表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それは絶対的能力の代償  作者: 山本正純/村崎ゆかり(原作)
第二章 ノワール編
18/72

第十八話 不可侵条約

 村役場の前には、トーマス村長とアニーたちを含む多くの村民たちが集まっている。

 村民たちは体を震わせながら、サーベルキメラに槌を見せる。

 だが、ノワールは攻撃せず、村民たちに対して、テレパシーで真実を伝える。

『俺の名前はノワール・ロウ。この村で一番の錬金術師だった男だ。EMETHシステムの影響でサーベルキメラになった。信じなくてもいいが、この村の人々に危害を加えないことを約束する』

 ノワールは、テレパシーで村民たち全員に対して真実を伝えた。

だが、村民たちは、その事実を信じようとしない。その中でアニー・ダウだけがサーベルキメラの話を信じた。


 一方トーマス・ダウは、キメラの言葉を聞き、電話でキメラを駆除するために雇ったブライアンたちに連絡した。

「ブライアン。標的であるサーベルキメラと不可侵条約を結んだ。もうキメラを狩らなくてもいい。報酬を払うから、帰ってくれ」

 トーマスが電話を切る。そして、村長は自身を村の英雄と名乗る、サーベルキメラに伝える。

「聞こえただろう。不可侵条約を結ぶ。俺としては、この村の平和が守れれば、それでいい。その信念はノワール君も同じだろう。村の平和を守るために雇ったハンターを解雇したから、この村を守ってくれ」

 村民たちは村長の言葉に反論せず、拍手する。真実を信じることはできないが、村が平和であればそれでいい。この思いは村民たちも同じだ。

 こうしてノワール・ロウはシャインビレッジの平和を守る英雄となった。村民たちが真実を信じる日は遠くないだろう。


 不可侵条約が結ばれ、村が平和になってから一時間後、クルスとアルケミナの二人はシャインビレッジの森林を歩く。

「それで浄化作用がある草花はどうなったのですか」

 クルスが森林を歩きながら本来の目的を思い出すと、アルケミナは言葉を返す。

「大丈夫。アニーから村に自生する草花を全種類もらったから。後はそれを研究したら何かが分かるかもしれない」

 いつの間にそんなことをしたのか。クルスは分からない。

「いつそんな約束をしたのですか」

 クルスが疑問を口にすると、アルケミナは簡潔に答えた。

「クルスが筋肉痛で動けなくなったとき」

「そうですか。それでこれからどうしますか」

 クルスが今後の予定をアルケミナに尋ねる。すると、アルケミナは意外な言葉を口にする。

「塔を降りてから研究を進める」

 その言葉にクルスは驚いた。

「この塔を降りるのですか。先生ならこの森林にテントを張って、研究を進めるのかと思っていました」

「塔を降りないと、次の目的地にたどり着けない。今から塔を降りれば、夕方には地上に降りることができる」

 クルスがため息を吐く。クルスに待ち受けるのは、急な下り坂のような螺旋階段。一億段もある階段を下ることは、階段を昇るよりは楽だろう。過酷な下り階段の先にある地上に降りたのは、夕方のことだった。


すみませんが、しばらく連載を休止します。

続きが気になる方。ごめんなさい。連載再開までしばらくお待ちください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ