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メガネくんとユリアス

ガチャ

「ハァハァハァ…。」

屋上には息がきれた少女と赤い光と青い光がいた。

『大丈夫?』

広い春花第一高校だが、一ヶ月はもういるのに迷ってやっとたどり着いた瑠果たち。ユリアスたちは飛んでいるから疲れはしないと思うが、人間の瑠果にはたってられないほどの疲れる事だ。

「はい…。ハァハァ、ありがとうございます…。」

『だらしないな、これだけの階段で…。』

ここにくるまで上ったり、下りたりと度々歩けなくなって休みはしたが、走りっぱなし。

運動オンチの瑠果にはよくこれだけれた事だ。

「すいません……。」

『まーまー、それにしても綺麗な眺めだねー。』

天気は晴れで、海が見えたり家やビル、遊園地の観覧車が見える。

「はい!こんな所があったなんて驚きです。」

『なにが綺麗なんだよ…?』

いまいちジュガレにはこの景色の綺麗を理解できてないようだ。

しばらく景色を堪能していたら…。

「君…、誰に話してるの?」

後ろから声がすると思い、振り向くとそこには…。

「葉月勇夜さん!?」

さっきまでは教室にいた、いじめられた事はないがいじめられているグループ六人の一人だった。

勇夜は眉をよせて不思議そうにこちらを見ている。

それに関わったことないが一番瑠果の中で怖いらしい。

『誰だこいつ…?』

ネクタイはゆるめでまメガネをかけている、髪は他のグループの人たちみたいに派手じゃない黒でふわふわそう。

いっけん真面目そうな勇夜だが、一体本心はどうなんだろうか…。

「ひ……ひ、独り言です!!」

吸い込まれそうな黒い瞳でジーッと見つめられて、瑠果は今にも泣きそうな顔で石のように固まる。

「ふーん……。」

ノロノロと見つめられながら瑠果のほうに歩いてくる。

石のように固まった瑠果はガクブルガクブルと、ふるえだす。

(な、殴られるのかな…!)

『る、瑠果ちゃん、逃げないと!』

殴られるのを覚悟で目をぎゅっとつむったが…。

「………?」

何も起こらない。

もう殴られている頃なのに…。

思いきってゆっくりと目を開けると目の前には勇夜の顔。

「っ!」

ビクッと身体を震わせる瑠果。

すると、いつも無表情な勇夜がフッと笑い…。

「強くなったり弱くなったり、変な女…。」

そのまま勇夜は立ち去ってしまった。

その言葉に瑠果の顔はどんどん青ざめていく。

『なんなのだ!?あのメガネは?』

『る、瑠果ちゃん!どうしたの?大丈夫?』

瑠果の顔色をみてハッとするユリアス。

今度は汗もダラダラとながれてくる瑠果。

「私の人生終わりました……。」

『はぁ!?』『えぇ!?』

さっきの言葉でなにが瑠果の中で起こったのか。

ユリアスとジュガレは声を会わせて驚く。

「あの葉月勇夜に笑われたんですよ!?きっと私は一生あの人たちにいじめられるんですよ!!」

『そんなのきっとだろ?まだ決まったことじゃないでわないか…!』

『そうだよ。それに僕たちが必ず幸せにしてあげるからね…?』

シューと遠くを見つめる瑠果の視界に入る。

「でも…。」

『あ~もう、いいから!さっさと机と椅子運んで教室戻ろうぜ!』

めんどくさいのが嫌いなジュガレ。

きっと嫌なことは寝て忘れるタイプであろうと瑠果は思った。

「はい……。」

完全に二人を必ず幸せにしてくれるとまだ信じた訳ではないが、今は二人を信じるしかないようだ

そして、三人は手分けしてちょっと広い屋上で椅子と机を探した。

しばらく探していると…。

『おーい!!あったぞーー!!』

ジュガレが椅子と机を発見。

一番左の角にあった。

「ありがとうございます!ジュガレ様!」

『全く、神様に手伝わせるとは、罰当たりな奴だな泣き虫め。』

『まだ神様ではないよ…。』

左の方の屋上を探してたユリアスもツッコミながら飛んできた。

そして机に目を向けると…。

「ってあれ…?」

椅子と机をみると机は黒っぽくなっていて、上には汚れた雑巾がおいてあった。

『汚いではないか!』

『なんで雑巾がこんなところに?』

いつもの瑠果の机なら“バカ”とか“悪魔”とかと書かれているが、なんにも書かれていなく、いつもよりは綺麗だ。

「…もしかして、何か書いてあってそれを誰かが消してくれて置きっぱなしにしちゃったとかですか!?」

学校中嫌われものの瑠果にそんなことをするひとなんて考えられないが、もしかしたらだ。

『さっきの奴がか!?』

「ない!それは、絶対ないですよ!!」

全力で不定する瑠果。

もしそうだとしても、あとからあの時の借りをかえせと言ってくるに違いないと信じたくない事のようだ。

『とりあえず早く戻った方がいいよ。』

「はい、そうですね。」

そして、瑠果は椅子を反対にして机にのせて机をもった。

でも瑠果は運動オンチで筋肉も体力も全然ないため…。

「ふんぐぐぐぐ……!」

持ったのはいいが、全然進めていない。

これではいつまでたっても教室に戻る事はできない。

『る、瑠果ちゃん…。ひとつずつ運べば?』

「あ、そうですね!」

ユリアスの提案に瑠果は椅子を置いて最近に机を運ぶ事にした。

それでも…。

「ふんぎゅぎゅぎゅ…!!」

ちょっとは進んだものの、今では引きずって持ってている。

これでは階段で危ない。

『お前どれだけ力ないんだ!』

この事にはなんとも言い返せない瑠果。

そんな瑠果を見て、ユリアスは考えた。

『んー…、あっ、そうだ!僕が君に入れば運べるんじゃないかな?』

「えっ、でもそんな事させる訳には…。」

神様とか関係なく、関係のない人にやってもらうのは駄目だと思う瑠果。

『僕は君に幸せになってもらうためにここにいるんだよ?それに女の子が重そうに運んでいるのを黙って見てろって言うの?』

「あ、ありがとうございます!!」

瑠果は思いっきり頭をさげた。

今でもう、十分幸せな瑠果であった。

『よし、じゃあ行くよ?』

「はい!」

ユリアスは普通にシューッと瑠果の胸の真ん中に入っていった。

そして、瑠果は倒れ、しばらくするとムクッと起き上がった。

「じゃあ行こうか?」

なぜか無駄に爽やかになった瑠果。

ユリアスが入っているからか…。

そして、あんなに瑠果が苦戦していた机と椅子を軽々と持ち上げ、爽やかに歩く。

『本当の本当に、ありがとうございます。』

「いやいや、これぐらいしか役にたたなくてごめんね?」

ジュガレが瑠果の中に入った時もそうだけど、本当に別人みたいだ。

あの暗い瑠果がここまで爽やかになるとはか考えられない。

(私って笑うとこんななんだ。)

「瑠果ちゃん?」

ユリアスが不思議そうに見つめる。

どうやら考え事をしていて、止まっていたようだ。

『あ、すいません…!』

あわてて前に進む。

『ボケ虫…。』

『え!ボケ虫!?』

ボソッとジュガレに言われた事に反応する瑠果。

さっきから、泣き虫、ボケ虫と虫がつく。

『なんで虫なんですか!?』

『小さいくせにピーピー言うからなのだ…!』

『それなら雛じゃないですか!』

どうしても“虫”と言うのが嫌ならしい。

『わかったのだ、ボケ雛!』

『はい…。』

口喧嘩をしている相手はもしかしたら神様になる者。

勝てるわけがない。

だから虫よりは上な雛で我慢したようだ。

「なにをやっているんだか…。」

あきれた顔で顔をよこにふるユリアスだった。

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