アルケミナは助手の攻撃を盾で防ぎながら、松明に近づく。
クルスが激闘に加わろうと一歩踏み出すと、アルケミナが声を出す。
「クルス。ここは動かないで。助けは必要ないから」
アルケミナはクルスに告げ、背負っていた創造の槌を手にする。彼女は想像の槌で松明を叩く。松明が白い光に包まれ、赤色の大太刀に変化する。
突然の変化に、ラプラスの助手は目を見開く。
「聞いたことがありますよ。万物を創造する槌が存在するという話。確かアルケミナ・エリクシナという五大錬金術師の一人が所持しているとか。そんな珍しい槌を持っているとは。凄いですね。どうでしょうか。取引しませんか。その槌とラプラスさんとの面会許可」
「断る。ラプラスは自分で探す」
「命を助けるというお話だったのですが、残念ですね」
ラプラスの助手は、両手に槍を持ち、それを振り回す。一方アルケミナは手にしている大太刀で槍を止める。アルケミナの大太刀が槍を一刀両断する。槍の破片が空中を舞う。
ラプラスの助手は攻撃を避けることができない。アルケミナの一撃により、助手の体は空中を飛び、研究所の壁に叩きつけられた。
助手の体は、その反動で、うつ伏せに倒れた。
戦いが終わり、アルケミナは近くに落ちている石を創造の槌で叩き、鞘を創造する。大太刀の大きさにぴったりな鞘をアルケミナが広い、大太刀を鞘に納める。
鞘に納められた大太刀をアルケミナが背負うと、彼女はクルスに声をかける。
「今の間に堂々と正面から潜入する」
クルスは小さく縦に頷き、アルケミナの後ろを歩く。二人はそのまま、研究所の内部に潜入した。
それから一分後、白いローブを着た二人組がラプラスの助手の前に姿を現す。一人は子供のように背の低い女。もう一人は低身長の少年である。子供の背は少年の腰の高さ程。二人の顔は白いローブで隠れているため分からない。子供はアタッシュケースを手にしている。
子供は周囲を見渡す。ラプラスの助手は体を起こし、白いローブを着た二人組に話しかける。
「遅かったですね。取引時間にここに来たら、興味深い錬金術師さんと戦うことになって、怪我を負いましたよ」
助手があらましを説明すると、少年が腕を組む。
「そうでしたか。ところでアレは戦闘で壊れていませんよね」
少年が確認し、助手が首を縦に振る。
「もちろん」
助手は少年に黒色の槌を渡す。
「確かに僕たちが求めているアレのようですね」
子供が槌に触れながら呟く。その後子供は助手にアタッシュケースを渡す。
「報酬の十億ウロボロスです」
助手が報酬を受け取る。その後で助手は二人に尋ねる。
「ところで、先ほどの戦いになぜ参加しなかったのでしょう。近くまで来ていたのでしょう」
助手の問いに子供が答える。
「僕は争いが嫌いです。それに僕たちとあなたが取引をしていることは、ラプラスさんしか知らないのでしょう。目撃者は必要ありません」
「ルスお姉様。そろそろ行きませんか。遅れますよ」
少年が子供に告げる。それから数秒後、謎の姉妹は助手の前から姿を消した。




