ジュガレと私
「どうしましょー……」
教室の前で立ち止まる瑠果と赤い光と青い光。
瑠果たちはあのあと学校に急いだのだが、椅子と机がないことに思い出したようだ。
手がかりもなきゃ、どこをさがしたらいいか…。
『そんなのお前が言う女子たちに聞けば良いことではないか…。』
「無理ですぅ~。」
『大丈夫。いざとなったら僕たちが助けに入るから。』
ハァーとため息をついて他人事のように言うジュガレ。
ユリアスは本当に優しい。
でも見えない光になにができるんだろうと眉をよせた。
でも、このまま入らないままではいけない。
いつかは入るんだから入ってしまえっと、ガラガラっとドアをあけた。
「お、遅れてすいません…。」
とりあえず先生に頭を下げる。
瑠果よりもものすごく気がよわい先生は聞こえない声で花夜羽さんと言った。
『何を言ってんだあいつ?』
『とりあえず女の子たちに聞きな?』
瑠果は周りにはわからない程度にうなずき、ゆっくりといじめてくる女子たちの所に歩いていく。
女子たちはガムをクチャクチャ食べながら、授業中なのに携帯をいじくっている。
そして、1メートルの所まで来て…。
「あの………。」
すると、三人はこちらを向いてひどく睨み付けて…。
「近寄んなよ、悪魔!!」
「きゃあ……!」
足で蹴飛ばす、瑠果はまたさっきのように尻餅をついた。
また悪魔笑いが瑠果の頭の中で聞こえる。
(悪魔じゃない……私は悪魔なんかじゃ…)
「うぉ、ケンカかぁ!?」
「やっちまえー!!」
さっきまではいなかったいじめてくるグループの男子三人。
右にいるのは火月、盛り上げ担当。
真ん中は太寺、しょっちゅうケンカしてると噂。
左は勇夜、イケメンなやつだが無口で寝てばっからしいが、ケンカは強い。
『こいつ…』
『ひどすぎるよ…!』
「うちらに近づいた罰としてー」
左にいた沙喜が窓側のほうにいって…。
「これにあたってもらいまーす!」
手に取ったのは、花の入っている石でできた花瓶。
それにあたってもらうって、思いっきり投げられてあたりどころが悪ければ、普通の怪我ではすまされない。
『あんなのにぶつかったら瑠果ちゃんが…』
「せーのっ!」
(やっ………!)
壁に追い詰められ、もうだめだと思ったその時。
赤い光のジュガレが瑠果のほうに飛んでいき、瑠果の胸にシュッと入って行き…。
ガシャンッ
『あれ……?』
どこも痛くないし痒くもない。
だ、目の前には壁にあたってわれている花瓶と自分が倒れている。
「あたったのこいつ…?」
『瑠果ちゃーん!!』
ユリアスは瑠果のからだのほうへ飛んでいく。
瑠果はどうして自分が見えているのかがわからなくて状況をあまり飲み込めない。
気まずいふいんきになったその時、瑠果の体はむくりと起き上がった。
『瑠果ちゃん!』
『どういう事!?』
「なっ、なんだこいつ…!?」
そして、花瓶を投げた沙喜のほうへノロノロ行き…。
「なっなによ!!」
瑠果の身体はフッと笑い…。
「よくも、よくもこの俺様に花瓶投げつけたな!!!!人間の分際でっ!!!」
姿や声は一緒なのにまるで別人のよう。
教室にいたクラスメイト全員が驚いている。
今まで誰も逆らった人はいないのだが、よりにもよって一番逆らわなそうな瑠果が逆らったとはと、目を大きくしている。
「瑠果の机はどこだ!さっさと言えっ!!」
『あれは瑠果ちゃんじゃない……。』
『ジュガレさんが私になってるー!?』
やっと今起きている事に理解できたユリアスと瑠果。
そして、瑠果は薄いピンク色の光となっていた。
「お、屋上よ!屋上に行けばわかる…!」
「ふんっ、最初から言えよ。」
ドカドカと瑠果になったジュガレは教室を出ていった。
ジュガレが出ていったあとも教室にいた勇夜以外は全員唖然としている。
そして、青い光のユリアスとピンクの光の瑠果も出ていったジュガレを追って飛び出していった。
『お、おいジュガレ!なんで君が瑠果ちゃんになってるの??』
『そうですよ~!助けてくれたのはありがとうございます。でも、あんな言い方じゃなくても…。』
「え……?」
ジュガレはユリアスと瑠果の言葉に急にピタリと立ち止まる。
『も、もしかして、今の状況をわかってない…?』
「なんのことだ……?」
女子トイレ。
「うぇーーーー!??」
女子トイレの鏡を見て、うるさいほど大きな声を出して驚くジュガレ。
でも本当にどうなっていたのかわからなかった何てと、瑠果たちは驚く。
そして、ジュガレは今は光となった瑠果に向き。
「どうしてくれるのだーー!!!」
『へぇっ!?すいません!!』
回りから見ると、少女がひとりでに喋っていると言うとてもおかしな図。
それにさっきジュガレは瑠果になったとは知らずに俺様と言っていたから周りからは二重人格とでも思われたであろう。
「俺様は人間の女になって一生、生きなければならないのか…。」
『え…。あの、今は関係ない話かもしれませんが、あなたたちは何者何ですか?人間分際でとか人間の女とかって言いますけど、人間ではないんですよね?』
とりあえず人間ではないことがたしかな二人、ただのしゃべる光ではなさそうだし…。
『僕たちは、その……神様の…みらないなんだ。』
思わずその言葉に固まってしまう。
驚く事ばかりでたくさんな瑠果だが、これはさすがに驚かない訳には行かない。
『え…えと、みらないって事はあなたたちは神様……?』
恐る恐る聞く瑠果。
そして、ジュガレはニコッと嬉しそうに笑って…。
「になる予定だ。」
『あ……、あ……。』
フラフラと飛んでいた瑠果は落ちていって…。
(てことは、てことは…。)
『無礼な行為ばかり、申し訳ございませんー!!!』
下座をする瑠果。
人間の姿じゃなく光りだから土下座しているとは二人にはわかならいが言葉でわかるようだ。
「まっ、反省してくれればいい。あと、さっき俺様の事をジュガレさんと言っただろ?様だ、様!」
『わかりました、ジュガレ樣…。』
涙ぐんで言う瑠果。
『っていやいや、まだ神様じゃないし…。しかもジュガレが生き物の神になれるかわからないよ?』
「え…、生き物の神?なれるかわからない?」
どうやら瑠果には1から説明しなければならないようだ。
『本当は人間とかには話してはいけないんだけど、生き物の神は人間や動物、生きている者たちが悪い事をしていないか1日中見守っていて、悪いことをすればそれなりの罰を与えて、良いことをすればそれなりの良いことを与えるんだ。』
と、ユリアスは真剣に話す。
悪いことをしたら罰があたると言うのは本当ならしい。
『でも、1日中って大変すぎません?』
1日中と言うのは寝る暇もないと言う事だ。
人間にはとても無理な事。
『その辺は大丈夫。神様になる者は神様になる時に嫁、もしくは婿を迎えて、一緒にやるんだ。それに神様になると一年は寝なくても大丈夫な身体になるから問題ないんだよ。』
神様について、驚く事や大変だなと思う事とか色々な事をしって、二人の事をもっともっと知りたいなと思う瑠果。
『それでなれるかわからないっていうのは、神様に立候補する者達は一応たくさんいてね、立候補した者達には試練がくだされて、僕たちは君を幸せにすること、今までたくさんの不幸を味わってきたんでしょ?それを早く乗り越えて今の神様に認められた者が次の神様になれる。その時に嫁や婿を迎えなきゃ駄目だけどね。』
『なんか、大変そうですけど頑張ってくださいね。』
意味をわかっているのかわからないが、瑠果はニコッと笑う。
思わず時間を忘れ、長話をしてしまった二人。
ジュガレはつまんなそうに遠くを見つめている。
「なー、早く元の姿に戻りたいのだが…。」
二人の世界に入っていたのか忘れてたという顔をして考える二人。
『もし、このままだと、ジュガレ様は神様になれませんし、ユリアス様は私がこのままだと絶対に幸せになれませんからユリアス様も神様になれなくなっちゃいますね…。』
本当に様をつける瑠果。
ユリアスにももしかしたら神様になるかもしれない、と言う事で様をつけている。
それを聞いたユリアスは恥ずかしいのか青い光があかくなって…。
『ぼ、僕には、様だなんていいよ…!』
『ダメですよ!もしかしたら神様になるんですよ?神様を呼び捨てにするなんて罰、あたりまくっちゃいます…!』
『じゃあせめて、さんにしてくれないかな…。なんか僕には合わない…。』
渋々、コクリとうなずく瑠果。
でももし、この二人が神様になったら、瑠果は神様と知り合いだったてことになる。
信じられない事だ。
(二人が神様になるには私が幸せにならなきゃいけないのよね…?頑張ろう!)
「と言うか!まずはどうやってもとに戻るかだろう!!」
またまた、二人の世界で話していた二人。
『ごめん。ごめん。』
気をとりなおして、もう一度深く考え込む。
(あの時、確かジュガレ様が私の所に飛び込んで来たんだよね…?なら…)
『あの!』
「なんだ泣き虫。」
いつのまにかに泣き虫となっている瑠果のあだ名。
さっきまではお前とか瑠果だったのにいきなり変わっている。
『あの時見たいに、私の身体に飛び込めばいいんじゃないんですか?』
「飛び込む?」
『いいんじゃないか!?最初もそうして中に入ったんだから…!』
ジュガレはともかく、ユリアスは以外にバカなのでは?
瑠果のいった戻る方法が普通は一番早く出る戻る方法。
「なんだかよくわからないけど、飛び込め!」
ジュガレは手を大きく広げる。さそして、瑠果は勢いをつけようとスーッと後ろにさがって…。
『行きますっ!』
ビューーー
思いっきり早く飛んでいく瑠果かそして、シュインッと瑠果の身体の胸の真ん中に入っていった。
そして、そして、瑠果の身体はパタッと倒れて…。
『る、瑠果ちゃん?』
すると瑠果の身体は手を動かし目をこする。
「ん……、あれ?」
瑠果の視界は浮かんでいなく、天井を見ていて、頭が少し痛い。
『「戻ったぁー!!」』
二人とも大きな声を出して喜ぶ。
やっぱ元の姿のほうがいいと思う二人。
『よーし!早く屋上から机と椅子を持って教室に戻るぞ!!』
『そうだね。』
「はい!」