表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それは絶対的能力の代償  作者: 山本正純/村崎ゆかり(原作)
第三章 パラキススドライの怪人編
20/72

第二十話 長い道のり

 アルケミナとクルスがパラキルススドライを訪れたのは、その出来事の翌日だった。

 話は二人が天使の塔を出発した一週間前に遡る。天使の塔に生息している浄化作用がある草花を手に入れた二人はEMETHシステムの解除方法の研究を進めた。だが、それはシステムの解除方法ですらなかった。

「空振りでしたね」

「研究の結果は最後まで予測不能。これは研究の基本」

「これからどうしますか」

 クルスからの問いに、アルケミナは真顔で答える。

「天使の塔での収穫は草花だけではない。村民たちから興味深い事実を聞いた。突然変異の権威として知られる、ラプラス・ヘア博士がサラマンダーを拠点に研究を開始したらしい。彼と接触すれば、システム解除の手がかりを掴めるかもしれない」

「サラマンダーですか。あそこは結構暑いでしょう。それに結構遠い」

 クルスの不満を聞かないアルケミナは槌を振り下ろし、アルケアの地図を召喚した。

 地図を広げたアルケミナは、クルスにそれを見せながら説明する。

「ここからサラマンダーまでの道のりで最短なのは、パラキルススドライを経由して、エクトプラズムの洞窟を通り抜けるコース。このコースだと二週間くらいで目的地サラマンダーに到着できる」

「分かりました」

 ということで、二人は突然変異の権威として知られる、ラプラス・ヘア博士と接触するため、サラマンダーに向かうこととなった。


 それから一週間後、二人はアルケア八大都市の一つ、パラキルススドライに到着した。

 ここまでの道のりは長かった。二人は足が棒になるまで歩いたが、パラキルススドライは目的地への通過点に過ぎない。

 そのことを踏まえて、クルスはアルケミナに申し出る。

「先生。休みませんか。一日くらい休まないと、無事にサラマンダーへ到着できる保証がありません」

「分かった。私は街へ買い出しに行くから、クルスは休んで良い」

「買い出しですか。一緒に休めばいいと思うのですが」

「サラマンダーはかなり暑い。あそこは水不足で水の価格が高騰している。ここで水や食料を買った方が安い。一緒に休んでも時間の無駄。それにこの街でしか手に入らない物が売っている」

「分かりましたよ。僕も買い物に付き合います」

「私は一人で大丈夫。クルスはそこのベンチに座って休んでいいから」

 アルケミナはベンチを指さすと、商店が立ち並ぶ方向へ歩いた。

 クルスがベンチに腰掛けていると、子供たちが彼の前を通り過ぎていく。

「また出たんだよ。パラキルススドライの怪人」

「強いんだぜ。警察が手も足も出ないんだからな」

 パラキルススドライの怪人。クルスが偶然耳にした存在。その存在がアルケミナたちを襲う脅威になろうとは。この時のクルスは知る術がなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ