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それは絶対的能力の代償  作者: 山本正純/村崎ゆかり(原作)
第三章 パラキススドライの怪人編
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第二十一話 怪人との遭遇

 その頃一人で商店に買い物をしているアルケミナは、偶然通り過ぎた商店に設置されたテレビで怪人の名前を知った。

『三日前からパラキルススドライに怪人が出没しています。怪人は黒いローブに身を包んでいる男と見られ、どんなものも一瞬の内に切断することができます。昨日宝石店にて窃盗を行った怪人は、三十人の警察官を一瞬で殉職させました。これによりパラキルススドライの怪人によって殺害された被害者数は、九十九人となっています。尚怪人は窃盗のみならず、無差別殺人も行っており、警察は近隣住民に厳重な警戒を促しています』

 そのニュースを聞いたアルケミナは嫌な予感を覚える。どんなものも切断することができる怪人。妙な胸騒ぎ。絶対的能力の暴走。

 その予感は見事に的中する。突然アルケミナの前に現れた黒いローブを着た男。それはニュースで伝えられた殺人鬼と同じ。買い物客や商人たちは怪人の出没によって一斉に店内への避難を開始する。

「百人目は幼女か。それも悪くない」

 パラキルススドライの怪人は白い歯を見せながら不気味に笑う。

 

 その頃ベンチで休んでいたクルスの前を、一人の男が慌てて走り去る。その男は大声で叫びながら逃げていた。

「パラキルススドライの怪人だ。怪人が今商店に出没した」

 その男の叫び声を聞きクルスの顔は青くなる。商店にはアルケミナがいる。冷酷な殺人鬼パラキルススドライの怪人がアルケミナと対峙しているとしたら、彼女の命が危ない。

「先生」

 クルスは商店の方向へ走ろうとする。だが、クルスの腕は、商店から逃げてきた金髪のソフトモヒガンの少年によって掴まれた。

「お前。馬鹿か。今あそこに行ったら死ぬ。そんなことも分からないのか」

「離してください。あそこには……」

「友達でもいるのか。そいつが心配なのは分かる。だけど今あそこに行くことは自殺行為だ。この状況で友達を助けに行って、怪人に遭遇したら殺される。ミイラ取りがミイラになるという奴だな。それでも行くのか。お前は」

 クルスは少年の言葉を聞いて唇を噛む。

 アルケミナが強いということをクルスは知っている。錬金術の技術や思考能力は幼女化した現在も衰えていない。

 ここはアルケミナを信じることしかできないのではないか。しかしクルスには二つの不穏因子がある。

 一つはアルケミナが幼女化していること。アルケミナは幼女化して体力が元の体より減少している。これが怪人との戦いで不利に働くのではないか。

 もう一つはパラキルススドライの怪人の正体。その怪人が絶対的能力者だとしたら。パラキルススドライの怪人の能力がアルケミナの錬金術を凌駕する物だとしたら。

 二つの不穏因子が正しいと証明されれば、アルケミナの命が危ない。

 パラキルススドライの怪人が絶対的能力者であることを前提にして考えた場合、絶対的能力を使おうとしないアルケミナが殺される可能性が強まる。

 その不穏因子を断ち切るため、クルスは少年に聞く。

「パラキルススドライの怪人について詳しく教えてください。それを聞いたら納得しますから」

 クルスからの問いかけに少年は目を丸くする。

「お前。知らないのか」

「旅の途中ですからこういう話題には疎いのですよ」

「黒いローブを着た男で、どうやったのか分からないが、何でも切断する。冷酷な殺人鬼で、これまで九十九人も殺しているらしい。さらに怪人は槌までも切断する。これで満足か」


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