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それは絶対的能力の代償  作者: 山本正純/村崎ゆかり(原作)
第二章 ノワール編
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第十五話 動き出したハンターたち

 それからノワールはアルケミナと別れ、暗闇に覆われた森林の中に消えた。

 そして、翌日の早朝、二人の男がシャインビレッジを訪れた。

 小太りに金髪のリーゼントの男、ハント・フレイムは煙草を吸う。ハントの傍らには金髪のスポーツ刈りで、黒いローブを着ている男、ブライアン・フレイムが立っている。

 ハントは煙草で気分を落ち着かせると、相棒であるブライアンに興奮しながら声をかける。

「ブライアン兄さん。緊張するぜ」

「依頼人は村長か。大金をもらって狩りができる。まさに一石二鳥だ」

 この二人はハンターとして多くのキメラを駆除してきた。キメラの習性に詳しいハントと錬金術師のブライアン。この二人は今まで多くのキメラを狩ってきた。いわばスペシャリストである。

 彼らが依頼人であるトーマス村長に接触するために、森林を歩いていると、いきなり問題のサーベルキメラに遭遇する。

 

 サーベルキメラは川の水で顔を洗っているようだった。突然の遭遇に二人は武者震いする。基本的にアルケア国内で狩りを楽しんでいる彼らにとって、サーベルキメラは初めて狩る生物。

「こいつがサーベルキメラか。ブライアン兄さん。狩りの始まりだ」

「了解」

 二人組の男がサーベルキメラに近づく。その存在に気が付いたサーベルキメラことノワール・ロウは察した。彼らが自分の命を狙うプロのハンターであることを。

ノワールがEMETHシステムで手に入れた能力は、テレパシー。それ以外は通常のサーベルキメラと同じスペック。

 彼らが何回サーベルキメラを狩ってきたのか。ノワールには分からない。分かることは、ノワール自身が、絶体絶命の状況に陥っているということ。

 ブライアンが赤色の槌を振り下ろそうとすると、ノワールは全速力でその場から逃げ、彼らの前から姿を消す。

「ブライアン兄さん。逃げたよ。村の方向に向かっている」

 ブライアンは動きを止め、前方を睨み付ける。

「分かった。村で狩ろう」

 二人はサーベルキメラの後を追うが、その先に獲物はいない。

「逃げ足が速い」

 

 ハントが舌打ちした頃、ノワールは全速力で村へと走っていた。

 そんな彼の脳裏には一人の少女が浮かんでいる。

 その少女は昨日見事な錬金術でノワールを圧倒した。

 その少女は、昨夜ノワールの正体を暴いた。

 その少女は、ノワールの事情を知っている。

 その少女なら、ノワールを助けることができる。

 その少女に助けを求めなければ、ノワールは殺される。

 婚約者であるアニー・ダウに真実を打ち明けなければ、後悔する。

 

 その信念がノワールを全速力で走らせている。

 ノワールは全速力で森林の中を走りながら、テレパシーでその少女に話しかける。

『助けてくれ。ハンターに追われている。今村役場に向かっているところだ』

 その頃アルケミナは朝食を食べ終わった。

その直後、アルケミナの脳にノワールの声が聞こえた。

 その声を聴き、アルケミナはクルスに声をかける。

「クルス。サーベルキメラを助けに行く」

 藪から棒な発言にクルスは途惑う。しかしアルケミナはクルスの反応を気にせず、アニーの自宅から飛び出した。

 クルスは仕方なく、アルケミナの後を追う。

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